精神看護 18巻4号 (2015年7月)

特集1 ストレングス・マッピングシートをケアに使ってみて、どうでしたか?

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ストレングスモデルにもとづくケアの実現を目指して、萱間真美氏が考案した「ストレングス・マッピングシート」。

この特集では、実際に看護現場で使ってみた方たちに、その経験や感想を紹介いただきます。「患者さんの視線が優しくなった」「信頼してもらえるようになった」といった嬉しい手応えも聞こえているようです。

ただ、実践されるなかでは、疑問や困難なども生じたようなので、萱間氏に、それらをどう考え、どう対処すればよいのかというアイディアを教えていただくことにしました。

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1 倶知安厚生病院こころの総合支援センター・訪問看護で使ってみました

10名へ活用しました

 精神科訪問看護のスタッフ5名でストレングス・マッピングシートを4か月間使ってみました。各スタッフが2ケースは試用し、計10ケース試用しました。

 10名の利用者が話してくれた夢は次の通りです。「競馬に行きたい」「札幌に出かけたい」「ありません」「みんなと肩を並べて生きていきたい」「普通に働きたい」「プロゴルファーになりたい」「プールか海に行きたい」「農業の知識を活かした仕事がしたい」「書道家になりたい」。これらの言葉をそのままシートの真ん中の「私の夢」の欄に書きました。活用したなかから2ケースを取り上げて紹介します。

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ストレングス・マッピングシートを5つの施設の方に数か月使っていただいた結果、「やってみて難しかった点」が出されましたので、考案者の萱間真美氏(聖路加国際大学・精神看護学教授)に、全体を通しての回答やアドバイスをいただきます。

特集2 新人さんにも伝えたい。精神科看護に必要な倫理的な視点

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春に入職した新人さんは、ちょうど数か月が経つ頃ですね。職場には少し慣れてこられた頃でしょうか。

この特集では、精神科看護での倫理的視点について一緒に考えていきたいと思います。

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1 「エシカらない?」を合言葉に、倫理の話を気楽にしよう

吉井ひろ子(兵庫医科大学病院看護部 リエゾン精神看護専門看護師)

そもそも、倫理って何でしょう

 「倫理」が大事、といっても倫理って何でしょう。日本看護協会のホームページより引用した解説をご紹介します。

 「倫」という文字は、竹簡を束ねまとめた形から「まとまり」を表し、そこに「にんべん」が付くことで「仲間」を表しています。「理」は仏教において「ことわり」を表し、道理・義理・条理を意味し、治める、正すなどの意味で用いられます。つまり倫理とは、人として道徳的であるために守り、行うべき道、ということになります。

投稿

私の幻聴応援団 北村 庄子
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「禁煙達成者と精神障害者。これが私の今の肩書です」という北村庄子さん。

発病、入院、タバコ、地震、結婚、出産、就職の話、そして北村さんにとっての幻聴の存在について教えてくれました。

連載

べてる新聞『ぱぴぷぺぽ』・104

連載 東日本大震災以来、メンタルヘルス支援を続けています

「心の架け橋いわて」の活動報告・4

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大槌町へ通うそれぞれの経緯

 私は阪神・淡路大震災を経験し、数か月間神戸の臨時診療所で支援活動をした。東日本大震災では、外出先の被災地で津波を目撃し、帰宅ができず避難所でお世話になった。しかしそこで自分が何もできなかったこと、後日友人の死を知ったことなどから、何かをしなくてはと強い思いが湧き上がり、この活動に参加した。

 初めて大槌町を訪れたのは震災から1年が経過した頃で、ライフラインなどはおおむね回復していたが、町中に瓦礫が散在し、2000人以上の住民が仮設住宅で生活していた。その現状を見て、自分に何ができるのか、役に立てるのかと、自問自答していた。

連載 精神科病床を休止。超長期入院の患者さんをどうやって地域へ?・2

“ない”なら作る 高田 大志
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新しい地域ケアが生まれた理由

 共同住居さくらハウス(仮称)。ここは当診療所が運営している共同住居である。ここには現在3人の女性が入居しており、3人とも昨年まで長期の入院をされていた方たちである。新しい地域の受け皿として、昨年5月から当診療所開設とともに運営を始めた。入院治療に変わる地域ケアの挑戦の場でもある。

