特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第7集
HLA検査と染色体検査
遺伝病のDNA診断
前川 真人
1
1浜松医科大学医学部臨床検査医学
pp.587-589
発行日 2005年11月30日
Published Date 2005/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101909
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
遺伝病は多くの場合,DNAの異常による単一あるいは複数の遺伝子の機能が消失・低下,亢進することによって発症すると考えられる.どの遺伝子が障害を受け,どのような遺伝子異常が存在するのかを調べることによって,疾患の診断,治療方針,予後推定に有用な情報を与える場合にDNA診断を行う.遺伝病は種類の多さの割にそれぞれの症例数は少ないため,個々の検査室では対応しづらく,ほとんどが研究を兼ねての検査となる.しかし,なかには検査センターで受託されている項目もあり,それらを検査法とともに表1に示した.
1. 目的別のDNA診断
1) 疾患の診断,治療法選択のための病型診断
発症している患者が,臨床的にほぼ疾患名が絞られており,その病型を診断したい場合,表現型が同じでも原因遺伝子がいくつか考えられ,蛋白レベルで解析が困難な場合にDNA診断を行う.また,遺伝子変異の種類・タイプによって治療法・予後が異なる場合も,治療法の選定・予後判定の目的で遺伝子診断が必要となる.例えば,多発性内分泌腫瘍(multiple endocrine neoplasia:MEN)2型はさらに細分類されるが,遺伝子変異の部位と臨床病型に関連性があるため,DNA診断が病型診断にもつながる1).
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