助産雑誌 71巻8号 (2017年8月)

特集 大学院で助産を学び直す

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臨床現場で働くなかで湧き出てきた疑問や課題意識を原動力に,大学院で学び直すことを考えている助産師も少なくないようです。

本特集では,まず大学院教育の動向および展望,学び直すことの意義について解説していただいたうえで,自身のキャリア形成において大学院で学んだ助産師に,自らの体験を語っていただきます。

また,全国津々浦々の大学院でどのようなことが学べるのか,その特色について学校ごとに紹介していただきます。

これから大学院での学び直しを考えている助産師の皆さんの参考になれば幸いです。

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日本の大学院教育全体の方向性についての解説とともに,看護系大学院の現状について述べていただきました。そのうえで,近年の看護系大学院における助産教育の動向およびこれからの展望,どのように大学院を選べばよいのかについてお示しいただきます。

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臨床でフルタイムの勤務を続けながら,遠方の大学院での学習と2人の子どもの育児とを同時期にこなした経験のある筆者に,どのように当時の生活をマネジメントしていたのか,体験を振り返っていただきました。

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仕事や家庭をもちながら研究を進めていくのは皆の悩みの種ですが,試行錯誤するなかで,自分に合った方法が見つかるはずです。苦労しつつも自身の看護実践を振り返ったり,看護研究方略を学ぶことは,新しい自分に出会えるチャンスです。

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医師の言葉に発奮し,大学院進学を決意した筆者。それまでも,いろいろなケアにおいて助産師として必要な力を獲得するために,次のステージへと進んできたそうです。疑問を明らかにできる大学院で学ぶ意義を紹介していただきました。

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助産学分野の3つのコース

 日本赤十字北海道看護大学(以下,本学)は,学校法人日本赤十字学園が運営する6看護大学の2番目の大学として,人道・博愛の赤十字の理念を基調とし,1999年4月,オホーツク地方の中核都市である北見市に開設されました。北海道のなかでも太平洋からオホーツク海に囲まれた東部地域(十勝・道東・オホーツク)に存在する唯一の看護大学です。

 大学院は,2003年4月に設置され,高度な看護実践能力を備え,同時に広い視野に立って教育・研究能力を発揮することができる高度専門看護職者を育て,医療過疎地域と言われる北海道東部地域の看護の質向上とリーダーとなる人材を育成しています。

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大学院の概要

 東北大学大学院保健学専攻は,2008年に修士課程としてスタートし,2010年に博士課程を設置する段階で,博士前期課程・後期課程となった。スタートしてから10年にも満たない歴史的に浅い大学院である。看護学コースは保健学専攻に位置づけられ,既定の単位を履修し,最終試験に合格した者に修士(看護学),博士(看護学)の学位を授けている。

 東北大学の理念は,研究第一主義,実学尊重,門戸開放であることから,看護学コースの理念も,「看護学の先進的,学際的及び創造的な研究を推進し,国際的に通用する優れた研究者並びに豊かな人間性を備えた保健医療福祉の指導者を育成し,もって日本及び世界の人々の健康及び福祉の増進に寄与する」としている。看護学コースでは,研究者,教育者ならびにリーダーの養成を主に行なっている。

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大学院の概要

 東京医療保健大学大学院医療保健学研究科(以下,本学)は,職業人(有資格者)としてキャリアアップや質の向上を図るために,仕事を続けながら修士あるいは博士の学位が取得できるのが特徴で,未来の日本の医療と保健に貢献する研究ができます。

 修士課程には助産学と看護マネジメント学,看護実践開発学,感染制御学,周手術医療安全学,滅菌供給管理学,医療栄養学,医療保健情報学の8領域を設置しており,博士課程には感染制御学,周手術医療安全学,看護学の3領域があり,意欲ある人材を歓迎しています。

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大学院の分野紹介

 名古屋市立大学(以下,本学)は,2003年に大学院修士課程(博士前期課程)を,2005年に博士後期課程を設置し,「性・生殖看護学分野」をスタート。2008年の助産学領域「助産学分野」新設を経て,2011年より博士後期課程「性生殖看護学・助産学分野」,博士前期課程「性生殖看護学分野」と「助産学分野」となっている。

 公立大学で初めて大学院に国家試験受験資格取得コースを開設し,今年10年目を迎えた。研究能力を修得した助産師の育成に力を注いでいる。

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大学院の概要

 大阪大学大学院医学系研究科は,1998年に博士前期課程を,2000年に博士後期課程を開設しました。母性看護学・助産学領域(以下,本領域)にはリプロダクティブヘルス科学教室,母性ヘルスケア科学教室,ウィメンズヘルス科学教室があります。本領域では,教育・研究機関,保健医療福祉の場でグローバルに活動できる教育・研究・実践のトップリーダーとなる人材を養成しています。アメリカ,フィンランド,韓国,中国,台湾,モンゴル,スーダンの大学と部局間学術交流協定を結び,学生間の国際交流を推進しています。近年は中国からの留学生・研究生が増えています。

