Japanese
English
特集 消化器良性疾患の手術適応—最近の考え方
慢性膵炎
Recent operative indication for chronic pancreatitis
宮崎 直之
1
,
山本 正博
1
,
斎藤 洋一
1
Naoyuki MIYAZAKI
1
,
Masahiro YAMAMOTO
1
,
Yoichi SAITOH
1
1神戸大学医学部第1外科
pp.533-538
発行日 1989年4月20日
Published Date 1989/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210337
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
慢性膵炎手術症例69例の治療経験にもとづいて,慢性膵炎の手術適応について検討した.教室では手術適応を,①疼痛が著しく内科的治療の無効なもの,②膵嚢胞,膵膿瘍,膵瘻の合併するもの,③胆道狭窄や胆道疾患を合併するもの,④膵癌の疑いのあるもの,⑤その他,としている.自覚症状が軽度で合併症も認めない膵石症例はただちに手術とは考えておらず,ただ膵癌を合併する頻度が少なくないという点も考慮し厳重なfollow upを行う方針をとっている.
最近,厚生省特定疾患・難治性膵疾患調査研究班により,慢性膵炎の治療指針の改訂,手術適応,術式の選択を含めた外科的治療指針の作成も試みられており,今後はこれらの指針に準じた治療をすすめていきたい.
術後の疼痛に対する効果は,消失もしくは軽減したものが87.5%にみられ,ほぼ満足すべき成績が得られたが,耐糖能の変化では不変例・悪化例がほとんどであった.
慢性膵炎の病期や病態はきわめて複雑であるため,膵病変の実態や本症に随伴する合併症を十分に把握し,さらに症例個々の社会的背景,quality of lifeを考慮して手術適応を的確に判断することが重要であり,退院後も十分な生活指導が必要である.
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.