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Case Study 脊椎脊髄疾患—神経内科医の眼・4
頸椎症性脊髄症におけるMRI横断面で錐体路障害を診る
MRI(Transverse Section)Can Reveal Pyramidal Tract Involvement in Cervical Spondylotic Myelopathy
福武 敏夫
1
Toshio FUKUTAKE
1
1亀田メディカルセンター神経内科
1Department of Neurology, Kameda Medical Center
pp.61-64
発行日 2016年1月25日
Published Date 2016/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200286
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はじめに
いうまでもなくMRIは頸椎症の診断に不可欠であるが,どこまで詳細に読影されているかは疑問である.MRIの脊髄横断面(軸位断)では,まず脊柱管の狭小化≒脊髄圧排に眼が行き,次に髄内高信号域の存在が気になる.
脊髄圧排による循環障害の結果は分水界に現れ,いわゆるsnake eye(s)と呼ばれる高信号域を呈し,「前方型」は前角障害・上肢筋萎縮に対応し,「後方型」は感覚障害に対応する1,6).前後とも障害されると,「H型(コンセント穴型)」を呈する.貴重な剖検例の病理学的検討では,腹外側後索の中心部灰白質の中心における小囊胞性壊死と扁平化した前角における有意な神経細胞脱落が示されている6).ごく最近のMRI軸位断による分類システムの提案7)では,髄内高信号域に重点が置かれ,正常型,中心部広汎型,不明瞭局所(fuzzy focal)型,明瞭局所(discrete focal)型に分けられているが,前方⇔後方の対比はなされておらず,加えて脊髄形状についての言及はない.
MRI横断面での脊髄形状については,扁平化やコンマ状変形(一側性),ブーメラン状変形が知られている5).脊髄扁平化でPubMedを検索すると,平山病に関する報告が多い2,4).
筆者はこれまでに虚血による高信号域以外に,Waller変性(下方へは錐体路,上方へは後索)による高信号域について記述してきた3)が,今回は自験例をもとに,脊髄後外側面の直線化が錐体路障害に対応していることを解説する.この直線化が進行すると,三角変形にまで至る.
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