今月の主題 高血圧の問題点と最近の治療
高血圧症の検査
レニン活性とアルドステロン
吉永 馨
1
,
保嶋 実
1
1東北大第2内科
pp.1376-1378
発行日 1977年10月10日
Published Date 1977/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207394
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はじめに
高血圧の病態生理におけるレニン・アンジオテンシン・アルドステロン(RAA)系の役割については,古くから研究がなされてきている.悪性高血圧,腎血管性高血圧,レニン産生腫瘍においては血漿レニン活性やアルドステロンは高値を示し,原発性アルドステロン症,特発性アルドステロン症においてはアルドステロンは高値を示すが,血漿レニン活性は低値を示すことが知られている.低レニン型本態性高血圧と診断されるもののなかに,アルドステロンが低値を示すものと正常値を示すものがあり,両者の病因の異同が論議されている.また低レニン型本態性高血圧は臓器障害の程度が軽く予後が良好であるのに対して,高レニン型本態性高血圧は臓器障害の程度が強く予後が悪いとする報告もあるが,これに対しては反論もみられる.さらに,本態性高血圧の治療に際して血漿レニン活性を考慮し,薬剤を選択する試みもなされている.したがって,血漿レニン活性,アルドステロンの測定は,各種高血圧の病態生理の研究や診断的意義だけでなく,本態性高血圧の予後判定や降圧療法上欠くことのできない検査となっている.
本稿では血漿レニン活性やアルドステロンの測定,さらにそれらを評価するについての問題点ならびに臨床的意義について述べる.
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