助産雑誌 75巻4号 (2021年4月)

特集 産後うつを防ぎたい!

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妊娠・出産を通して,両親学級で気軽に助産師と会話をする,妊婦同士が連絡先を交換する——そんな当たり前の光景が今,新型コロナウイルス感染防止のために困難になっています。それが妊婦や産後の母親を孤独にし,メンタルヘルスに大きな影響を与えることは容易に想像ができるでしょう。

妊婦・褥婦の自殺率が高いことは,以前より医療者間で問題になり,対応策が講じられていました。本特集では,産前産後の女性のメンタルヘルスに関する調査結果の解説や,現場にいる助産師が行っている産後うつの予防策,また妊娠中からの関わりなど,今だからこそ実施したい具体策をご紹介いただきます。

社会全体で妊婦や母親を守る,そんな気持ちになる特集であると幸いです。

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産褥期は女性が抑うつ症状を呈する時期といわれています。過去の研究から,社会的サポートネットワークの重要性が挙げられている中,未知のウイルスから乳児や自分の身を守るために,母親が外出を控え,人と接する機会が減った場合,どのような影響があるのでしょうか。産後の母親を対象としたインターネット調査を実施した筆者に,調査結果をご紹介いただきます。

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母親の孤独を解消するために,まずは助産師同士のつながりをつくることが大切です。助産師1人ではできないことも,仲間でカバーし合うことができますし,病院と地域の垣根を低くすることも可能かもしれません。筆者の地域での地道な努力と提案をご紹介いただきます。

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愛知県では,以前から周産期メンタルヘルス研修に予定数を超える助産師たちの参加があり,臨床現場では喫緊の課題と捉えられていました。そこで,県内の施設が横断的に情報交換をする会を愛知県看護協会助産師職能委員会が主催・実施し,実際に産後うつ予防に取り組んできたそうです。その内容をご紹介いただきます。

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妊娠期の面談をする助産師の固定化で,産後の抑うつの発生を抑えることが先行研究で明らかになっています。妊娠中のケアから分娩介助,産後の支援まで同じ助産師が対応している助産院でのケアをご紹介いただき,産後の抑うつを軽減する視点で考えてみたいと思います。

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 産前・産後に最も大変で支援の手を必要としているのは母親とその子どもである。その母子への支援の身近な担い手として,父親の役割が注目されている。2010年に始まった「イクメンブーム」を端緒に,わが国における父親の役割は大きく変わってきている。父親も家事・育児に関わることが期待され,それが「当たり前」という社会的価値観が根付きつつある。核家族化や男女共同参画社会の実現などの状況を考えると,父親が家事・育児をするようになる社会的な流れは今後も続いていくであろう。また,子どもを育てるということは,父親にとっても貴重な体験であり,人生を豊かにし得ることである。

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妊娠・出産・子育て中に,ずっと同じ助産師さん(かかりつけ助産師)が伴走してくれたら,どんなに心強いでしょう。妊婦と助産師をつなぐそんなシステムを立ち上げた株式会社nicomama。その概要をご紹介いただきました。

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はじめに

 兵庫県丹波篠山市(以下,当市)は人口4万1千人,年間出生数約260人の地方都市です。私は28年前,第1子を妊娠中に大阪府から自然豊かな当市へ移り住み,この地で出産・子育てをしてきました。当時は車で30分圏内に出産可能な医療機関が4カ所あり,各施設の特徴なども調べ,出産場所を選ぶことができました。

 しかし,全国的な産科医不足・集約化の影響で,当市においても2020年3月で兵庫医科大学ささやま医療センター(以下,ささやま医療センター)が分娩休止となり,出産できる施設は個人の産婦人科診療所1カ所となりました(図1)。

 2019年5月,ささやま医療センターが分娩休止の意向を表明したと同時に市長の呼びかけで「産科充実に向けての検討会」(以下,検討会)が発足し,検討を重ねました。その中で私が提案した「My助産師による産前産後の継続ケア」が,女性が安心して妊娠・出産・子育てができる支援と認められ,2020年8月,市の事業として本格始動となりました。前編ではその実現に至るまでの軌跡を振り返ります。

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本稿ではコロナ禍における関西国際大学の母性看護実習について述べていただきました。対面授業と遠隔授業を組み合わせたハイフレックス型授業での工夫・具体的な授業展開や,技術的な課題についてまとめ,授業を行った中で得られたものを振り返っていただきました。

連載 多様性があたりまえの未来へ 国内最大規模のLGBTs調査結果から・1【新連載】

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連載を始めるに当たって

 性教育やHIV/STI*1予防教育といえば異性愛の男女間におけることといった自明視されていることやそういった思い込みがあるかもしれない。2015年以降わが国においてもLGBTをはじめとするセクシュアルマイノリティ(LGBTs:エル・ジー・ビー・ティーズ)*2についての報道や自治体による取り組みが急増しており,助産師の皆さんにとっても耳にすることが以前に比すれば格段に増しているのではないだろうか。

