特集 神経学における最近の研究
<臨床>
進行性筋ジストロフィー症研究の進歩
杉田 秀夫
1
1東京大学医学部付属脳研究施設神経内科
pp.825-827
発行日 1978年7月10日
Published Date 1978/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904949
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進行性筋ジストロフィー症(DMP)は遺伝子によって規制された疾患である。DMPは臨床的に6型に分類されており,各々遺伝形式,発症年齢,筋萎縮分布を異にしており遺伝子生化学的に異質のものと言えよう。DMPの研究はこのうち,伴性劣性遺伝の形式をとり最も進行の速いDuchenne型DMP(DMD)を中心として進歩して来た。しかし本症の成因は依然として明かではない。ここ10数年間本症の病因に関し,血管説,神経説,筋原説などが提唱されている。
血管説は血流障害にその原因を求める学説であり,1961年DEMOS1)はDMP患者の循環時間の遅延を報告し,この問題はさらに血小板におけるカテコールアミン代謝異常へと発展してきた。またK.ENGEL2)らにより実験的に虚血による筋萎縮との対比が報告されている。しかし一方ではJERusALEMら3)は小血管のmorphometric analysisを行ない血流障害は認められないと報告している。また,カテコールアミンの排泄は正常であるとの報告もありなお多くの未解決の問題を残していると言えよう。
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