 修了時には修士/博士(看護学または保健学)の学位が取得できます。2018年4月からは,学部で行なっている助産師教育を博士前期課程に移行し,定員8名枠で助産師を養成する予定です。

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大学院の概要

 徳島大学には大学院として,常三島キャンパスに総合科学・先端技術科学の2教育部と,蔵本キャンパスに医科学・口腔科学・薬科学・栄養生命科学・保健科学の生命科学系5教育部が設置されています。

 助産実践コースが設置されている保健科学教育部は,博士前期課程(定員27名:助産実践コース定員8名含む)と,博士後期課程(定員5名)を有しています。博士前期課程は,看護学(4分野),医療情報科学(2分野),医用検査学(1分野)の3領域で,助産実践コースは,看護学領域ウイメンズヘルス・助産学分野の助産学(助産実践コース)に位置づけられています。

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助産学コースの理念

 鹿児島県では助産師の偏在化が顕著となり,各県で助産師派遣の取り組みが始められていていますが,問題解決はできていません。助産師としての高い実践力と地域のニーズに応じた周産期医療や母子保健のマネジメントができる人材が求められていますが,学部での教育では不十分と考えられます。

 そこで,鹿児島大学大学院保健学研究科博士前期課程助産学コース(以下,助産学コース)では,2年間の大学院で実践能力を高め,助産師の視点でのマネジメントの方法論や地域のニーズ・課題を探究する教育をし,将来地域のリーダーとなる助産師を育てたいと思っています。

連載 私たちの仕事場・19

湘南鎌倉バースクリニック
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 2016年5月に,湘南鎌倉バースクリニック(以下,バースクリニック)が湘南鎌倉総合病院(以下,本院)から10分のところに開院しました。本院の産科ポリシーは,20年前から自然分娩,アクティブバースを行なっていることです。そのなかから,ローリスクの方のお産を助産師が主体となり支える場所としてバースクリニックを設立しました。

連載 宝物,教えてください・19

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 『助産業務ガイドライン2014』は,2004年に助産所の業務ガイドラインとして刊行された『助産所業務ガイドライン』の2回目の全面改訂版です。この刊行にあたっては,関係諸団体の医師,助産師の方々の協力のもと,約2年をかけて検討し,全国で普及啓発のための研修会等を開催しました。『助産録』は,ガイドラインの検討過程で記録の重要性を再認識し,汎用できる助産録を提案するために検討委員会を発足させ,刊行しました。

 平成27,28年度子ども・子育て支援推進調査研究事業の報告書は,産後ケアに関する日本助産師会としての全国実態調査や利用者等への聞き取り調査を行ない,さらに,産後ケア施設が,市町村から産後ケア事業を受託してケアを行なう際のガイドライン案等を検討したものです。

連載 助産師スピリットを育てよう! 矢島助産院の実習調整会 助産院実習における学校との協働・5

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しくじり先生とは?

 “しくじり先生”が人生のしくじりを通して,人生に役立つ講義をしてくれるテレビ番組をご存知でしょうか? 実はしくじりが無駄ではなく,その後の人生の転換になることがプレゼンされ,あらゆるしくじりから学ぶことのできるとても面白い番組です。この番組をもじって,実習調整会の企画をしよう!と思い立ったのは,実は矢島助産院(以下,当助産院)にも長年にわたりしくじり続けていることがあったからでした。

 そのしくじりは何かというと,「カンファレンスにまつわるしくじり」です。みなさんも実習中にカンファレンスを行なっていると思いますが,学生にとって有効なカンファレンスができているのかわからないとか,カンファレンスの記録をとっているが活かし方がわからない,などの悩みはありませんか? また,業務の忙しさのなかで義務的になりがちで,自分たちも楽しめるものになっていないとか,テーマが似通っていて,前に聞いたという感覚になってしまうとか,そんなしくじりの数々です。実習期間中に行なわれるカンファレンスの数は,1年で実に30回超え。つまり年間30回を超えるしくじりです。

