胃と腸 5巻2号 (1970年2月)

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はじめに

 線状潰瘍,およびその周辺にかんする文献学的事項を,年々追って簡単にふれると次のようである.

 1909年Schmieden u.Härtelが,schneckenförmige Einrollung,Tabaksbeutelformという言葉を使っているが,胃潰瘍に由来する変形であるとは考えていても,これが直接,線状潰瘍とは結びついてはいない.

 1919年植村は,剖検でみた線状潰瘍と線状の瘢痕の記載を残している.

 1923年田宮は,“潰瘍が絶えず周囲に向かって逐次新たなる筋線維を侵襲しつつしかも同時に瘢痕形成を営む場合にも認め得る”と胃の小彎短縮による形態的変化と潰瘍との関係についてのべているが,著しい小彎短縮と線状潰瘍とが結びつくという考えには至っていない.

 1926年Hauserは,2~3cmの線状瘢痕,もう少し長い線状瘢痕は,そうまれではなく,ときには,胃全周にわたる線状瘢痕もあるといっている.

 1929年Eislerは,線状瘢痕はX線像にはっきりした症状をださないものだ,また,ニッシエを示さないDoppelulkusが小彎短縮の症状を呈する,などと書いている.

 1930年Haudekは,Schneckenform des Magensは胃の小彎短縮によりおこるといい,Einrollungは潰瘍の随伴症状であるから,ニッシェをさがさせるような注意を喚起させる,ともいっている.

 1950年Ivyほかは,小彎の大きな鞍状潰瘍は,著明な胃変形をもたらすといい著明な変形のことにふれている.

 1952年鈴木は,顕著な対称性胃潰瘍の症例(昭和医学会定例集談会,10月27日,昭和27年,昭和医学会誌12:203,1952に演題のみ収録)という演題を発表し,線状潰瘍と小彎短縮とを直結させる報告をした.これが,事実上の線状潰瘍のX線研究の始まりである.

 1954年村上,鈴木ほかは,対称性胃十二指腸潰瘍の臨床と病理と題し第54回日本外科学会総会において,また,胃の対称性,とくに,線状潰瘍にっいてと題し,日本病理学会第6回東部地方会において胃変形を詳細に検討した結果を報告し,線状潰瘍が,X線的に,蝸殻状内醗,のう状胃などの胃の形態的変化の原因であることを証明した.それまで,X線像の潰瘍の大きさと,切除胃における潰瘍の大きさとの不一致を研究していた白壁,熊倉ら(1955)は,線状溝(線状ニッシエ)をX線像上にあらわし,線状潰瘍であるということを証明するのに適するX線検査にも言及した.1959年鈴木は,村上らの研究をさらに詳細に発表した.

 1961年白壁,熊倉ほかは,線状潰瘍にかんするX線診断のまとめを,第47回消化器病学会総会,アジヤ消化器病学会に報告した.

 1962年増田ほかは,ミュンヘンで行なわれた第2回世界消化器病学会においてClinical,fluroscopic and endoscopic observations on the symmetric ulcers(Linear and Kissing ulcers)of the stomachと題し,さらに進歩した内容の診断学を発表し欧米の学者を啓蒙し,わが国の消化器病学者に自信を与えた.

 1963年BochusのGastroenterologyに村上,白壁の論文が引用された.

 1965年Frick,W.が分担執筆したLehrbuchder Roentgendiagnostikに白壁の論文が引用され,彼自身の考案による胃変形図がでた,しかし,1961年にFrikは,すでに熊倉の作った線状潰瘍や多発潰瘍の変形図を見て理解しているので,その考え方を多分に取り入れたことは充分に察知できる.

 胃内視鏡的には,1937年Gutzeitが,すでにみている.胃角の大きな長い潰瘍の経過を観察しているうちに,strichförmige Narbeといい,彼の著書に線状潰瘍の写真をみることはできる.しかし,村上,鈴木の発表以前には,対称性潰瘍,線状潰瘍をとり上げて,これを詳細検討した研究はない.

 1958年中島,西沢ほかは,線状潰瘍の胃カメラ診断について発表した.

