助産雑誌 72巻11号 (2018年11月)

特集 乳腺炎の重症化予防 診療報酬点数化の意義と,助産師による乳房ケア

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2018年度の診療報酬改定において,「乳腺炎重症化予防ケア・指導料」が新設されました。保険医療機関のみが算定できること,また施設基準があることなどに注意が必要ですが,助産師のケアが算定対象となったのは初めてです。算定に当たって必要な体制整備や,乳腺外科医の役割,また地域における「その後」の受け皿づくりはどうすればよいのかなどを共有し,助産師による乳房ケアや母乳育児支援の発展につなげたいと考えます。

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2018年度の診療報酬改定で新設された「乳腺炎重症化予防ケア・指導料」。その仕組みや内容についての解説とともに,診療報酬点数化までの日本助産学会等の取り組みについて報告していただきました。乳房ケア技術の向上に向けた今後の教育活動に関する情報も共有します。

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愛育病院で行なわれている母乳外来の実践を,経年的データも含めて紹介します。母乳外来の時間設定や料金,また助産師の院内教育制度とその成長についても触れ,今後の課題につないでいただきました。

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外来・病棟・退院後に継続した母乳育児支援を行なっている太田記念病院での取り組みとその成果,課題についてご紹介いただきました。また,混合病棟において助産師が母乳育児支援を通じて役割を認識することの重要性についても述べていただきます。

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乳腺炎の診療では,助産師と乳腺外科医が,それぞれの特徴を生かし連携することが大切です。乳腺外科医の立場から,授乳中女性の乳腺炎の「診断」および「治療」の実際について解説していただきました。助産師との連携・協働と役割分担,診療報酬の施設基準の今後についても述べられています。

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森田助産院で退院後の母子にかかわる立場から,乳腺炎重症化を予防するために早期ケア・継続ケアがいかに重要か,具体的な事例を含めて述べていただきます。また早期ケア・継続ケアを可能にする,病産院と地域の助産師の「助助連携」についても提案します。

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 2018年7月31日,東京都調布市の調布市文化会館たづくりの和室で,ゲゲゲの町の助産師会(代表・田中佳子さん)主催による「生きる力を育てる 遠野のわらべうた」が開催されました。

 講座の内容は,月齢の発達に合わせた赤ちゃんのあそびうたや,手遊びにかかわるものでした。講師は遠野のわらべうたの伝承者・木津陽子さん(千葉県柏市在住)です。木津さんは保育士の仕事にかかわる前は主婦でした。結婚して関西から関東で暮らす日々,身近に頼れる人がいなかったこともあり,息子さんの夜泣きにどうしていいかわからず,泣き続けた日々がありました。そんな時,子守唄を日常生活に取り入れたことをきっかけに,遠野のわらべうたとの出会いが始まりました。

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緒言

 近年,周産期医療機能の分担および連携強化がうたわれ,A県においても分娩施設の集約化が進んでいる1)。集約後の分娩施設では助産業務が多忙となり,妊産褥婦に対するケア時間の減少が問題とされている2)。また,分娩施設集約に付随し,産後の早期退院の導入が広がっているが,それには,退院後の母親が地域での子育てに1人で悩み,孤立することのないような産後支援が不可欠である3,4)

 2011年の東日本大震災により,A県B市では分娩施設集約や産後の早期退院など周産期医療の問題が一層深刻化し,頼る場所をなくした母親たちは心身に支障をきたしかねないほどストレスフルな状況に置かれた5)。母親たちは自ら妊娠・出産・子育てに対する支援を求め,地元の助産師や支援に入っていた助産師らがその声に応える形で,地域の母親たちとともに母子支援活動を開始した。

 地域母子支援活動の効果として,参加する母親が仲間をつくり子育てに関する情報交換が行なえること,気分転換が図れ子育ての不安が軽減できること,子どもにとってはさまざまな人と触れ合い社会関係が拡大することが先行研究で報告されている6-8)。一方で,運営者主体の母子支援は,経済的負担があることや支援の利用が不便なこと,参加者の人間関係が活動参加の妨げになる場合があること7)などの問題が指摘されている。

 B市での母子支援活動は,震災から7年が経過した今日も形を変えながら継続しており,母親が利用しやすい環境や母親のニーズを満たす要素があると考えられる。

 本研究の目的は,東日本大震災を契機に母親たちの声に応じて始まり継続している母子支援活動に母親が参加する理由,そこで体験したことによる母親自身の変化について明らかにし,今後の母子支援活動への示唆を得ることである。

 日本においては少子化が加速し,その対策として厚生労働省は「地域における切れ目ない妊娠出産支援の強化」を掲げ,2015年から産前産後サポート事業や産後ケア事業を開始した9)。本研究は,それら事業の1つのモデルとして,母親のニーズに対応した活動形態を検討する一助になると考える。

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はじめに

 わが国では,若者の性の問題が1990年頃からクローズアップされてきている。最近では性に関する商業的で興味本位な情報等が氾濫し,性行動が開放化・活発化しているのが現状である。財団法人日本性教育協会の2012年の調査1)によると,2006年に行なった調査に比べて2011年の性交経験率は,大学生女子では62.2%から46.0%へ,高校生女子では30.3%から22.5%へと大幅な低下がみられる。また,高校生を含めて全体的に妊娠や性感染症に対する意識は高く,「いつも必ず」避妊を実行する学生が8割に上ると報告しているものの,その一方で,不十分な避妊方法を行なっている者がなお3〜4割存在していることが指摘され,望まない妊娠の増加や人工妊娠中絶の実施につながりかねないと報告している。

