特集 これだけは知っておきたい治療のポイント
VII 神経
5.神経・筋疾患におけるいわゆる"難病"の治療と管理
進行性筋ジストロフィー症
橋本 俊顕
1
1鳥取大・脳神経小児科
pp.1850-1851
発行日 1973年11月20日
Published Date 1973/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205135
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進行性筋ジストロフィー症(以下DMPと略)は進行性の筋力低下と筋の荒廃をきたす遺伝性の疾患であり,原因は今なお明らかでない,一部の例外を除き,本症では骨格筋の近位筋群が犯され,病変の進展は宿命的であり,進行の遅促はあるが末期には呼吸筋,心筋も荒廃し,呼吸不全,心不全を起こし生命をおびやかすことになる.
DMPの治療については,現在のところ原因不明の故に全く暗中模索の状態である.ニワトリ,マウス等の筋ジストロフィーに効果のある薬剤を人間に応用しているが,DMPの進行の阻止,改善,治癒をもたらしうる決定的な対策は見出されていない,しかしながら,種々の薬剤,リハビリテーションの加療をすることにより,自然に放置された場合と比較して,歩行期間の延長,血清CPKの低下,日常生活動作(ADL)の改善などの治療効果がえられることは確かである.特にリハビリテーションの実施は重要であり,ADLの改善は患者を勇気づけ,希望を与え,生活をenjoyさせることができる.
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