胃と腸 5巻1号 (1970年1月)

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はじめに

 胃癌がどのようにして発生し,どのような発育進展の経過をたどるのか,このきわめて重要な,しかしながらきわめて困難な問題の解明のための方法の1つとして,筆者らは数年前から胃癌患者の検査資料を過去に遡って集めること(retrospective follow up study)を行なっている.この研究方法は,いわば誤診の積み重ねともいうべき,したがってきわめて不完全な資料に基づく方法ではあるが,動物実験で胃癌の経過を観察することの不可能な現在,筆者らに残された人胃癌の経過観察のための数少ない手懸りの1つである.以下に述べる成績も,主としてこのretrospective follow up studyによって集められた症例の検討によって得られたものである.

 陥凹型早期胃癌の経過は,Ⅱc部分の変化とⅡcの中の潰瘍(Ⅲ)の動きとに大別して考えることができる.このうちⅡcの中の潰瘍の動きにっいては,すでにこれまでの報告で筆者ら2)~7)は,①陥凹型早期胃癌においては(癌浸潤が比較的浅い時期においては)癌病巣内潰瘍の縮小増大などの動きが内視鏡像,もしくはX線像に明瞭に捉えられることの少なくないこと,②このような場合潰瘍縮小の主役を演ずるのは潰瘍辺縁の非癌性再生粘膜のようであること,③したがって潰瘍の縮小ということだけでは(潰瘍の)良悪性鑑別の標識になり得ないこと,④さらに悪性サイクルにおいて,開放型→聖域型→地層型→(癌上皮型)→開放型なるprocessの可能性を示唆する若干の所見の認められることなどについて繰り返し述べてきた.そしてこのような報告は臨床的にtrialtreatmentに対する警鐘として注目をあびる一方,病理組織学的にも潰瘍癌の組織学的判定基準をめぐる論争に新たな問題を提起し,一段と活発な論議をもたらしてきた8)~12).さらにこの問題は1968年4月,福岡における日本消化器病学会および日本内視鏡学会の合同シンポジウム13)にとりあげられ,以来数多くの研究者の注目を集め今日におよんでいるが14)~17),内視鏡上濃いBelagの出没として,またX線上ニッシェの出没として明瞭に捉えられるⅡcの中のⅢの動きにくらべ,Ⅱcの範囲を臨床的に明瞭にとらえることの困難さのために,Ⅱc部分の変化についての報告は殆どこれまでなされていないようである18).そこで今回は陥凹型早期胃癌の経過のなかで特にⅡc部分に焦点をあわせ,主としてその内視鏡像の推移についての検討を行なった結果について症例を供覧しながら述べてみたいと思う.

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はじめに

 胃癌の発生が,特殊なものを除けば,粘膜内で行なわれることは議論の余地がない(Konjetzny8),村上12)14)).さて,これらの癌がいかなる経過を辿って,早期胃癌さらに進行癌へと進展するかについて,これまであまり考察されていない.

 癌の浸潤が粘膜内にとどまっているものは,それが拡大してゆくものか,それとも拡大せず深部浸潤してゆくものか,この段階では判定できない.いずれにしろ,粘膜内に浸潤している癌が悪性度を具備し,他領域に侵入,つまり異所性発育を開始することは確かである.さらに遠隔転移を形成し進行癌としての性格を発揮するようになる.

 そこで,筆者らは,胃癌の進展は,癌細胞が粘膜筋板を破って,粘膜下層に浸潤したときの態度一粘膜下層浸潤の拡がりおよび管内浸潤(リンパ管内,血管内浸潤)の程度一により決定されるであろうと想定し,粘膜下浸潤形式7)なるものを発表した.この形式が胃癌の深達度と予後に密接なる関係のあることが分った.

 ここでは,胃癌を病理組織学的に,潰瘍先行や癌先行説にとらわれずに,潰瘍合併群と非合併群(主として隆起型)に分類した.この両群において,前者を潰瘍の深さにより,後者を粘膜筋板の挙上の態度により,同一肉眼形態を示す癌について,それぞれ分類した,これらの占める比率が,早期胃癌と進行癌において,いかなる肉眼形態を示すものに,一致するか否かを比較検討した.

