海外レポート
ブラジル「光のプロジェクト」の今
髙橋 優子
1
1国際協力機構(JICA)人間開発部
pp.290-296
発行日 2019年4月25日
Published Date 2019/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665201237
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はじめに
国際協力機構(以下,JICA)は1996年から2001年にかけて,ブラジル・セアラ州で「ブラジル家族計画母子保健プロジェクト(通称「光のプロジェクト」)」を実施しました。これは,JICAの国際保健協力事業の中で,初めて「出産と出生」「助産」を中心に置いた技術協力プロジェクトでした。
プロジェクトの事前調査では,当時のブラジルの,妊産婦が一人の人間として尊重されない「非人間的なお産の文化」が指摘されました。そこで,出産現場のケアの質の向上を目指して,日本から延べ44名の専門家がブラジルに派遣され,ロールプレイ,演劇,グループワーク,ゲームなどをふんだんに取り入れた参加型トレーニングや臨床実践を通じて,日本の助産の心と技を伝えました。
助産師制度がなかった国に助産ケアを導入したこのプロジェクトの成果は,『助産婦雑誌』2001年4月号(第55巻4号)で特集が組まれています。
現在JICAでは,「人間的な出産と出生」のプロジェクトの意味を振り返り,国際保健協力における助産ケアの価値を掘り起こすための取り組みを行っています。その一環として,「光のプロジェクト」を中心に,これまでの活動の成果を紹介する映像資料を作成しており,筆者も,2018年10月にプロジェクト終了から17年経ったブラジルを訪問し,さまざまな人に出会い,現地で生の声を聞いてきましたので,「光のプロジェクト」の今をリポートいたします。
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