特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集
内分泌学的検査
そのほかのホルモン
レニン
保嶋 実
1
1弘前大学大学院医学研究科臨床検査医学講座
pp.366-368
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104795
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
レニンは腎傍糸球体細胞で産生・分泌される酵素である.腎灌流圧(圧受容体)の変化やマクラ・デンサ(密集斑)へのナトリウム(Na)負荷,交感神経β受容体活性,循環血中アンジオテンシンⅡ(AⅡ)濃度などを介する刺激により,血中に分泌される.レニン基質(アンジオテンシノゲン)に作用し,アンジオテンシンⅠ(AⅠ)を産生する.AⅠはアンジオテンシン変換酵素(angiotensin-converting enzyme:ACE)によりAⅡに変換される.AⅡは血管平滑筋の収縮による昇圧と副腎からのアルドステロン分泌を促し,血圧・体液調節に重要な役割を果たしている.レニンの産生,そして分泌から,AⅡに至る経路はレニン・アンジオテンシン(RA)系と呼称されており,レニンがこの系の律速酵素である.したがって,病態や疾患におけるRA系の活性を評価する指標として血漿レニン活性(plasma renin activity:PRA)および血漿レニン濃度(plasma renin concentration:PRC)が用いられている.PRAは,レニンがアンジオテンシノゲンに作用し,産生されるAⅠを放射免疫測定法(radioimmunoassay:RIA)法により測定するものである.PRAはアンジオテンシノゲン濃度とレニン濃度の影響を受けるが,PRCの直接定量法はアンジオテンシノゲン濃度の影響を受けない利点がある.妊娠や肝硬変を除きアンジオテンシノゲン濃度はほぼ一定に保たれているので,PRAはPRCと相関する.日常の検査ではRA活性の指標として,PRAが用いられている.
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