脊椎脊髄ジャーナル 34巻3号 (2021年9月)

特集 頸椎変性疾患/髄内腫瘍

特集にあたって 飛驒 一利
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 9月に入り新たなコロナ患者の発生の第5波もピークアウトしたように思われますが,9月12日の緊急事態宣言の解除は東京都などはまだ延長されるようです.コロナ禍が始まって以来,出版業界ではテレワークが続き,雑誌,本などの編集の効率が悪くなり,大変な状況が続いているようです.

 本特集は実は予定して集めた原稿ではありません.以前に岩﨑喜信先生と私が編集した『脊椎・脊髄疾患の外科』の改訂版を私と小柳泉先生がかなり時間がかかりながら編集しているのですが,三輪書店からの依頼により,その中の原稿より抜粋し構成した特別号となりました.

頸椎椎間板ヘルニア 小柳 泉
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病態

 頸椎椎間板ヘルニアは,頸椎の椎間板組織が脱出して臨床症状を示す病態である.通常,椎間板の線維輪(annulus fibrosus)が破れて髄核(nucleus proposus)が脊柱管内や椎間孔内へ脱出する.実際のヘルニア組織には,線維軟骨組織や変性した線維輪組織,肉芽組織も含まれる8).組織学的には,肉芽組織,新生血管,マクロファージの浸潤を伴い,破れた線維輪の外層付近に多くみられる.小血管の浸潤は頸椎レベルの脱出ヘルニアの87%に認められたという8).手術所見の報告では,ヘルニアは後縦靭帯の間(深層と浅層の間)に存在する場合が多い(69%).浅層を破って硬膜外腔に達する場合も19%に認めるという15)

頸部脊椎症(頸椎症) 小柳 泉
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病因

 頸部脊椎症あるいは頸椎症(cervical spondylosis)は,椎間板の変性や椎間板組織の突出,椎体・椎間関節の変形と骨棘形成,黄色靭帯の肥厚など,頸椎を構成する構造の加齢に伴う変性によって生じる病態である.種々の程度で頸椎アライメントの異常や椎間の不安定性が発生する(図 1).また,脊椎管の狭小化による脊髄圧迫,椎間孔の狭窄による神経根の圧迫がみられる.このような頸椎の変性によって臨床症状を示す病態が頸椎症である.

頸椎後縦靭帯骨化症 小柳 泉
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病態

 頸椎後縦靭帯骨化症(ossification of the posterior longitudinal ligament:OPLL)は,後縦靭帯の骨化によって脊椎管狭窄を生じる病態である.1838年に英国の外科医であるCharles Aston KeyがGuy's Hospital Reportに症例を報告したのが最初とされる13).日本では,月本29)による頸髄圧迫症状を示した47歳男性の剖検例の報告が最初である.以後,OPLLの臨床報告は本邦から数多く発表されている.

髄内腫瘍 小柳 泉 , 飛驒 一利
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はじめに

 脊髄髄内腫瘍は,脊髄実質に発生した腫瘍の総称であり,軟膜下腫瘍も含まれる.脳実質に発生する腫瘍は,ほぼすべて脊髄にも発生するが,髄内腫瘍の症例数は脳腫瘍に比べて少なく,正確な発生頻度や病態はわかっていない.一般に,髄内腫瘍は,中枢神経系腫瘍の2〜4%96),原発性脊髄腫瘍の20〜30%80)とされている.このような髄内腫瘍の発生頻度は,脊髄の重量が脳の約2%(脊髄は約25〜28g,脳は約1,200〜1,400g)であること9,46)を反映していると思われる.

 2016年に発表されたWHO中枢神経腫瘍病理分類は,腫瘍の遺伝子情報を加えた新たな分類となり62),従来の細胞形態と免疫組織化学染色による診断に比べて,より画期的なものになっている.しかし,これらは多くの脳腫瘍研究の知見が反映されたものである.髄内腫瘍の発生頻度は圧倒的に少なく,実際の臨床では,従来の知見と最新の脳腫瘍での知見を併せて考慮し,治療方針を決定する必要がある.このため本稿では,従来の髄内腫瘍の分類に基づいて,最近の知見を交えて記載する.

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 2021年が半分以上過ぎてもCOVID-19の勢いは衰えることを知らず,本邦も含めた世界各国で対応に苦慮している様子が連日,報道されております.かれこれ1年半以上にわたりCOVID-19には翻弄され続けており,さまざまな点でこれまでと異なる日常を強いられていることと思いますが,今後もしばらくはこの状況が続きそうです.

 大きく変化した日常の1つに常時マスク着用が挙げられます.以前はマスクを着用するのはインフルエンザの最大流行期に外出するときくらいで,日常診療ではあまりつけていた憶えはありません.特に外来診察時はまったくしていなかったように思います.内科,特に呼吸器関連の先生方が外来も含めて常にマスクを着用されているのを拝見し,頭の下がる思いだったように記憶しております.

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編集後記

基本情報

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脊椎脊髄ジャーナル
34巻3号 (2021年9月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:0914-4412 三輪書店

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