訪問看護と介護 20巻11号 (2015年11月)

特集 「在宅看護」ってなんだろう?—実践に新たな光をあてる在宅看護学の誕生へ

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地域包括ケアの要と目される地域の看護力。

医療依存度の高い人の在宅療養、在宅看取り、まちづくりなど、期待される役割は多岐にわたります。

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 在宅看護を、「患者等の自宅に赴いて看護を提供するための1つの方法論」として考えるなら、日本の看護の歴史は派出看護から生まれた、という歴史のとらえ方があるように、そもそも看護の始まりは在宅看護であったと考えることができる。

 それならば、なぜ今、わざわざ看護基礎教育のなかに在宅看護論を位置づけ、在宅看護を担う訪問看護師や退院調整看護師の養成を、看護師生涯教育として重点的に推進していかなければならないのだろうか。

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 私は、「病院内の看護」に焦点をあてた看護管理に疑問を抱き、問題意識を共有する研究者たちと、病院だけではなく看護が行なわれるあらゆる場に普遍的な、看護管理の考え方や方法論を探究する研究をしています注1、2

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 高齢者が住み慣れた地域で最後まで暮らしていくためには、保健・医療・福祉が必要です。これが1つでも欠けると地域で暮らすことは難しくなります。またこの3つの連携がなければ「1人の人」を「診る・看る」ことはできないと思います。この3つの橋渡しをするコーディネーター役が必要であり、その役割を担ったのが、私たちの村では看護職であったと思います。

 本稿では、私たちの取り組みについて、なぜ始めたのか、またどのような方法で行なったのか、どのような成果があったのかを紹介したいと思います。

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 日本では2013年に、65歳以上の人口が総人口に占める割合が25%を超えた。今後も、とくに都市部において急速に後期高齢者が増加するといわれており、従来の医療・介護政策の見直しはもとより、都市政策をはじめとしてさまざまな分野を取り込んだ総合的な政策展開が求められている。

 東京大学高齢社会総合研究機構(以下、本機構)では、ジェロントロジー(高齢社会総合研究)の視点に立ち、課題解決型のさまざまな研究を展開している。その1つに、東京のベッドタウン、千葉県柏市の「できる限り元気で、しかし弱っても安心して住み慣れた地域で生活し続けられるようにするための、医療と介護を通じた多職種連携のシステムづくり」がある。

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1人ひとりのニーズに向き合いながら、時代の要請に応える形で発展してきた在宅看護。

その発展の背景には、現場に起こっている「在宅看護とは何か」を探求し、それを人々が理解できる文字や数字、図柄で表現し、社会に発信し続けてきた“「学」に向けた取り組み”がありました。

現在の看護基礎教育では「在宅看護論」という科目名で扱われていますが、なぜ「在宅看護学」でないのでしょうか。「論」と「学」の間には明確な定義は存在しないようですが、在宅看護は単に論じられてきたわけではなく、サービスの特徴からさまざまに枝分かれし、それぞれが深みを増して発展してきていることこそ、在宅看護を学問しているということなのだと思います。

これまで在宅看護学を長年にわたり牽引してきた先生方に、それぞれの在宅看護学の発展経路を語っていただき、「実践」から育んだ「学」がそこに存在することを示していただきました。それにより「論」なのか「学」なのか逡巡する必要はなく、在宅看護学であることを確認することができました。

巻頭カラーグラフ 終える命 つなぐいのち・第8回

もうひとつの家 國森 康弘
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※本連載は、本文のみ無料でお読みいただけます。

 写真は、冊子版でのみご覧いただけます。

 東京都小平市にある閑静な住宅街のマンションの1階に、2014年春、ホームホスピス「楪」(ゆずりは、嶋崎叔子理事長)がオープンした。白と木目を基調にした内装で、5つの個室にキッチンとリビング、トイレ、風呂……。開設以降、ここに通わせてもらっている。

 80代、90代を中心とした入居者の「とも暮らし」。さまざまな音が聴こえてくる。ヘルパーさんが野菜を刻む包丁。カコーン、カコンと卓球。「誰かさんが、見つけた」と、カラオケの熱唱。昔話に花を咲かせながら、時に大笑い。遊びに来た子どものはしゃぎ声。夜中のいびき……。

連載 “顔の見える関係”ができたあとの多職種連携とは? 連携力の評価の視点・第1回【新連載】

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“顔の向こうが見える関係”も捉えよう

 2014年6月に成立した「地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律」(以下、「医療介護総合確保推進法」)を根拠として、都道府県・市町村単位で地域の医療・介護体制の整備が行なわれている*1。その各種の政策においては、後述のように、より多くの予算が「医療・介護連携の強化」に配分されている。

