保健師ジャーナル 61巻1号 (2005年1月)

特集 事例でみる保健師活動の評価 ここさえ押さえればクリアーになる!

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 いま,保健師はとても忙しく,仕事に追われています。「忙しくなくなったら何をしたいですか」と問いかけられたら,保健師であるあなたはどのように答えますか。

 「それはもちろん,地域の住民と触れあい,本当に必要な保健活動をすることです。いや,その前に何をしてきたのか,じっくりとしてきたことを振り返りたいです」

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 老人保健法にもとづく保健事業は,1996(平成8)年度に国から「保健事業評価マニュアル1,2)」が示され,保健事業の効果について評価が行われてきました。このマニュアルに示されている「市町村自己点検のチェックリスト」は,保健事業推進のための体制作りや計画の進捗状況,ならびに事業の進め方などのプロセスをチェックして,問題点を把握し,以後の計画策定や事業内容に役立てることを目的としたものです。

 鹿児島県においても,1997年度より,このマニュアルにもとづいて,市町村の自己評価結果をもとに保健所が管内の状況を分析し,分析結果を市町村に還元しています。私は,1999~2002年度の4年間,保健所で老人保健事業の担当としてこの老人保健事業の評価に関わってきました。しかし,評価結果を効果的な事業の展開に活かせず,毎年実施しながらも不全感を感じていました。

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満足度だけで評価できる!?

 介護保険サービスの評価については,利用者の満足度調査を実施している自治体が多い。しかし,介護保険の基本的理念である自立支援としての意義は満足度だけで評価できるのだろうか。

 とくに住宅改修や福祉用具では「できなかったことをできるようにする」という,自立を直接的に支援する点で意義を有するものであるが,利用者の主観的評価は,自立支援としての改修内容の妥当性の有無を必ずしも反映していない。

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「健康ますだ21」推進の経過と現状

「健康ますだ21」と保健所

 益田市は島根県の最西端にあり,島根県・山口県の県境に位置する人口約5万人,65歳以上の高齢者の占める割合が24.5%の市である。

 2004(平成16)年11月1日に,隣接する美都町(人口2600人),匹見町(人口1800人)との合併を果たした。

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 熊本県菊池保健所は,1市6町1村,人口約15万8000人を管轄し,2004(平成16)年度は市町村保健師39名,保健所保健師7名を擁しています。

 勤務経験年数別にみると,市町村は20年以上が8名,10~20年が10名,4~10年が16名,3年以下が5名と,母子保健事業の市町村移譲以後増加しています。保健所は,25年以上が4名,15~20年が2名,2003年度新規採用が1名と経験豊富な保健師が多数を占めています。

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埼玉県坂戸市では健康日本21市町村計画を,調査から企画・立案さらに実施まで,すべての段階で住民と行政が協働で推進している。取り組みを開始してわずか1年あまりだが,住民パワーの旋風が早くも吹き始めている。

 

 坂戸市は首都圏から45km の場所に位置し,緑と清流の豊かな自然に恵まれた首都近郊都市です。人口は9 万9166 人,高齢化率は14% です(2004 年10 月現在)。

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 私は看護系大学院に在学中,2003年6月から5か月間,ある児童養護施設にフィールドワークのため週に2~3回通った。私自身も児童と関わりを持ちながら,職員と児童とのやりとりを中心に参与観察を行い,あわせて職員へのインタビューも行った。フィールドワークの目的は,入所している児童のメンタルヘルスケアに看護師がどのように関わっているのかを明らかにすることだった。

 今回は,児童虐待の防止・予防に携わる保健師のみなさんに,児童養護施設で見聞した出来事を,施設で働く他職種の視点も含めて紹介したいと思う。

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駒ヶ根市の概況

 駒ヶ根市は長野県南部に位置し,標高650~670mで寒暖の差が激しく,脳卒中による死亡率が高い地域である。また,人口動態は人口3万4300人,出生率9.6%,高齢化率22.3%,死亡率8.7%と自然増はあるものの,少子高齢化が着実に進んでいる町である。

