Japanese
English
特集 機能異常からみた呼吸器疾患
肺癌
Respiratory Function in Lung Cancer
井上 博雅
1
,
津田 幸
1
,
中西 洋一
1
Hiromasa Inoue
1
,
Miyuki Tsuda
1
,
Yoichi Nakanishi
1
1九州大学大学院医学研究院附属胸部疾患研究施設
1Research Institute for Diseases of the Chest, Faculty of Medicine Sciences, Kyushu University
pp.929-935
発行日 2005年9月1日
Published Date 2005/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100095
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はじめに
肺癌は,他の臓器の癌と比較して組織型が多彩であり,各々の生物学的特性も異なっている.病態に影響する要素,例えば腫瘍の発生部位,大きさ,胸郭内への進展の有無,全身転移の有無と広がりの程度,異所性ホルモン産生の有無,腫瘍随伴症候群併発の有無などを考慮すると,肺癌の病態は千差万別で,極めて複雑といえる.また,肺癌は高齢者に多い疾病であり,喫煙と発癌の因果関係は疫学的に明らかである.喫煙に伴う慢性閉塞性肺疾患などの肺機能障害を合併している症例も少なくない.肺線維症,珪肺,石綿肺なども肺癌発生の危険因子であることを考えても,肺癌診断時に,すでに肺疾患を有する例がかなりあることが考えられる.以上を考慮すると,肺癌患者の機能異常について一括して論ずることは極めて困難である.
肺癌の機能異常については,肺癌そのものの進展や転移に伴うもの,治療に伴うもの,傍腫瘍症候群によるものなどの病態において,種々の機能異常が考えられる.そこで,本稿ではそれぞれの病態に伴う機能異常に触れた後,呼吸機能異常を合併するLambert-Eaton症候群について最近の知見を紹介する.さらに,肺の機能的な検索が重要と考えられる肺切除の手術適応について述べる.最後に,肺癌の代謝機能を描出する核医学的検査であるpositron emission tomography(PET)検査について概説する.
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