 今後の医療・介護連携の重要性は、ますます高まっていくといえるだろう。そして、これに伴い、連携の実態や効果を検証していくことの重要性も高まっていく。すなわち、多額の財源を投入した成果として、多職種間の「連携力」を数値化する指標を作成し、定量的にその効果を測定・実証していくことが、各現場に求められていくだろう。

連載 在宅ケア もっとやさしく、もっと自由に!・74

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 看護小規模多機能型居宅介護(旧「複合型サービス」)「坂町ミモザの家」の開所にあたっては、まずご近所の方々に内覧していただきました。かつて、私たちの訪問看護・介護を利用され、ご家族を看取られた方々に「ご案内」を出したのです。

 肺気腫で認知症のご主人を看取られた奥さん、「もう7〜8年前になるかしらね」とお孫さんを連れて来てくださいました。「私も80歳を超えたのよ。そのうちお世話になろうかしら」と笑いながらも、まだまだお元気。「でも、転びやすくなってね。今日も出がけにつまずいたし、気をつけないと」と、お嫁さんも一緒です。

連載 介護することば 介護するからだ 細馬先生の観察日記・第52回

立って、腰を下ろす 細馬 宏通
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 シノさんは足腰が弱っているので車いすを使っている。けれど、入浴やトイレ介助、ベッド介助のとき、つまり車いすから別の場所へと移動するときに、ちょっとだけ「立って」「腰を下ろす」。それはほんのわずかだけれど、シノさんが自力で「立って」「腰を下ろす」時間であり、シノさんが自分の腕と脚で自分の体重を感じる時間でもある。

 介護者のイノセさんとシノさんとが「立って」「腰を下ろす」様子を見ていると、それが実は何段階にも分かれた2人のやりとりでできていることがわかってくる。

連載 これって、急変?Part2 なんとなく変への対処法・第11回

在宅緩和ケアの進め方 寺岡 英美
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本日の目標

(1)在宅緩和ケアでよくあるトラブルを知る

(2)在宅緩和ケアのポイントを整理する

(3)看取りが近い時期のケアについて知る

連載 一器多用・第54回

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 前回は、ある天下り官僚が発した「なぜ資格のある介護職が身体を痛めるのか?」という素朴かつ本質的な疑問を取り上げてみました。なぜ、同じ有資格者でも、介護職、いや医療職も含め、ケアに関わるわれわれはこんなに身体を痛めてしまうのか。その疑問を今回はさらに掘り下げて考えていきたいと思います。

連載 「介護」「看病」は“泣き笑い” ウチの場合はこうなんです!・第56回

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杏里 最近、プライベートでもお仕事でも、介護者の方々とお話しする機会が増えているんだけど、ほとんどの人が、開口いちばんに同じセリフを口にするんだよね。

母さん みなさん、何って?

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ニュース—看護と介護のこのひと月

INFORMATION 学会・研究会情報

今月の5冊

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次号予告・編集後記 小林 , 栗原
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10月2〜3日に開催された「第46回日本看護学会-在宅看護」を取材しました。その教育講演Ⅰで、地域包括ケア推進の背景として、原因が複雑であることを認めて、個々によりそう「生活モデル」をよいと考える社会に変わってきたこと、また、多数に共通する問題を対象にすることが多かった公衆衛生・医療・社会福祉が個々の問題へ対応しようとすると、いずれも「生活モデル」に至ることを猪飼周平先生が示されていました。

この講演を聞き、「生活モデル」を科学し、複雑な原因に対する種々の実践に表れてくることを「知」に高める「在宅看護」の「学」の難しさと、その発展の重要性に思いを馳せました。…小林

ベトナムの現代美術家の作品展に行ってきました。作者のディン・Q・レは、ベトナムの普通の人々の言葉から、ベトナム戦争の「物語」を紡ぐ試みを続けています。米国や日本でどのようにベトナム戦争が描かれ、語られるのかを扱った作品もありました。

レの作品からは、ベトナム人自身の言葉でベトナム人自身の「物語」を語ることに、意義と使命を感じていることが読み取れます。他人が語ってくれることもあるけれど、それはあくまでその人の言葉であって、自分たちの言葉にはなりえません。

看護師自身が看護を語り、「学」とすることにも、同じような大きな意味があるのではないかなと、思いながらの美術鑑賞でした。…栗原

基本情報

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訪問看護と介護
20巻11号 (2015年11月)
電子版ISSN:1882-143X 印刷版ISSN:1341-7045 医学書院

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