特集 医学教育の中のコミュニティ・ヘルス
病院を中心としたコミュニティ・ヘルスの教育
倉田 正一
1
1慶応義塾大学医学部病院管理学
pp.248-251
発行日 1976年4月15日
Published Date 1976/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205164
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Ⅰ.前提となるもの
医学教育に関する記述は枚挙にいとまないほど膨大であり,各種審議会・協議会等の建議,答申・勧告・報告などが続いている.そしてその多くは,大方の賛同するところであろう.たとえば,全国医学部長病院長会議の医学部(医科大学)あり方委員会による「医学教育の現状とあり方」(昭50)によれば,「大学病院は教育,研究のほかに,本来地域の医療機関のセンター的存在として,診療責任の一端を担うものである.むしろ,それなりの診療責任を全うするために研究が行われ,この両者によって教育が行われるといってもよい.従って大学病院は,他にいくつかの総合病院,小児・母子センター,精神病院,成人病センター,リハビリテーションセンター,救急病院,診療所,保健所などと調和をもって地域医療体系を形造らねばならない」とある.また次のようにものべている.「このことは卒前教育のみならず,ことに卒後の教育,生涯教育のためにも責任があり,かつ充実した,大学病院を含めた地域保健医療体制の確立が早急に望まれる.そして,すべての病院を目的に応じて診療に耐える病院に整備し,そこで医師が生活の保障を得て医師らしく生き甲斐を感じて働けるようにすれば,医師の偏在も次第に是正されてゆくであろう」と.
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