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Ⅰ.症例

 患者:66歳 男子 会社員

 家族歴:父は56歳胃癌,父方の祖母は52歳胃癌,父の弟は70歳肝臓癌で死亡.母は91歳で未だ健在である.同胞は6人で,うち長妹は62歳胃癌で死亡.他は健在.

 既往歴:昭和13年マラリアに罹患したほか,特記すべき事項はない.嗜好品としては,酒5酌程度を毎日,および,約6年前までは煙草20本を喫煙していた.

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はじめに

 最近retrospectiveな検討が可能となり早期胃癌や率の初期像を探すことができるようになってきている.筆者らもⅡa型早期胃癌が1型に生育したと思われる興味ある1例を経験したのでここに報告することとした.

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はじめに

 胃癌がどのような形で発生し,どのくらいの期間早期胃癌の状態でとどまっているのであろうかということは胃癌の早期発見に携わる者にとって大きな関心事である.胃カメラをはじめ内視鏡検査法の進歩により良好なカラー写真が記録保存できるようになったため胃癌患者の過去の内視鏡所見を探し求め,これと切除胃の組織所見を比較検討して胃癌の進展経過を解析できるようになった.このような研究は一般にretrospective studyと呼ばれている.

 retrospective studyによってこれまでに明らかにされたことは,早期胃癌症例では案外に進行の遅かったものが少なくない1)2)3)4)ということである.すなわち数年前に遡っても,手術時の形態とほとんど同じ特徴を示すものが経験されたので,多くの胃癌はその早期の時点においては意外にゆっくりと進展するのではないかと考えるようになった.しかしながらこれまで胃癌の成り立ち,あるいは発生を論ずるための資料は極めて少なかったように思われる.著者らはすでに本誌で,隆起型早期胃癌の発生を考えさせる興味ある1例5)を紹介した.今回は陥凹型早期胃癌の発生を考察する上で貴重な資料と思われる症例を経験したので報告する.

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はじめに

 8年6カ月の長期にわたり経過を追求したⅡc+Ⅲ型早期胃癌の1例を報告する.この型の早期胃癌の進展速度や,いわゆる悪性サイクルを考える上で興味あると考えられる症例である.

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はじめに

 筆者らは多数の胃潰瘍患者をfollow upしてきているが,最近まで多発性潰瘍と思って追跡していた症例の,多数の潰瘍のうちの1つが早期胃癌を疑わせる像を呈するようになり,手術をしてみたらⅢ+Ⅱc型早期胃癌であった.この症例のX線,内視鏡フィルムをretrospectiveに振りかえってみると,3年1月以来の数回のX線,内視鏡フィルムにも,その病変部の異常を指摘し得ることを知ったので,興味ある症例と考えここに報告したい.

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はじめに

 「早期胃癌の経過追跡に関する研究」という厚生省田坂研究班が全国18施設と協同で,症例を持ちより早期胃癌の経過あるいは癌発育形式の綜合的な研究を行なっているが,教室でも協同研究者の1員として,現在まで発見した早期胃癌130例について,retrospectiveに集めた資料,手術拒否例,あるいは確診のっかないままに,3カ月以上7年にわたり経過を追跡しえた早期胃癌13症例と,結果的には進行癌であったが,興味ある経過を示した3症例を合せて16症例,17病変の経時的変化について,レ線像および内視鏡像を検討した.

 16症例の年齢・性別・観察期間・観察回数・病変の位置・病変の大いさ・内視鏡分類・深達度・期間中の変化は表1に示すごとくである.年齢的には,35歳から72歳におよび,男子12症例,女子3症例,観察期間は3カ月ないし7年,その間の平均観察回数は4回,病巣の大いさは,長径3cm以下9例,3cm~4cm 6例,4cm以上2例である.胃癌の内視鏡分類では,Borrmann Ⅱ型1例,Ⅲ+Ⅱc5例,Ⅱc10例,Ⅱa+Ⅱc1例で,重複癌に見られたⅡaの1例を除きすべてが陥凹性病変であった.