連載 ワタナベダイチ式! 両親学級のつくり方・14

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はじめに

 前回,事後アンケートの実施について書きました。今回はその番外編として,少しだけ補足しておきますね。

 これから両親学級を新たに導入したいと考えている場合は,「プレ講座 実施アンケート」を検討してみるのをオススメします。これは,両親学級を実際に始める前に,院内で一度スタッフ向けにプレ開催(練習のようなものです)をしてみて,その感想を募る,というものです。実際の妊婦さんではなく,スタッフへのアンケート調査ですね。紙に書いてもらうのがたいへんでしたら,プレ開催してその場で感想を発表してもらうだけでもいいかもしれません。

 スタッフ全員で考えたプログラムだったら,どんな内容なのか誰もがすでに知っているでしょうが,大切なのは,プログラムを間違えないように実演することではありません。受講者になってみる,という点です。プログラムを考えるのと,実際に受講者になるのとでは,全然印象が違って見えるものです。

連載 未来の助産師を育てています わたしたちの教育現場・29

山口県立大学 別科助産専攻
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沿革とアドミッション・ポリシー

 山口県立大学(以下,本学)別科助産専攻では,「地域の周産期医療および母子保健の発展と向上に資する専門職養成」を行なっています。以下に教育の特徴や魅力について述べます。

 本学は,「人間性の尊重」「生活者の視点の重視」「地域社会との共生」「国際化への対応」を教育理念に掲げ,地域の要望に応えうる「地域貢献型大学」として教育・研究・社会貢献活動を展開しています。別科助産専攻にあっては,本学を母体に,2012年度に学士課程における助産師養成から別科助産専攻課程へ変更し,女性の生涯にわたる健康保持を支援できる実践能力を備えるとともに自立した助産師の養成を目指しています。

連載 りれー随筆・391

山と助産師と私 嶋 雅代
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「私の趣味は山登りです」と聞くと,どのようなイメージをもたれるだろうか。多くの場合,「え〜っ!? 山登りなんて怖くないの? たいへんじゃないの? 何が楽しいの? よくやるね。私はやらないけど」と言われ放題で,変り者扱いだ(個人の感想です)。

 少しだけ反論させてほしい。例えば,自分の仕事が助産師や看護師だと明かした時に,「え〜っ!? 助産師(看護師)なんて怖くないの? たいへんじゃないの? 何が楽しいの? よくやるね。私はやらないけど」と言われたら,「なによ。この仕事のこと何もわかってないくせに!」と,やさぐれた気持ちにならないだろうか。趣味と仕事を一緒にするなと思うかもしれないが,山登りが趣味だと話す人間を,まずは普通に受け止めてほしい。おそらく,そんなに変り者ではない,と思う。

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アドバンス助産師のこれまでの認証状況

 日本助産実践能力推進協議会(日本看護協会,日本助産師会,日本助産学会,全国助産師教育協議会,日本助産評価機構)は,2014年8月に「助産師が院内助産を自律して実践できる」能力であるCLoCMiP®レベルⅢを認証する制度を創設した。日本助産評価機構では,2015年と2016年の2回,CLoCMiP®レベルⅢの認証を行なった。

 CLoCMiP®レベルⅢ認証審査に合格した助産師(以下,アドバンス助産師)は,2015年(第1回)が5562名,2016年(第2回)が5540名の,計1万1102名である。都道府県別に,就業助産師数に占めるアドバンス助産師の割合がもっとも多かったのは,2015年は福島県34.1%(159人),次いで栃木県32.7%(151人),香川県31.7%(92人)であった。2016年においては,徳島県27.7%(62人),青森県25.8%(82人),岐阜県23.8%(143人)の順であった。

トピックス

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 去る6月2日(金),東京都品川区のきゅりあんにおいて,公益社団法人日本助産師会の創立90周年記念式典および2017(平成29)年度日本助産師会通常総会が開催されました。90周年という節目を迎えての式典は,秋篠宮妃紀子さまが臨席されたこともあり,喜びとともに荘厳な雰囲気に包まれていました。

 式典でははじめに,岡本喜代子会長(当時)による式辞が述べられました。日本助産師会の前身である,日本における最初の助産師職能の全国組織,大日本産婆会が1927(昭和2)年に会員約5万人でスタートしたところから始まり,戦前そして現在に至るまでの出産や子育ての在り方の変遷が語られました。かつては人間の生活の一部の営みであった出産がその姿を失いつつある現在,人の生き死にという根源的な出来事の1つである妊娠・出産を通じて生命のかけがえのなさを人々に伝えていくこと,女性の一生に寄り添い,子どもの心身が健全に育まれるよう家族も含めて支援をしていくことが助産師の職務であるとの力強い言葉が印象的でした。

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助産雑誌
71巻8号 (2017年8月)
電子版ISSN:1882-1421 印刷版ISSN:1347-8168 医学書院

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