調査報告
市町村精神保健福祉申請窓口の相談機能に関する研究―F県K保健所管内市町の窓口業務の実態調査から
田中 忍
1
,
守田 孝恵
2
1福岡県久留米保健福祉環境事務所
2山口大学医学部保健学科
pp.48-55
発行日 2005年1月1日
Published Date 2005/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100008
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
■要旨
2002年度からの市町村への精神保健福祉に関する一部移管業務について,F県K保健所管内のほとんどの市町が窓口に関する体制や連携のシステムが整備されないままに,申請などの手続き業務についてはとりあえず福祉部門で担当するという体制で4月より開始された。
今回,管内市町の申請窓口において相談機能がどのように働いているかに注目して,保健と福祉の連携などについて実態を把握することにより,窓口機能に必要な条件を明らかにすることを目的とした。
その方法として,グループインタビューを実施し,申請窓口業務に備えるべき機能の項目を抽出し,その項目に沿った調査票を用いて管内市町の実態を調査した。結果,申請窓口を担当していたのは,2町を除いた3市6町が福祉部門であり,3市8町の全市町が事務職対応となっていた。
窓口業務の実態調査から,2002年度各市町窓口業務,市町村移管後の精神保健福祉業務に対する取り組みの差が明らかになった。これは必ずしも市町の従来の精神保健福祉活動の取り組み状況とは一致していなかったことがわかった。その要因として「窓口は申請などの手続きの場」「その場(窓口)に保健師がいない」「相談の連携先がわからない」「精神保健福祉業務は保健所がするもの」などの窓口担当者(事務職)の判断に委ねられていたことがわかった。
今後の保健所の課題として,精神保健福祉活動に対して実態に即した市町村支援と広域調整の機能強化が重要であることが示唆されたと考える。
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.