今月の主題 内分泌疾患診断の進歩
知っておきたいホルモン
レニン・アンギオテンシン
福地 總逸
1
1福島医大第3内科
pp.518-519
発行日 1977年4月10日
Published Date 1977/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207154
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レニンは腎糸球体の血管極に存在する傍糸球体装置から血中に放出されてのち,血漿中のαまたはβ-グロブリン(レニン基質)の中の糖蛋白のleu-leu結合に作用して,デカペプチドであるアンギオテンシンIを遊離する蛋白酵素である.このアンギオテンシンIも,レニンと同様,生物学的に不活性であるが,血液中の転換酵素により直ちにhistidineとleucineを遊離して,アンギオテンシンIIになる.アンギオテンシンIIは血管壁の平滑筋を収縮させるだけでなく,副腎からのアルドステロンの分泌を刺激し,また直接腎の遠位尿細管に作用して,Na排泄を抑制する作用をもっている.
レニン・アンギオテンシン・アルドステロン(RAA)系は血圧の調節に,また水・電解質の調節を介してホメオスターシスの維持に重要な役割を演じている.腎のレニン放出を増加する因子としては,腎の灌流圧の低下,腎血流量の減少,血漿Na濃度の低下,交感神経系の亢進が知られている.レニン放出を低下させる因子としては,増加させる因子の逆の機序のほかに,アンギオテンシンまたはレニンそれ自体がある.腎からのレニン放出が増加すると,アンギオテンシンを介して血圧を上昇させるとともに,副腎からのアルドステロン分泌を刺激し,アルドステロンは腎遠位尿細管におけるNa再吸収を促進し,K喪失を促がす.その結果,高血圧と低K血をきたし,腎灌流圧は上昇し腎血流量は増加するので,レニン放出を低下させる.
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