目で見る神経病学・2
意識障害のある患者の診察
本多 虔夫
1
1横浜市民病院内科
pp.1302-1304
発行日 1967年9月10日
Published Date 1967/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201918
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意識障害のある患者について,正しい神経系の診察をすることは,その意識障害の原因をみきわめるのに重要である。すなわち意識障害で四肢の麻痺,眼球運動麻痺,顔面麻痺,瞳孔の異常,眼振などの巣症状を伴うときは脳腫瘍,脳軟化,脳出血など脳内に病巣をつくる疾患,あるいは抗けいれん剤中毒のように中枢神経系のある局部を主としておかす疾患が考えられる。また髄膜刺激症状を伴うときは,くも膜下出血,髄膜炎が疑われる。これに対して単に意識障害のみを起こすのは肝性昏睡,糖尿病昏睡,低血糖昏睡,睡眠剤による中毒など主として神経系の代謝異常を起こす疾患である。したがつてこれら神経症状の有無を明らかにすることが,その患者に対するその後の処置,治療を決めるうえにいかに重要であるかはいうまでもない。
まず頭部に腫張,陥没,叩打痛がないか視診,触診,打診をし,さらに項部強直がないか調べるのは意識がはつきりしている患者の診察と同じである。
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