特集 被ばく医療における看護の人材育成と研究─弘前大学大学院被ばく医療人材育成プロジェクト
プロジェクトにおける被ばく医療教育
2.現職者を中心とする被ばく医療教育
井瀧 千恵子
1
,
北嶋 結
1
1弘前大学大学院保健学研究科
キーワード:
緊急被ばく医療
,
汚染患者受け入れ
,
除染
,
医療者の放射線防護
Keyword:
緊急被ばく医療
,
汚染患者受け入れ
,
除染
,
医療者の放射線防護
pp.39-46
発行日 2013年2月15日
Published Date 2013/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100740
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はじめに
被ばく事故はその予防が最も重要ではあるが,万が一発生した場合の対応も必須である。緊急被ばく医療は高度医療の集約が必要となり,チーム医療が基本となる。緊急被ばく医療の対応では,看護師は医師,診療放射線技師,放射線管理要員といった放射線の専門家とチームを組み,放射性物質が付着し汚染された患者(以下,汚染患者)や内部被ばく・外部被ばくを伴う被ばく患者(以下,被ばく患者)の看護,汚染対策や除染,線量測定,放射線管理などの対応が求められる(弘前大学大学院保健学研究科緊急被ばく医療検討委員会,2009;青木,前川,2004)。
弘前大学は,「緊急被ばく医療支援人材育成及び体制の整備」事業に2007年度から取り組み,2008年度には文部科学省特別教育研究経費に採択され,「緊急被ばく医療人材育成プロジェクト」を開始した。人材育成プログラムを作成するにあたり,学部教育,大学院教育,現職者教育のワーキンググループに分かれ,教育内容の検討が行なわれた。
現職者を中心とする医療者教育(以下,現職者研修)は,2010年度から開始した。現職者研修の教育内容を構築するにあたって,研修を受講する専門職者の決定から始めた。弘前大学は看護学専攻,放射線技術科学専攻,検査技術科学専攻,理学療法学専攻,作業療法学専攻の5専攻で構成されている特徴を有しているが,緊急被ばく医療の特色から,看護学・放射線技術学専攻,すなわち看護職と診療放射線技師を対象とした人材育成プログラムを作成することになった。本稿では看護職の現職者研修について,その概要と研修内容,成果および今後の展望について述べる。
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