連載 循環器作業療法〜今,作業療法士がすべきこと〜・第2回
急性期における循環器作業療法
内藤 喜隆
1
Yoshitaka Naito
1
1心臓病センター榊原病院
pp.160-165
発行日 2025年2月15日
Published Date 2025/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091513540590020160
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はじめに
近年,心不全患者の増加が世界的な問題とされている1〜4).わが国でも心不全患者は急速な増加を示し,2030年には130万人を超えることが推計されている5).
そんな中,2019年(令和元年)に「健康寿命の延伸等を図るための脳卒中,心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法(循環器病対策基本法)」が施行され6),ADLの向上,生活の質の維持・向上を図るため,急性期から回復期および維持期・生活期まで一貫したリハビリテーションの重要性が示された.つまり今後,どの現場においても循環器疾患を抱えた患者に接する機会が増加することが予測される.ADLや生活の質の維持・改善といった観点では,作業療法士の専門性に期待されることも多いと考える.
循環器作業療法を行ううえでまず考えるべきは,リスク管理,安全性である.そのために最も基本となるのが,「患者の循環動態」を考え,「病態(作業療法が介入できる状態なのか?)」を把握することである.そこで今回,これから循環器患者に携わる作業療法士に向け,リスク管理に必要な情報や視点について述べていく.

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