臨時増刊特集 問題となるケースの治療のポイント
X.内分泌疾患
薬物療法のポイント
200.抗甲状腺剤の適応と使い方
雪村 八一郎
1
,
山田 隆司
1
Yaichiro Yukimura
1
,
Takashi Yamada
1
1信州大学医学部・老年科(内分泌)
pp.2542-2543
発行日 1983年12月1日
Published Date 1983/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218741
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症例
43歳,女性.2カ月前より手指振戦,体動時の動悸.発汗が生じ,食欲は亢進したが体重が78kgから60kgに減少したため来院した.
脈拍120/分整,血圧140-60mmHg.発汗が強く,舌,手指に振戦を認める.眼球突出はないがMöbius徴候,Graefe徴候ともに陽性で,甲状腺腫をIIIびまん性軟に触知した.心音の亢進を認めるが,心拡大なく浮腫もない.甲状腺腫,頻脈,眼症状から甲状腺機能亢進症と診断した.このときの血中サイロキシン(T4)値は20.4μg/dl,トリイオドサイロニン(T3)値は486ng/dlと異常高値1)を示し,抗甲状腺抗体は陰性で,TRH試験2)では甲状腺刺激ホルモン(TSH)の分泌反応を認めなかった.ヨード摂取率は48%(4時間値)と増加していた.治療経過を図に示した.
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