Japanese
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特集 難治性喘息―その機序の解明と対策
気道過敏性からみた難治化
Refractory Asthma and Airway Hyperresponsiveness
古森 雅志
1
,
井上 博雅
1
,
松元 幸一郎
1
,
福山 聡
1
,
中西 洋一
1
Masashi Komori
1
,
Hiromasa Inoue
1
,
Koichiro Matsumoto
1
,
Satoru Fukuyama
1
,
Yoichi Nakanishi
1
1九州大学大学院医学研究院附属胸部疾患研究施設
1Research Institute for Diseases of the Chest, Graduate School of Medical Sciences, kyushu University
pp.1203-1207
発行日 2003年12月1日
Published Date 2003/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100758
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はじめに
気管支喘息は,可逆性の気道狭窄,気道炎症,気道過敏性亢進を主要な特徴とする.そのなかで,難治性喘息には様々な解釈がある.海外ではdifficult/therapy-resistant asthma1)やrefractory asthma2)という名称で,喘息と診断された患者において規定のコルチコステロイド療法を含めた喘息に対する治療を継続して受けているにもかかわらずコントロール不良のものと定義している.
一方,これまで気管支喘息患者における気道過敏性亢進は,気道炎症の程度をよく反映し,気道過敏性の成立には気道炎症が大きな役割を担っているものと認識されてきた3~7).しかし近年,喘息の罹病期間が長期となる例や,吸入ステロイド剤治療が継続された喘息症例において,気道過敏性亢進が気道炎症のパラメーターと必ずしも一定の相関関係を示さないことが多数報告されている6~14).さらにその後の検討から,喘息の罹病期間が長期となると,気道過敏性の規定因子が好中球浸潤や気道のリモデリングなどといった吸入ステロイド薬の影響を受けにくい要因に変化する可能性が示唆されるようになってきた.
本稿では,気道過敏性亢進とその規定因子からみた喘息の難治化について考察する.
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