 この住居には日中は訪問看護が毎日支援に入り、時に昼食を共にする。夜間は当直のスタッフが朝まで常駐する(24時間対応型)。浦河にはたくさんのグループホームや共同住居があるが、夜間にスタッフが常駐する精神障害者を対象としたグループホームとしては初である。

連載 失恋の話を聞きまくる男たち。桃山商事・7

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今回ご紹介するのは、「2年半つき合った年上の彼氏と別れ、悲しみに暮れている」というZさん(34歳)の事例です。妊娠のリミット、結婚とキャリアの天秤、多忙な労働環境、“逃げ癖”のある彼氏……などなど、現代のアラサー女性を取り巻く問題が“幕の内弁当”のように詰め込まれていた一件ですが、そこで考えさせられたのは、「恋愛における孤独や絶望とは何か?」ということについてでした。

Zさんは映画業界に身を置く女性で、相手は同じ制作会社の先輩である4つ上の男性(38歳)。ともに文化系の趣味を持ち、一緒にライブなどへ通ううちに距離が縮まり、いつしか互いの家を行き来する仲に発展。最初は「つき合おう」の言葉がなくて不安を抱いたものの、何度かのケンカや話し合いを経て、正式に交際がスタート。そこからは順調なつき合いが続き、週末は家で一緒にお酒を飲んで過ごしたり、男だらけの職場で奮闘するZさんをよき先輩として支えたりと、2人は恋人としても仕事仲間としても仲を深めていきます。そして彼女は年齢のこともあり、真剣に彼との結婚を望むようになりました。

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看護界に「感情労働」という言葉をもたらした武井麻子先生。精神科看護の学術的向上に貢献されました。最終講義は2015年3月13日(金)日本赤十字看護大学広尾ホールにて行われ、600人が詰めかけました。本誌では当日の講演内容を再現する形で掲載します。

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一般企業OLから看護師へ

 私が精神科看護師を目指すようになったきっかけは、企業のOL時代にさかのぼる。一部上場企業の人事課に配属になったが、学生時代のノリが抜けきらず、同僚の愚痴を社内電話で聞きまくっていた。上司から「お前が来てから課の電話が鳴りっぱなしだ」と感心され、上司から「○○課の××さんが悩みがあるみたいだから聞いてきてくれないか?」とオーダーされるようになり、それが仕事になった。これは私の天職だ!と思い込み、1年間予備校へ行き、医療系大学の看護学部で勉強して看護師免許を取った。

 念願の精神科に就職して驚いたのは、意外にも患者さんの話を聞く時間が取れないことだ。これは多くの新人看護師が感じることではないだろうか。業務に追われ、ゆっくりと話ができない。「何のために精神科看護師になったのだろう」と悩みに悩み、担当患者には、1週間に1時間話をする日を必ず作るという看護計画を組み立てた。精神科慢性期だからこそできるのだと当時思っていたが、その後異動した急性期病棟でも可能で、これは病院を退職するまで継続した。この「1週間に1時間」は現在のカウンセリングの基礎となり、認知行動療法(以下、CBT)を実施するうえで重要な構造化の習慣を私に与えている。

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 お会いした時、中野真樹子さんは「患者さんの持っているレジリエンスを最大限に生かすためのかかわりの舞台は地域でしかありえない」「地域のなかでCBTという科学的根拠に支えられた方法で介入すれば必ずよくなる人がたくさんいる」、そう話された。そんな中野さんの信念が、彼女をして精神看護CNSの独立起業という決断へ向かわせた。しかもそれが、訪問看護でないところが素敵だ。なぜカウンセリングを中心とするメンタルヘルスマネージメントオフィスにしたのか。彼女の答えは「きちんとCBTをやれば治るから。よくなるのであれば、“看護”に限定する必要ないから」という明快なものだった。

 たしかにオレム・アンダーウッドのセルフケアモデルでは、治療を受けていても看護が必要のない対象の存在を認めている。病院中心かつ統合失調症に標準を合わせてきたこれまでの治療モデルでは、中野さんが対象としている気分障害をはじめとするストレス関連障害の人たちに理想のケアを提供することに限界があることは、私自身も日々痛感してきたことである。

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基本情報

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精神看護
18巻4号 (2015年7月)
電子版ISSN:1347-8370 印刷版ISSN:1343-2761 医学書院

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