今月の主題 臨床栄養学—最近の進歩
人工栄養法—経静脈栄養法と経腸栄養法を中心として
適応
大柳 治正
1
,
斎藤 洋一
1
Harumasa OHYANAGI
1
,
Yoichi SAITOH
1
1神戸大学医学部・第1外科
pp.619-621
発行日 1981年4月10日
Published Date 1981/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217121
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1960年代前半のWretlindら1)による脂肪乳剤の完成と1960年代後半におけるDudrickら2)による高カロリー輸液の概念と方法の完成は,経静脈栄養法(intravenous hyperalimentation,IVH,あるいはtotalparenteral nutrition,TPN)を普遍化させ,小児外科や消化器外科領域などの経口摂取不能な患者管理を飛躍的に進歩させた3〜6).またTPNは内科領域においても消化管の一過性の安静を得たいときや,急性膵炎7)あるいは肝不全8)などの治療に良好な成績をもたらした.
一方,同じ1960年代にGreensteinやWinitzら9)によってほぼ満足すべき完成品が作られた化学的既成食(chemically defined diet)も消化をまったく必要としないED(elemental diet)として,TPNとほぼ同じ効果と適応を有すると報告されている.さらに,最近では超低残渣食としてEDと同じように使用可能な経腸栄養食もできている5,6).
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