 レズビアンカップルやゲイカップルで子育てをする「多様な家族」も少数ながら顕在化しつつあることを視野に,多様性を前提にした健康教育やその子育て支援が現実的に求められるようになっている。また,日本助産師会「助産師の声明・綱領」のⅢ 助産師の倫理綱領 第2項の平等なケアの提供には「女性と子どもおよび家族に対して,国籍,人種,宗教,社会的地位,ライフスタイル,性的指向などによる何らの差別を設けずに,平等にケアを提供する」と記されている。

 本連載では,出産や女性のライフスタイル支援のみならず,学校での出前による性教育などの健康教育の担い手として社会的要請がある助産師に今後備えておくことが求められる,性的指向と性自認の違いやその関連する知識,性別に基づく(あるいは基づかない)表現の多様さなどについて扱う。筆者がこれまでに実施してきたLGBTsを対象にしたアジア最大規模の国内調査データや事例を通じて,分かりやすくお伝えすることを計画している。

連載 続・いのちをつなぐひとたち・28

中村葵さん
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ピル処方アプリと連携し,大阪のユースクリニックで日本の若者に性知識を伝える

途上国で活動したいと医師を目指した中村葵さんですが,日本の同世代の性知識の低さを知り,性教育や避妊用ピルというテーマに取り組むことを決意しました。大阪に開院された,若者向けのクリニックに勤務することにした経緯や思いについて伺いました。

連載 宝物,教えてください・62

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 2006年の開院当初から助産院に飾っているこの絵は,わたしが生まれ育った家とその周辺の風景を描いたものです。この川辺を,自宅から7キロある中学,高校に,雨でも雪でも自転車で通っていました。助産師になろうと思ったのは,祖母が助産婦だった話を,この絵を描いた母に聞かされていたからかもしれません。

 母の実家に行った際に,祖母の助産婦免許や手帳を見たこともありました。祖母は母が中学生の時に亡くなったそうですが,六女の母の面倒はお姉さんの方がよく見ていたらしく,助産婦として飛び回っていたそうです。手帳にお産される女性の名前が書かれているところを見ると,昼夜なく呼ばれて忙しかったのかもしれません。母曰く,祖母は気丈な人だったそうです。

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北金ヶ沢のイチョウ 青森県西津軽郡深浦町塩見形356

 樹高31m(40mとも),目通り幹周*122m,推定樹齢は1000年以上といわれ,国指定天然記念物。文部科学省天然記念物サイトに,「垂乳根の公孫樹」と呼ばれて豊富な母乳の出を願う女性の信仰対象となり,秋田県や北海道からも女性が願掛けに訪れ,お神酒とお米を添えて祈る風習が昭和50年代まで続いていたと記載されている。またチチ*2に麻糸を巻きつけて祈ったという情報もある(浅井治海)。

 環境省が2001年に実施した巨樹・巨木調査では,イチョウの中で全国1位の大きさと認定。樹木全体としても国内で4番目の大きさとのことである。多数のチチが垂れ下がって地面に着いたものは幹の一部となっており,1本の木でありながらまるで森のように見える姿は圧倒的である。

連載 医療コミュニケーションことはじめ・9

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人の特徴の一つは,高度に発達した「心」を持って生きているということです。では,心とは一体何でしょうか。医療の中で,心をどのように把握したらよいのでしょうか。「心」とは何かを考えるに当たって,まず,「心」という言葉が日頃どのように使われているかを概観してみたいと思います。表を見ると,「心」という言葉は,相当多面的な意味を込めて,広く使われていることが分かります。

連載 ワタナベダイチが解説!両親学級アイスブレイク集 こんな時,どんなアイスブレイク?・12【最終回】

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はじめに

 1年間にわたってお届けしてきたアイスブレイクの連載も,本号で最終回となります。マタニティを取り巻く環境が大きく変わったこの1年間を振り返り,アイスブレイクの意義についてもう一度考えてみたいと思います。

連載 りれー随筆・435

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 私は3年前に自宅の一室を利用した「咲月助産院」を開業し,産前産後の相談やお母さんたちの交流会の開催を行っている一方で,兼業で総合病院の夜勤パートや,近くの助産院の出産のお手伝いをさせてもらっています。「助産院を開業する助産師さんって,すごい知識・経験が必要で,私なんか絶対ムリ!」って思っていた私がなぜ開業して,こんな形態で働くようになったのか,助産学校の先輩で大尊敬のゆずりは助産院の片山由美さんからいただいたバトンを受け,この機会に改めて振り返ることで,読者の皆さんにこんな助産師もいるんだなあと思っていただけたら幸いです。

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助産雑誌
75巻4号 (2021年4月)
電子版ISSN:1882-1421 印刷版ISSN:1347-8168 医学書院

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