臨時増刊特集 身体所見のとり方と診断のすすめ方
●全体的な把握
II.精神と意識
3.意識障害の程度の診かた
里吉 営二郎
1
,
本多 虔夫
2
1東邦大内科
2横浜市民病院内科
pp.712-714
発行日 1971年5月20日
Published Date 1971/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203640
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「意識がある」とか「意識がない」という言葉は日常,非常に多く使われる言葉であり,深い考えなしに使われるのが普通である.しかし.時によって,意識があるのかないのか容易に決められない症例に出くわすのは誰もが何回か経験していることであると思う.このような時に,それでは意識とは何かと考えてみると,誰もが異議なしに同意できるような答はなかなか与えられない.従って,ここではRaymond Adamsに従って,「意識とは,その周囲を知覚している状態」と定義したい.勿論,患者が周囲を正確に意識しているがどうかは,医師はその行動と言葉から判断するほかはない.従って,正常の意識をもっている患者とは,「その行動,言葉からみて,その周囲を正確に知覚していると考えられる者」である.
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