教育委員会に子ども課を設置

 子どもの教育・福祉・保健に関する施策を一貫した視点と理念で取り組むことの必要性が教育委員会より提言され,2002年度,庁内に関係係長と部課長職によるワーキンググループとプロジェクトチームが設置された。2年間かけて乳幼児期(胎生期を含む)から青少年に至るまで,子どもに関するすべての施策が1つの課で展開できる体制について研究・検討を重ねた。

連載 アジアに生きる アジアプレス発 現場ルポ・25

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連載 アノネ,フクロウ所長様!? 所長と保健師紀久香のおとぼけメールボックス・25

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 みなさま,あけましておめでとうございます。今年はトリ年,フクロウの年ですね~! 本日は,本連載の3年目を記念して,各市町村の保健活動の現場でご活躍のみなさんにお集りいただきました。

フクロウ所長 紀久香さんは,ハワイに旅行中だそうで,今年も「ナゾの」紀久香さんですね。みなさん,どんどんお話を聞かせてくださいね~!

連載 意思決定の統計学・7

費用対効果 松原 望
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費用対効果分析とそのインパクト

 X県のA,B,C,D,E町で,生活習慣病のグループ健康指導をやって,表のような平均BMIのデータが得られたとしよう。仮想例である。

 一見して,かかった費用が効果に対して妥当かどうか,あるいは同様の考え方だが,かけた費用に対して十分に効果が得られたかどうかを調べようとしていることが見てとれる。このような統計的分析を「費用対効果分析」あるいは「コスト・ベネフィット分析(cost-benefit analysis)」という。この分析は漠然と「評価」といわれるが,本来はここまでデータをとらなければならない。ここで「効果」「ベネフィット(benefit)」とは「利得」「利益」などを意味するが,これは

i)前後比較(おのおの5.3,3.3,2.6,2.9,4.5),あるいは

ii)目標達成程度(おのおの,+1.5,-0.2,-2.2,-1.1,+0.3)

 で測定できる。

連載 ニュースウォーク・82

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 定職に就かない若者を「フリーター」と呼んで,何やら社会問題のように話題にしていたのは,ここ10年来のことだった。だが近ごろは,学校に行かない,仕事はしない,職業訓練も受けない無業の若者「ニート」の登場である。2010年には100万人という試算が出て,心配のタネになっている。

 新“三無主義”を地でゆく若者について,第一生命経済研究所が2004年10月,試算を発表した。国勢調査にもとづく推計から,2000年で75万人だったのが,2005年には87万人,2010年に98万人,そして2020年に120万人になる。ニートがことさら指摘されるのは「消費の抑制や労働人口の減少による潜在成長率の低下」(同研究所)が心配されるからだ。

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■要旨

 2002年度からの市町村への精神保健福祉に関する一部移管業務について,F県K保健所管内のほとんどの市町が窓口に関する体制や連携のシステムが整備されないままに,申請などの手続き業務についてはとりあえず福祉部門で担当するという体制で4月より開始された。

 今回,管内市町の申請窓口において相談機能がどのように働いているかに注目して,保健と福祉の連携などについて実態を把握することにより,窓口機能に必要な条件を明らかにすることを目的とした。

 その方法として,グループインタビューを実施し,申請窓口業務に備えるべき機能の項目を抽出し,その項目に沿った調査票を用いて管内市町の実態を調査した。結果,申請窓口を担当していたのは,2町を除いた3市6町が福祉部門であり,3市8町の全市町が事務職対応となっていた。

 窓口業務の実態調査から,2002年度各市町窓口業務,市町村移管後の精神保健福祉業務に対する取り組みの差が明らかになった。これは必ずしも市町の従来の精神保健福祉活動の取り組み状況とは一致していなかったことがわかった。その要因として「窓口は申請などの手続きの場」「その場(窓口)に保健師がいない」「相談の連携先がわからない」「精神保健福祉業務は保健所がするもの」などの窓口担当者(事務職)の判断に委ねられていたことがわかった。

