特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集
内分泌学的検査
性腺
テストステロン
伊藤 直樹
1
,
小林 皇
1
,
塚本 泰司
2
1NTT東日本札幌病院泌尿器科
2札幌医科大学医学部泌尿器科
pp.364-365
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104794
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
血中テストステロンの95%は精巣の間質にあるLeydig細胞で産生される.その産生は視床下部-下垂体により調節されている.視床下部から分泌される黄体ホルモン放出ホルモン(luteinizing hormone-releasing hormone:LH-RH)が下垂体からの黄体ホルモン(luteinizing hormone:LH)の産生を刺激し,LHが精巣Leydig細胞に作用しテストステロンが産生される.テストステロンは視床下部-下垂体にフィードバック作用し,LH-RHとLHの分泌を調節する視床下部-下垂体-精巣系を形成している.すなわち,この系のどこかに異常があるとテストステロン産生が低下する.視床下部-下垂体の異常による場合は,LHが低下するため低ゴナドトロピン性精巣機能不全という.ゴナドトロピンとはLHとFSH(follicule stimulating hormone:卵胞刺激ホルモン)の総称である.精巣自体に異常がある場合は,視床下部-下垂体系にフィードバックがかからないためにLHが上昇することから高ゴナドトロピン性精巣機能不全という.同じテストステロン低下でも障害部位により全く違う病態であり,治療方針も変わってくるため,鑑別診断は重要である.
一方,血中テストステロンの約5%は副腎で産生されている.女性における男性ホルモン産生副腎腫瘍や先天性副腎皮質過形成ではテストステロン高値となるために男性化兆候が出現する.
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