 その後,線状潰瘍にかんする多数の貴重な発表をみたわけであるが,われわれが敬意を払わなくてはならない研究も多い.例えば,川井(京府大増田内科)による潰瘍の経過観察からみた線状潰瘍,増田(東北大山形内科)のX線学的統計観察,岡部(九大勝木内科)のX線診断と内視鏡診断との詳細な対比研究などである.

 線状潰瘍の定義にも問題がある.

 村上は,はじめから3cm以上のものを線状潰瘍としている.これは,暗に病因論を考慮してのことであったであろうが,今にして思えば,慎重な取り扱いであったと筆者らは思っている.はじめから線状のもの,潰瘍の経過中に線状の型を呈したもの,また,X線診断の側からいえば,著明な胃変形とそうでないもの,こんな話題の中で占める3cmの意義は,まことに興味があるといえる.

 村上,鈴木は,線状潰瘍に円形,または,接吻潰瘍を含むものも線状潰瘍としての分類に含ませている.佐野は,線状潰瘍上に,円形,または接吻潰瘍を含むものは線状潰瘍から除外している.

 筆者らのX線診断の立場は,病因論や病理組織学的議論には目もくれずに,ただ一筋に,肉眼的に線状にみえるもの,溝状のもの,X線像上ニッシエとして写るものは,すべて線状潰瘍として取り扱った.なるほど,研究してきた経過中でも,また,いまでも,長い線状潰瘍と,短いものに対する筆者らの気持は,それぞれに違ったものをもっている.しかし,X線診断の側からいえば,どんなに短かくとも線状であることを写しだすのがX線診断であろうと思っている.

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はじめに

 いわゆる線状潰瘍の概念を,臨床的な問題としてとりあげたのは,村上ら1)2)3)の業績による.その詳細な病理組織学的な検索を基礎にした考察と臨床病像の解析から今まで円形潰瘍としてしか意識しなかった胃潰瘍のなかで,線状潰瘍が,けっして特殊型としてみられるほど稀なものではないことを強調した.ついで白壁ら4)5)は二重造影法を導入したX線検査によって,よく術前に線状潰瘍を確診しうることを強調するにおよんで,本疾患は俄に消化器病にたずさわる臨床家の興味をひくに至ったのである.その後,本邦におけるルーチン・ワークとしての胃カメラ検査の応用は,本症診断へのアプローチを一層容易にしてくれた.しかし,この線状潰瘍のような特殊型の胃潰瘍の存在は,すでに1926年Hauser6)が,線状瘢痕としてHenke-Lubarschに記録を残しているし,また彼の記載によれば,Grtinfeldも120例中20例に線状瘢痕を観察したといっている.他方,内視鏡的にもGutzeit&Teitge7)は,著書の「Gastroskopie」にlineare Narbeとして胃鏡模写図を示している.いまだ臨床的な興味をもつに至っていなかったとはいえ,その精密な観察眼には驚うかざるをえない.

 その後X線的診断9)10)ないし内視鏡診断8)11)~14)については,数多くの報告がなされ,一応その臨床像,X線診断ないし内視鏡もほぼ確立されるに至ったが,最近,小彎に直交する線状潰瘍の他にも,X線的に変形のみられない線状を示す潰瘍の幾つかの型が報告され,勢い,本症の概念をある程度整理しないと混乱を招くおそれが出て来た.

 本文では,最近の本症をめぐる内視鏡診断,成因などの2,3の問題点について文献を参考にしながら筆者の考え方をまとめてみた.

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はじめに

 私どもがこの研究を始めたのは胃潰瘍の発生理論が知りたかったからである(今では胃潰瘍のことがその頃より少しはよく分って来たが,それでもまだほんとうのことは分らない).それには手術室で切除される胃の標本をまず組織学的に検索するのが一番の早道であろうと考えた.そこで手術台で胃が切られるや否や待ち構えていて,これを板の上に張りつけてフォルマリンで固定する.2,3日して固定した標本を取り出してスケッチする(写真のフィルムが入手しやすくなってからは写真にとるようにしたが,終戦直後の研究室でまずできることは,目で見てスケッチすることだけであった)さらに切出しをして組織標本を作る.それを病理の平福助教授の所へもって行って見て貰うということを繰り返した.

