特集 理学療法士の卒後教育
日本理学療法士協会の生涯学習システム―新人教育を中心に
青木 一治
1
,
城 由起子
1
1名古屋学院大学人間健康学部リハビリテーション学科理学療法学専攻
pp.709-715
発行日 2007年9月15日
Published Date 2007/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101018
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
2007年5月時点で,日本における理学療法士養成校は,学校総数では231校,入学募集校としては218校,入学定員11,774名である.社団法人日本理学療法士協会(以下,本会)の組織率は,2006年度末で83.8%と,他の医療団体と比較すると高い組織率を有している1)(2003年度:日本医師会61%,日本歯科医師会70%,日本薬剤師会40%,日本看護協会:50%弱2)).本年の3月に実施された第42回理学療法士国家試験の合格者数は6,559名であり,組織率に換算すると5,500名弱が本会に入会することになる.本会で新人教育プログラムが開始された当時の会員数は,現在の新卒入会者の数よりも少なく,4,325名であった1).そのため,当時と比べると新卒者数の急増,組織の巨大化が進んだ現在では,会員個々への細やかな配慮は難しくなった.しかし,専門職の団体として,職能・学術面での質の低下を来すようなことになってはならない.本会の倫理規定にある基本精神の「3.理学療法士は,専門職として常に研鑽を積み,理学療法の発展に努めなければならない」(表1)3)を個々人が実行できればよいが,なかなかそうも行かない.特に新卒者にあっては,そのような環境が整備されていなければ自ら行うことは困難であろう.そこで,本会は生涯学習システムを打ち立て,professionとしての自律性を有する集団,個人になるよう,まずは卒後教育の充実を図るための「新人教育プログラム」を開始することとなった.本稿では,「新人教育プログラム」開始までの経緯と今後の展望についてまとめる.
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.