今月の主題 腎疾患—最近の展開とトピックス
尿細管疾患:病態生理に関する進歩
Bartter症候群
藤田 敏郎
1
1筑波大学・臨床医学系内科
pp.1768-1769
発行日 1985年10月10日
Published Date 1985/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219963
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1962年,NIHのBartterらによって,5歳と25歳の黒人に,高アルドステロン血症,低K血症,アルカローシス,腎の傍糸球体装置の過形成を認めた症例を,新しい症候群として最初に報告がなされた1).当初,本症候群の診断基準として,①血漿レニン活性の上昇,②アルドステロン分泌増加とそれに由来する低K血症性アルカローシス,③アンジオテンシンIIに対する昇圧反応の低下,④腎傍糸球体装置の過形成と肥大,⑤正常血圧,⑥浮腫のないこと,の6項目があげられた(表).
Bartter症候群は,二次性アルドステロン症の1つであり,アルドステロンの産生増加によって低K血症を呈する症候群である.一般に,二次性アルドステロン症は,浮腫や腹水を伴う疾患や,腎血管性高血圧症のような高血圧を伴うものが大部分を占めるが,Bartter症候群は浮腫も高血圧もないのに,レニン・アンジオテンシン・アルドステロン(R-A-A)系の亢進があるという点で,きわめて特異な疾患であるといえる.
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