 しかしなかなか潰瘍の特徴がつかめない.すべての例にあるものはfibrosisとEndarteritis obliteransばかりである.潰瘍底にAscanatzyの4層があると言われても,それが2層のことも3層のこともあって釈然としなかった.

 一番困ったことは潰瘍が治る病変であるということであった.今見ている像が悪化しつつある姿なのか,治りつつある像なのかの決め手がないのである.少なくとも絶対に悪化しつつある像であるというものを見つけ出せば,発生理論にっながるはずであるがそれができない.病理解剖的にはhaemorrhagische Erosionというものが知られているから,それを探せというのが平福先生の指導であったが,それが切除標本で見つかったのは組織検索例が900番に達してからであった(この点では当時は潰瘍よりも癌の発生の方が分りやすいと思っていた.癌は悪くなる一方で治ることはありえないと考えていたからである.癌は崩れ易いがまた治ることもあるということが分ってきたのは,余程たってからのことである)し,生体でhaemorrhagische Erosionが見っかったのは昭和38~9年になってからであった.

 そこで悪足掻きした.何とかして手掛りをつかみたい.しかしいくら潰瘍を調べても決め手が見っからない.こんな時に2,3例,変な潰瘍に出くわした.それが今考えると線状潰瘍であり,また線状潰瘍とkissing ulcerの組合わせであった・しかし研究の惰勢というものは恐しい.これは変った形の潰瘍があるなと感じただけで,自分でそれに真正面から取組むだけの転換はなし得なかった.まず学位論文を書くことの方が先決問題であった.

 学位論文が一わたり区切りがついたところで,昭和医大へ行くことになった.しかし,当時の昭和医大ではあまり切除胃が集まらなかったので,東大第二外科の切除胃を当分の間調べ続けさせて貰えるよう,福田先生にお願いした.その切除胃の中にたくさんの線状潰瘍が混じっていたのである.私(村上)はその研究を著者の一人鈴木に頼んだ.「こんな変な潰瘍がある.潰瘍は丸いものと教えられているが,これも潰瘍の一種らしい.

 こういう風変りな潰瘍を研究すると,あるいは本物の成り立ちが分るかも知れない.」これらのいきさつは,本号の座談会の鈴木の言葉の通りである.

 この鈴木の研究で胃の線状潰瘍の臨床的,病理的特徴が,ほぼ浮き彫りにされた.しかし,私自身はまだ満足していない.というのは線状潰瘍の成因自身は十分明らかにされなかったし,またそれを通じてと考えた円形の慢性潰瘍の成因については,なおさらのことであったからである.したがって,その後も線状潰瘍は一生懸命に蒐集し,今も教室の世良田にその追及を頼んでいる.ところが都合の悪いことに,線状潰瘍の頻度が次第に落ちて来た.鈴木が蒐集した時代,大体昭和20年代では全胃潰瘍のうちの約翅が線状潰瘍であったのに対し,最近の順天堂外科におけるその頻度は,10%台に落ちてきている.また昔のように10cm以上に及ぶ長い線状潰瘍も姿を消し,せいぜい7~8cmのものがあれば,それをこんなに長い線状潰瘍といわなければならなくなってきた.研究がしにくくなったという感じがする.そして先に鈴木が明らかにした線状潰瘍の臨床的な性質については,その正当さがますます確かになるばかりで,その後それにつけ加えるべきものがあまりない.鈴木の論文が外科学会雑誌に載ったため,内科側の読者の目には入りにくかったという難があるので,もう一度書き直しはするが,本文はほとんどその焼直しにすぎないものであることを予めお断りしておく次第である.

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線状潰瘍を見つけるまでに

 村上(司会) 私が司会を承わることになったのですが今日は鈴木武松先生にわざわざ出てもらいました.おこがましい話ですが,線状潰瘍という言葉を日本の学会へ導入したのは,私と鈴木武松君との合作のようなものでして,そういう意味で張本人として鈴木君に来てもらったわけです.

 線状潰瘍という言葉は,そういう意味で割りに新しい言葉だと思います.しかしながら,文献を引いて見ますと,こういった潰瘍があることは随分前から気がつかれております.ただこれを臨床的なものに引き戻したという意味で,多少は私共の観察の意味があったのではないかと思います.そして今から考えて見ますと,線状潰瘍という言葉が果して正しかったか,むしろ線状瘢痕という言葉の方がよかったのではないか,ここら辺はいろいろ問題があるところだと思っております.