 昭和42年度内科学会総会のシンポジウムで述べたように内視鏡像のみによる早期胃癌診断の限界は,表2のごとくである.質的診断が不可能で,ただ存在診断のみ可能な症例が16%もあり,存在診断のみにおわった18症例,19病変の内視鏡の読みは,3表のごとくで,Ⅱcの病変,良性びらん,Ⅱcを伴わないⅢの内視鏡診断がむずかしいという結果を得ている.

 病変の拡がりでも表4のごとく,長径3cm以上の病変が14例(73%)もあり,表5のごとく深達度でも5mⅢの症例が19例中5例(26%)もあり,必ずしも小さい浅い病変の診断がむずかしいとは言いかねる成績を得ている.

 早期胃癌経過追跡症例が多いということは誤診例が多かったということにもつながり,決して名誉なこととは思わないが,教室では誤診の確定した時点でできるだけ,retrospectriveに集められうる資料を集め癌の発育形式についての手掛りをえようと努力している.

 16症例17病変の胃癌の追跡中の変化を見ると表6のごとくであり,消失あるいは縮小傾向を示した病変は,7例(41%),形態学的に著明な変化を示さなかった病変が7例(41%),不可逆性で一方的に増悪傾向しか示さなかった病変は3例(18%)にすぎず,従来常識化していた潰瘍の縮小傾向をもって良性潰瘍の診断基準の指標としてきた考え方は誤りであることが最近指摘されるようになったが,これを裏付ける結果となっている.

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はじめに

 近年の胃X線,内視鏡検査の進歩は極めて小さい早期胃癌の発見を可能にすると共に良性疾患としての“いわゆるビラン性胃炎6)”の診断をも容易にし,筆者らも日常しばしばその診断を下している.しかし“いわゆるビラン性胃炎”は過酸,過分泌,過緊張,粘膜過敏性などの胃X線,内視鏡検査にとって不利な条件を備えていることが多く,まれとはされているがこれに微細悪性病変が併存する揚合にはその診断はかなり困難である.

 筆者らは“いわゆるビラン性胃炎”の経過観察中初診より5年後に幽門前庭部のⅡa+Ⅱc型早期胃癌を発見したので,ここに報告し若干の考察を加えてみたい.

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症例

 患者:45歳 男

 既往歴:家族歴に特記すべき所見なし,

 現病歴:主訴・空腹時心窩部痛.起始および経過・昭和42年11月1日初診.約1週間前より空腹時心窩部痛を訴え来院.第1回外来,レ線検査および胃カメラ検査で,胃角部を中心とするⅡc様病変および幽門部の隆起性病変(Ⅱa)の診断をつけたが,患者は制酸剤および遮断剤の投与で心窩部痛が消失してしまったため,精密検査に応ぜず放置して来院しなかった.第1回検査から4カ月後,再び空腹時心窩部痛を訴え来院したので精検(レ線,内視鏡,生検)を行ない,初診から7カ月後の昭和43年5月29日,胃角部中心(MA)のⅡcと幽門部後壁の隆起性病変(ATP,Ⅱaの疑い)の診断のもとに胃切除術を施行した.

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症例

 患者:高○○○郎 68歳 男子 会社員

 主訴:倦怠感

 家族歴:兄が42歳で胃癌で死亡す.

 既往歴:昭和40年暮頃より上腹部膨満感があり,黒色便の排泄が時々あった.昭和41年2月末より貧血があり,3月下旬より嘔気,嘔吐が起こった.そのため同年5月10日某病院に入院す.赤血球数171×104のため輸血1,500ccを施行された.5月4日レントゲン検査,5月12目胃カメラを施行し,胃潰瘍の疑い濃厚で,5月19日に開腹手術されたが,胃は術中精査するも変化がなく,胆嚢に結石があったので胆嚢切除術のみが行なわれた.