 思春期は,性的な成熟を含めた身体変化を経験することで「性のめざめ」を体感し,性への興味や関心が高くなり行動化していく時期である2,3)。男女にかかわらず,性や異性に対して興味をもつこと自体は自然なことである。人間には性的自己決定権があるが,その権利を行使するには自己決定能力が必要である。性的自己決定能力とは,性と生殖に関して,自ら判断し,決定し,相互に尊重できる力である。その力は生まれつき備わっているわけではなく,学習によって身につけていかなければならない。

 性に関する価値判断が十分に確立し,自らの意思で判断,行動できる性行動の自己決定能力を育てるためには思春期,あるいはそれ以前から適切な性に関する指導や支援を行なうことが重要である。性教育の基本的な使命は,1人ひとりの子どもの自己決定権を行使するための自己決定能力をつけていくことにあり,1992年から学校教育で性教育がカリキュラムの中に位置づけられて系統的に行なわれている。2005年頃からは,性と生殖の専門家である助産師等の医療者も子どもたちへの性教育を積極的に実践している。

 静岡県立大学大学院看護学研究科助産学分野(以下,当大学院)では,助産師の資格取得を目指している大学院生(以下,院生)が,思春期を対象に,単に避妊を目的とした教育ではなく,命の大切さを考える性教育を毎年実施している。今回はこの取り組みを報告する。

この本,いかがですか?

異なり記念日 棚木 めぐみ
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 絵画でも文章でも,白眉と謳われるものは皆,作者がその作品にたどりつくために,前人未踏の地への心の旅をして帰ってきた感が漂っています。読み始めてすぐ,「ああ,この本はそういうものだ」って思いました。

 著者であるパパの感性が炸裂しています。実用書でも育児書でもない。ハイクオリティな詩,純文学にも似た筆致。何とも言えない輝きが,行間から眩しく放たれています。写真家さんなので合間に差し込まれた写真もいい。一瞬のきらめきを切り取る技が卓越しています。

連載 続・いのちをつなぐひとたち・6

盛山麻奈美さん&椎野まりこさん
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自分の体の感覚を信じて臨めば,聞こえなくても問題なし。

特別なことはなかった助産院出産

聴覚障害があるカメラマンの盛山麻奈美さんと,同じくカメラマンで聴覚障害のある夫の齋藤陽道さんとの間に,樹くんが誕生したのは,3年前。助産院で出産した盛山さんと,盛山さんの出産をサポートしたまんまる助産院の椎野まりこさんにお話をうかがいました。

連載 宝物,教えてください・34

すべての赤ちゃん 坂本 フジヱ
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 「私の宝物は,赤ちゃんです。自分がかかわってきた赤ちゃんだけではなく,世の中の全部の赤ちゃんです」。前日に生まれた赤ちゃんを抱っこしながら答えたのは,現役,94歳の坂本フジヱ助産師。

 「抱っこして赤ちゃんに対してお話していると,本当になんもかもわかったようなお顔をして答えてくれることが,私,うれしいんですよ」

連載 ワタナベダイチが行く! 全国・両親学級レポート・11

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はじめに

 岩手県盛岡市にある黒川産婦人科医院は,2011年の東日本大震災を機に両親学級の継続が難しくなりました。「家族のあり方を見直したい」という理由で,主要なスタッフの退職が相次いだためです。

 そんな同院が2018年4月,7年のブランクを経て学級再開を果たしました。やるからには前よりもよいものにしたいと,所要時間の短縮,プログラムの修正,新規プログラム追加,学級名称の変更など盛りだくさんのリニューアルとなった新生・両親学級。どのようにパワーアップして戻ってきたのか,再開第1回を取材させていただきました。

連載 未来の助産師を育てています わたしたちの教育現場・43

岐阜県立衛生専門学校 助産学科
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本校の沿革と教育の基盤

 岐阜県立衛生専門学校(以下,本校)は,岐阜県の中南部に位置する岐阜市の,山と川に囲まれた自然豊かな環境に立地しています。

 本校は1954年に,「岐阜県立高等看護学院」として設立され,64年間多くの卒業生を輩出している伝統のある学校です。現在は,助産学科,第一看護学科,第二看護学科,歯科技工学科,歯科衛生学科の5つの学科をもち,医療の専門職を養成しています。

連載 りれー随筆・406

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 2018年6月27日,菜桜助産所が「女性のチャレンジ賞特別部門賞(性差を踏まえた健康支援)」を受賞しました。男女共同参画社会づくりに向けての全国会議で活動報告をした後,総理大臣官邸で表彰式,総理大臣と国務大臣に女性の生涯にわたる健康支援のための助産所活用の可能性について直接お話ができて夢のような一日でした。

 開業したばかりの頃の私は,「分娩」「母乳」「育児」のキーワードしか持ち合わせていませんでした。しかし20年近くも助産所がなく,勤務する助産師の数すら少ない地域で開業する困難さに悩み,助産所継続の危機にもがく中で,2つの大きな気づきがあったことが,今の活動につながったのだと思います。

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次号予告・編集後記

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助産雑誌
72巻11号 (2018年11月)
電子版ISSN:1882-1421 印刷版ISSN:1347-8168 医学書院

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