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はじめに

 最近のX線,内視鏡による胃疾患の診断技術の向上はめざましく,表面平坦型Ⅱbに近い凹凸の少ない病変の発見についても,いくつかの報告がなされている.筆者らも最近,興味ある早期癌症例に遭遇し,2,3の知見を得たので報告する.

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はじめに

 筆者らは最近,噴門部潰瘍の患者を約半年間外来にて経過観察を行なったが,途中,白血病を併発したため,レ線および内視鏡学的にその胃粘膜像の把握に難渋し,胃上部病変,ことにBorrmannW型の胃癌との鑑別に種々な示唆を与えられた.また胃病変の診療においても,単に病変を局所的に把握するのではなく,常に全身的な立場から考えなければならないことを改めて痛感させられた.

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Ⅰ.症例

 患者:S.H. 58歳 男 農業

 家族歴:父方の祖父が胃癌で死亡している.

 既往歴:53歳の時,胸膜炎に罹患している.

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はじめに

 アニサキス幼虫による胃の好酸球性肉芽腫は決して珍らしいものではないが,その直上にⅡa型早期胃癌を合併した症例を経験した.

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はじめに

 低蛋白血症の原因として,蛋白喪失性胃腸症は重要なものの1つに挙げられているが,最近10年間に本症に関する知見の進歩は著しいものがある.蛋白喪失性胃腸症はその原因により,胃腸管自体の疾患に起因せず,全身のリンパ系異常の一部分現象とみなされる原発性蛋白喪失性胃腸症あるいは原発性腸リンパ管拡張症と,諸種原因疾患により惹起された腸管のリンパ管異常による続発性蛋白喪失性胃腸症とに大別され,後者には,静脈圧充進を招く心疾患,特に収縮性心膜炎1)~4)や,諸種原因により起る胸管閉塞など,胃腸管部位におけるリンパの停滞,圧の充進,リンパ管の拡張などを招来する諸疾患5)~8)がその原因となりうる.消化管部位におけるリンパのうっ滞の結果,血清蛋白が消化管内へ漏出し,血清蛋白の体外への喪失が起るが,その他に胃腸管自体の病変,たとえば炎症,潰瘍,腫瘍など実に多くの諸疾患8)9)もまた血清蛋白喪失の原因となり得ることは周知のごとくである.

 筆者らは既往疾患のため開腹手術を受け,その際実施した回腸間瘻孔設置術により盲係蹄が形成され,さらに腸管の癒着,限局性結核性腹膜炎が加わり,盲係蹄部位のリンパの停滞,リンパ管拡張を来たし,蛋白喪失性腸症を呈するに至ったが,手術により盲係蹄を切除し治癒せしめ得た1症例を経験したのでここに報告する.

技術解説

陥凹性病変の生検手技 田中 弘道
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はじめに

 直視下生検法は病変を正確に観察することが出発点であり,同時にそのことが生検診断の価値を左右する最大の要因でもあることは語りつくされており,したがって極端に言えば生検を行なう場合に特別な手技手法が存在するわけではない.直視下で病変を正確に観察することが可能であれば生検は容易であるといえる.

 さて,病変を正確に観察するとは具体的にはいかなることであろうか?筆者は少なくとも下記の条件を満たすことであると考えている.

 1)観察方向:観察軸に任意性をもった観察,すなわち,直視下にとらえた病変を正面方向,斜方向など任意の方向から観察可能な条件下て把握すること.

 2)観察距離の任意選択性1スコープの方向調節,患者の体位変換あるいはスコープの関節,パンニング機構の操作により,近距離観察から遠距離観察までが任意に選択可能である観察.

 3)視野の明るさを調節可能であること.