展望

癌の化学療法 仁井谷 久暢
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はじめに

 現状では早期診断,手術こそ制癌への最良の方策である.診断技術の驚異的な進歩は,より早期の癌の発見,治療を可能にして来た.伊藤の報告1)によれば粘膜内,粘膜下層に限局するいわゆる早期胃癌224例の摘出胃の組織学的検索では,8%に血管浸潤,22%に所属リンパ節転移が認められているにもかかわらず,これらの5年生存率は90%以上の好成績を示している.これは時宜にかなった早期診断,早期手術が迅速に行なわれたことを意味している.しかし,以上の成績はひとたび時期を失すれば,たちまち周囲他臓器への浸潤,転移を来たしうる要因をはらんでいるものとして,癌を局所の疾患として扱うことの困難さをも示している,事実,過去7年間,国立がんセンターで行なわれた胃癌手術例中,早期胃癌は15%に過ぎず1),執拗な浸潤・転移の様相は癌を全身疾患として把握しなければならない立場に立っことを余儀なくしている.全身治療を行ないうる可能性を持っている化学療法への期待は絶大なものがある.期待の実現化のために努力の方向をどこに求むべきか,現在のわれわれに課されている大きな問題である.

 薬剤による癌征服への戦略には,2つの道が考えられる.1つは発癌機構を明かにし,そこで得られた知見を治療に向けようとするものである.しかし,正常細胞と異なる腫瘍細胞の特徴が解明されない限り,現状では腫瘍細胞のみを崩壊せしめ,正常細胞にはなんらの障害を与えることのない薬剤を求めることは,不可能である.他の1つはこうした制約のなかで,さまざまな工夫のもとに,現在使用することのできる薬剤の効果をより一層高めようとする努力である.われわれ臨床家の努力は多く後者の立場から払われている.

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はじめに

 グラスファイバーを用いた胃内視鏡検査は近年驚異的進歩をとげてきたが,かかる進歩を背景にして,十二指腸にファイバースコープを挿入して,十二指腸内の観察13),とくに乳頭部の観察とともに乳頭口から直視下にCannulationを行ない,膵管の造影を行なうことが試みられてきている.1968年Mc Cune et al2)は,EderのFiberduodenoscopeを用いて膵管の造影を報告した.わが国では,1968年来,十二指腸ファイバースコープの試作が試みられている7)10).竹本,大井ら12)は,1969年に,Fiberduodenoscope(町田)を用いて,膵管造影について報告した.筆者らも,Fiberduodenoscope(町田)を用いて,乳頭口のCannulationを行ない,膵管とともに,総胆管の造影に成功し,拡張した総胆管内の結石を診断しえた症例を経験したので,報告する.

技術解説

細胞標本の作り方 信田 重光
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はじめに

 細胞診を行なう場合,良好なる成績を得るためには,的確なる細胞採取,良好なる標本作成,および見逃しのない細胞スクリーニングの上,確実なる細胞同定を行なうといくつかの条件がそろわなければならない.そのどれか一つでもおろそかになると,誤診をまぬがれないという所に細胞診のきびしさがあることは事実であろう.しかし,このことは,診断学として避けられない.他の診断法でも同様に重視されることである.

 今月より数号にわたって,細胞診に関する技術解説がそれぞれの専門家によって連載されるので,その前座として,本稿では細胞標本の作り方のコツについて述べてみたい.

 消化器に関係する細胞診は,食道,胃,十二指腸,大腸および胸腹水などについて行なわれているが,この中液状検体より標本を作成する揚合と,固形の検体より標本を作成する場合とではその手技が異なる.

 前者は,盲目的洗滌法(主として胃)直視下洗滌法(食道,胃,大腸など),および胸腹水などの場合であり,後者は生検塗沫法である.この両者は塗沫,固定の方法などをはじめとしてかなりの差違がある.以下この点を中心として細胞標本の作り方について述べたい.

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 どうしたら陥凹性早期胃癌を早く発見し,範囲をよむことができるか,また良性潰瘍や瘢痕と鑑別できるか,などX線診断の要点について説明しましょう.