 今後の保健所の課題として,精神保健福祉活動に対して実態に即した市町村支援と広域調整の機能強化が重要であることが示唆されたと考える。

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■要旨

 市町村における「健康日本21」計画の現状と課題を分析するために,2003(平成15)年に530の市町村を対象にしてアンケート調査を行った際,自由記述欄を設け,計画の特徴や策定時の苦労を書いてもらった。その結果,208の市町村の担当者から声が寄せられた。本報告は,その担当者の生の声をてがかりに,市町村計画の問題点や課題を分析したものである。

 担当者の声をまとめると,住民の健康観にもとづいて計画を策定しようとした場合に,住民の意見を1つにまとめ,目標を設定することが困難な状況が浮かび上がってきた。その困難さは,住民主体の計画づくりを謳った「健康日本21」計画のジレンマから派生するものであり,担当者たちはこのジレンマに直面しながらも,住民の意見をまとめ上げようと苦労していることがわかった。また評価方法についても,国の計画の総論と各論のズレに当惑しながらも,数値目標を設定することの是非を議論し,評価方法を模索したと考えられる。そして計画推進にあたっても,住民の主体的参加による事業推進の難しさを感じ,他部署との連携を進めようと苦労している。その一方で,住民の意見をまとめる苦労をするなかで,担当者と住民のネットワークが形成される方向も示されている。

 このような苦労をしながら,時間的・予算的問題を乗り越え,計画策定に取り組んだのが多くの市町村における現状といえる。担当者たちのその苦労を知ることによって,「健康日本21」が抱えるジレンマや,総論と各論のズレが課題としてより明らかになってくる。

新連載 フランスの児童虐待防止制度・1

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少ない児童虐待事件の報道,しかし…

 2004年8月,パリ郊外のドランシーという町で,破れて汚れた服を着て裸足で道を歩いていた3人の兄弟が警察に保護された事件が報道されると,たちまちフランス中に論議が巻き起こった。この子たちは低所得者向けの公営住宅に住む夫婦の子ども5人のうちの3人で,近所の人の通報でことが明るみに出た。警察が自宅を訪れると,アパートは紙おむつと犬のふんが散乱し,目をそむけたくなるほどの汚なさだったという。1歳2か月から7歳までの5人の子どものうち,1歳2か月の子は体重が4kgしかなく,2歳の子は犬の咬み傷が治療されずにそのままになっており,全員が一時,病院に収容された。

 児童虐待を未然に防ぐためにさまざまな予防措置を講じているフランスで,子どもがこのようなひどい状態になるまで放置されていたという事実は,関係者に大きな衝撃をもたらした。マリー=ジョゼ・ロワン家庭・児童担当相は,「危険な状態にある子ども」についての情報を当局に通報することが,違反者には罰則を伴う市民の義務であることを強調し,親の責任を厳しく追及するとともに児童福祉関係の機関が正常に機能していたかどうかの内部調査も行う,という異例の厳しい声明を発表した。

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 一昨年,多摩・保健師の活動を考える会は,本誌に『保健師の援助技法を考える』を寄稿した★1。その後,寄稿文に対するさまざまな意見をいただいたが,そのなかに「叙述内容が個別援助活動に終始しているのではないか」という指摘があった。

 確かに,考える会が主張したかったのは,“全体的で俯瞰的な活動”と“個別援助活動”を連結する必要性であったが,援助論を組み立てることに主眼を置いたため,保健師活動の俯瞰図に具体的な形を与える作業はしなかった。そこで,考える会では,「個別援助から,どのように全体の課題を明らかにしていくか」を示すシートを作ることを目的に,1年にわたり検討を進めてきた。

新連載 看護系大学・研究所からのメッセージ・1

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■History & Now

――どういう機関なのでしょう?

 2001(平成13)年までは東京の白金台にある国立公衆衛生院公衆衛生看護学部でした。国立公衆衛生院は保健師の教科書にも載っているとおり,1938年に日本の公衆衛生活動の推進のために,ロックフェラー財団の援助で設立された機関です。国立保健医療科学院は,国立医療病院管理研究所と国立感染症研究所の一部が統合された機関で,厚生労働省管轄で,わが国の保健医療福祉の研究・教育を行う使命があります。

基本情報

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保健師ジャーナル
61巻1号 (2005年1月)
電子版ISSN:1882-1413 印刷版ISSN:1348-8333 医学書院

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