 以上のように考えると,一部機械的条件は別としても,直視下で病変が観察可能であるということと,十分正確な観察ということの間には大きな隔りが存在するのである.スコープの改良によって胃内くまなく観察可能となってきた昨今ではあるが,果して胃内各部の病変の全てが上述したような正確さで観察が可能なのであろうか.この点から考えれば,噴門宥窪部,胃体高位後壁および幽門輪近辺は不十分な観察でしかあり得ないことが理解されるはずである.例えば,噴門部病変でも反転観察に引続いて直視下生検は十分に可能ではあるが,観察方向,観察距離の調整は現在の最新のスコープを用いても不十分であり,したがって,十分正確な生検診断,少なくとも本稿で述べるような生検法には程遠いことが理解いただけると思う.したがって,現段階では十分詳細な胃生検診断が可能な領域の病変と,いま一つには,生検は可能ではあるが狙撃能の面において不十分な部位とが存在することを,前もって理解しておくことか必要であろう.

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欧文目次

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 田坂先生が昨年11月20日に胃内視鏡の発達と早期胃癌診断に貢献されたということで,柴綬褒賞を,また白壁教授らが本年1月15日胃の二重造影法の開発ということで朝日賞を貰われた.私ども早期胃癌の診断に携わっている者にとっては,まことにおめでたい話が重な一,たわけで,心から受賞された先生方にお祝いの言葉を申しあげ,また私どもも喜こびをわかちあいたいと思う.

 申すまでもないことであるが,早期胃癌の診断にはX線検査法と内視鏡検査法のどちらが欠けてもならない.またどちらに優劣の差をつけることもできない.両者相俊って始めて今日の早期胃癌診断学が確立したわけである.そのどちらか一方の開発だけでも胃癌国の日本にとっては大切であるのに,その両者が,しかも時を同じくして発達したのだから,これは全く驚異的な発達というべきであり,これがまた,今日私どもの誇る胃疾患診断学の世界制覇の成立した理由でもある.

編集後記 信田 重光
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 1970年代の開幕と共に,世の中では,新しい時代に対するさまざまな希望やら期待やらが,新聞,テレビなどをにぎわせている.本号でこの年代の初めに綜説としてとり上げられたテーマが「線状潰瘍」である.白壁教授,川井先生,村上教授の論文,および座談会に述べられてあるように,その存在は既に知られてはいたが,これに臨床的な位置づけ,病因論,更に診断学的な概念を確立し,また問題点を提起したのは,村上教授,白壁教授らをはじめとする日本の学者によってである.早期胃癌の諸問題と共に,わが国の世界に誇るべき業績の一つであろう.臨床的なものの見方,その実態を把握し,原因を解明して行くための理論の進め方,成績の分析の仕方など,目常の研究,診療を進めるための考え方を知る上でも,極めて教えられることの多い論文,および座談会の記事であろうと思う.

 診断技術の進歩に伴って,発見される早期胃癌症例もいろいろと興味ある型や,合併病変を有するものが多くなって来た.赤坂先生,望月先生,早川先生の症例は,このような珍らしい型の早期胃癌症例である.永瀬先生,立村先生の症例も興味深いものである.

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はじめに

 X線学的に胃の前壁病変を微細に描写する方法として前壁二重造影法はすぐれた撮影法であるが,一般に前壁病変の存在の糸口をさぐり出すことは容易ではない.筆者らは腎結石症で入院した患者に胃X線検査を行ない,粘膜レリーフ法で異常所見を見出し,精検により前壁Ⅱcであった症例を経験したので報告する.

研究会紹介

胃疾患ゼミナール 吉田 清
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 北海道では開業医師を対象とした「胃疾患ゼミナール」が行なわれており既に第3回を終了した.講師は毎回中央よりエキスパートである2~3名の先生をお招きし,参加者は約30名で胃疾患の診療には特に熱心な諸先生である.

 本ゼミナールの特徴は,土曜・日曜日の2日間にわたり,遠来者は宿泊付きで,講師の講演,質疑応答,症例検討のほか,必ずX線検査および内視鏡検査の実技講習も行なわれることである.初日の土曜日は,夕食後から講師の講演,質疑応答,症例検討で午後11時に終り,翌日の午前中はX線検査と内視鏡検査の実技講習があり,午後は再び講師の講演,症例検討で午後8時までを要し,以後懇親会があって終了する.

基本情報

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胃と腸
5巻2号 (1970年2月)
電子版ISSN:1882-1219 印刷版ISSN:0536-2180 医学書院

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