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 昭和38年といえば,もはや胃カメラは特殊病院の,特殊検査としてではなく,一般開業の先生方にも胃のルーチン検査とし用いられるようになって来た頃であった.兵庫県でも胃カメラに熱心な先生方は母校の教室で,あるいはその当時大阪で開かれていた研究会などに出席し,その技術,読影力の向上に努められていたが,神戸医科大学(現神戸大学医学部)第2内科馬場助教授,神戸中央市民病院木島副院長(現在大阪の北野病院病院長),長田市民病院浜野副院長,国立明石病院外科壇上先生および筆者らが発起人となり,病院勤務の先生を対照とした胃カメラの診断および消化器一般についてのフリーな談話会を作ることを企画し,兵庫県消化器のつどいと命名した.同年8月第1回の会合を神戸市の大阪証券ビルで開催することにし,特別講iとして京都府立医科大学増田教授を招き,早期胃癌についての講演をお願いした.この試みは時機を得たというか,会場は満員,一般演題も5題の応募があり,さらに出席の先生方から数多くのカメラフィルムの提示があり,非常な盛会であった.その際発起人が一応幹事になり,幹事持廻りで年2回,学会の少ない時期に開くことを決定した.第2回からは会場は前回にこりて神戸国際ホテルの広い会議室を使用し,神戸医科大学放射線科木村助教授,湯川胃腸病院中川先生,京都府立医科大学川井講師らの諸先生方に専門分野の新しい知見などについて特別講演を依頼したり,木島先生が岐阜医科大学へ御赴任の後は木島先生の後任として内科部長になられた北浦先生も幹事になって頂き,さらに芦屋市民病院の中病院長を新たに幹事に加え,腹腔鏡検査などの新しい分野にまで範囲が広められ,文字通り消化器のつどいとして昭和42年度まで続けられた.その間,東は尼崎,西は姫路,北は豊岡と遠い所から多忙な時間をさかれ,多数の先生方の出席を賜り,熱心な討議が行なわれ,一応初期の目的が達しられたものとして,幹事の一員として感謝している次第です.

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 阿波踊りで知られる南国徳島の地に胃疾患研究会が発足したのは昭和38年である.すなわち昭和38年11月近藤台五郎,常岡健二,村上忠重,白壁彦夫,城所仇,竹本忠良の諸先生が来徳され,各専門分野における長年の御研究の成果を拝聴させて頂き聴衆一同は感激し,この講演会をきっかけとして胃疾患の診断,とくに内視鏡診断に興味をもつものの集まりとして,徳島県胃カメラ同好会が設立された.徳島大学第2内科油谷友三教授の並々ならぬ御努力と,E社の熱意ある御援助によりこの会が運営されることになり,竹内義員先生(現香川県成人病センター所長)と筆者が世話人となり毎月1回の例会を開いた.当初は胃X線,胃カメラ,細胞診の手技の検討からはじまり,次第に症例検討会へと発展して行った.

 この間,昭和40年市川平三郎,芦沢真六,奥井勝二の三先生をお招きして胃X線,胃カメラ,細胞診についての綜説をお伺いし,さらに有賀椀三,高橋淳の両先生に胃集検の重要性について講演をして頂き,これがきっかけとなって徳島県対ガン協会が設立され,それまで徳島大学油谷内科胃集団検診研究会のみにより部分的,散発的に行なわれていた胃集検が全県的に行なわれるようになって来た.その後中央より白壁,城所,常岡,竹本,高山の諸先生を再度お招きし,常に新しいお話をして頂き,会員のレベルアップにつとめて来た.昭和42年12月に本会は徳島県胃腸疾患研究会と改名されたのを機会に,従来検討されて来た胃疾患のみならず,食道,腸,膵,肝など消化器疾患全般の話題を提供する会となって来た.

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欧文目次

編集後記 崎田 隆夫
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 新年第1号に早期胃癌の経過が主題としてとりあげられたことは,意義深いことと言えよう.

 すなわち,この最も興味あり重要な,そして難しい問題が,すでにしっかりと多くの人々によりとりくまれており,本年はある意味における解明が期待されていることを示唆するとも考えられるからである.興味ある貴重な症例を提供して下さった方々,綜説を書いていただいた方々に衷心御礼を申し上げたい.そして多くの人々の協力により,この面での本年度の収穫が豊富になることを願ってやまない.

基本情報

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胃と腸
5巻1号 (1970年1月)
電子版ISSN:1882-1219 印刷版ISSN:0536-2180 医学書院

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