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あとがき
相澤 久道
pp.110
発行日 2008年1月15日
Published Date 2008/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100972
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今月号の特集は,呼吸器,循環器の合同企画です.このような合同企画が創刊以来の本誌の特色であり,呼吸と循環の機能を総合的にみていこうとする姿勢で行っています.今回の特集の企画にあたってまず念頭にあった疾患はCOPDです.COPDは合併症,併存症の多い疾患として知られており,近年では全身疾患であると定義する人もいます.そのなかで特に多いのは循環器疾患であります.また,日常の診療において大変多い訴えに「呼吸困難,息切れ」があり,それが呼吸器に原因があるのか,循環器によるものか迷うことは多々あるのではないかと思っていました.そういうことが普段から興味があったので,今回特集として組んでみました.
最も強調したかったのは,臨床的には当然「呼吸困難・息切れ」を主訴として受診した患者の鑑別の進め方の最新のまとめでありますが,基礎的な機序として,心と肺の機械的なインターアクションによる相互の悪化機序だけでなく,共通する素因や危険因子を基にした両疾患の併存,そして全身的な炎症反応のなかでどのような機序で呼吸器疾患と循環器疾患が発症してくるのかということに興味がありました.今回の論文を通じて改めて呼吸と循環はそれぞれ独立して機能しているものではなく,相互に強く依存しあっているものであり,両方を診ながら治療していくことが大切であると感じました.
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