免疫化学検査法 Ⅱ 測定法の実際
8・ホルモン
H その他
①レニン—血漿レニン活性を中心として
小平 司
1
1大塚製薬(株)大塚アッセイ研究所検査部
pp.877-879
発行日 1988年6月15日
Published Date 1988/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204631
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レニンとは
レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系は,生理的に血圧やNaの調節を受け持っている系であるとともに,カリクレイン-キニン系ともかかわりを持つ系でもある.腎臓の傍糸球体細胞から分泌されるレニンは分子量約40,000で,弱酸性の至適pHを持つ蛋白質分解酵素の一つであり,肝臓で生成されてα2-グロブリン分画中に存在するレニン基質(アンジオテンシノーゲン)に作用して,10個のアミノ酸から成るアンジオテンシンI(Ang I)を産生する.レニンの基質特異性は高くLeu-Leuの間しか加水分解できない.Ang Iはアンジオテンシン変換酵素(ACE)の作用でアミノ酸2個を切断してアンジオテンシンII(Ang II)に変化する.さらにAng IIはアミノペプチダーゼにより,末端のアミノ酸が一つ切断されてアンジオテンシンIII(Ang III)となる(図1).
レニン,Ang Iはどちらもそれ自体は昇圧作用を持たないが,Ang IIとIIIが末梢静脈中に強い収縮作用を起こして著しい昇圧作用を示し,また副腎皮質に作用してアルドステロンの分泌を増加させる.このアルドステロンの分泌増加は腎尿細管からのNaの貯留を促す.さらにAng IIIはアンジオテンシナーゼにより分解されて,不活性物質となる.
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