図解・病態のメカニズム 腎疾患・2
Bartter症候群
柴垣 有吾
1
,
藤田 敏郎
1
1東京大学医学部第4内科
pp.385-391
発行日 1997年2月10日
Published Date 1997/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904392
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
概念
1962年,Bartterは,低カリウム血症,代謝性アルカローシス,レニン-アンジオテンシン-アルドステロン(RAA)系の亢進を伴い,病理学的に腎の傍糸球体装置(juxtaglomerular apparatus)の過形成を認める症候群を提唱した1).本症候群では,二次性高アルドステロン血症を認めるにもかかわらず,浮腫や高血圧を認めないのが特徴である.この症候群の病因については諸説があり,生理学的解析からそれぞれヘンレループ上行脚太い部(TAL)のNa-K-2 Cl cotransporterが有力とされていたが,1996年,LiftonらのグループはBartter症候群の患者家系の遺伝子解析からNa-K-2Cl cotransporter2),K channel(ROMK)3)の遺伝子異常を見いだしたのである.
最近では,Bartter症候群とほぼ同じ臨床的特徴を持つが,発症年齢,Ca, Mgの動態などに違いがあるGitelman症候群が知られており,今までBartter症候群と考えられていたものの多くがGitelman症候群であった可能性が考えられているが,詳細は次号にゆずりたい.
Copyright © 1997, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.