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編集後記
信田 重光
pp.250
発行日 1970年2月25日
Published Date 1970/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111209
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1970年代の開幕と共に,世の中では,新しい時代に対するさまざまな希望やら期待やらが,新聞,テレビなどをにぎわせている.本号でこの年代の初めに綜説としてとり上げられたテーマが「線状潰瘍」である.白壁教授,川井先生,村上教授の論文,および座談会に述べられてあるように,その存在は既に知られてはいたが,これに臨床的な位置づけ,病因論,更に診断学的な概念を確立し,また問題点を提起したのは,村上教授,白壁教授らをはじめとする日本の学者によってである.早期胃癌の諸問題と共に,わが国の世界に誇るべき業績の一つであろう.臨床的なものの見方,その実態を把握し,原因を解明して行くための理論の進め方,成績の分析の仕方など,目常の研究,診療を進めるための考え方を知る上でも,極めて教えられることの多い論文,および座談会の記事であろうと思う.
診断技術の進歩に伴って,発見される早期胃癌症例もいろいろと興味ある型や,合併病変を有するものが多くなって来た.赤坂先生,望月先生,早川先生の症例は,このような珍らしい型の早期胃癌症例である.永瀬先生,立村先生の症例も興味深いものである.
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