書評
新医学教育学入門―教育者中心から学習者中心へ
岩田 健太郎
1
1亀田総合病院総合診療教育部感染症内科
pp.1299
発行日 2005年7月10日
Published Date 2005/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402107519
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「君は,前期48点,後期49点だった.平均50点ない者は不合格にしたんだ.でも,前期30点,後期60点だった者は,努力の跡が見られたから合格にした.まっ,もう1年やってくれ」
こう言い捨てられ,本書の筆者である大西弘高氏は留年の憂き目にあう.挫折を,それも理不尽な挫折を味わった経験を持つ者なら,これが若い心にどのくらい深い傷跡を残すか容易に想像できるだろう.もちろん,当時は「理不尽な世界」は「大人の世界」であり,「おまえも早く大人になれよ」と諭されるのであるが,これが「まやかし」や「ごまかし」とほぼ同義語であることを知るのに,そう時間はかからない.
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