胃と腸 35巻2号 (2000年2月)

今月の主題 炎症性腸疾患における生検の役割

序説

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 癌,腺腫などの腫瘍性疾患においては,治療方針を決定するために生検診断は,極めて重要な役割を有している.癌であるか良性の腫瘍であるかによって,治療方針は全くと言ってもよいほどに変わるので,生検診断をつける病理医の責任は重大である.病理医がしばしば裁判官に例えられる理由もここにあると言える.組織診断の基準が病理医の問で合致しないからとて,臨床家が不満をもらすのも事の性質上,止むを得ないことなのである.

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要旨 生検診断をする病理医の立場からみると,炎症性疾患は,生検組織のみから確定診断できる組織学的に特異性のある所見を持つ疾患と,肉眼的には特徴を持つが,組織学的に特異性のある変化に乏しく非特異性の変化を総合判断して診断する疾患に分かれる.前者の場合でも生検で特異性のある所見を有する部位が採取されていなければ後者と同様に診断する.多くの場合は,臨床的に診断された疾患名に基づいて,その疾患の肉眼像を思い浮かべて診断する.したがって,臨床医は正確な臨床診断を下すことが必要なのはもちろんであるが,更に診断するに至った画像を含めたすべての情報を病理医に与えることが必要である.また病理医が手術材料を切り出して診断するのと同様に画像の異なる各部位からの組織採取が必要である.癌の診断と異なり臨床所見なしに生検のみで診断できる炎症性疾患は数少ない.

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要旨 現在の日本の生検診断は,Crohn病について辛く,潰瘍性大腸炎については甘い傾向にあるので,inflammatory bowel disease(IBD)≒Crohn病+潰瘍性大腸炎という理解を一般的にし,IBDであることは確実だが,両者の鑑別が困難な生検はIBD,NOS(not otherwise specified)と診断すべきではなかろうか.そうすれば二者択一による誤診が防げる.またIBDの生検診断基準は厳密でなければならず,IBDを示唆する所見があってもbasal plasmacytosisを欠く場合は,possible IBD,あるいはindefinite IBDと診断して,一過性大腸炎(acute selflimited colitis)との鑑別に努めるべきである.colitis,non-IBD typeと診断した場合は,原因追究の努力を怠らないことも重要である.

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要旨 腸の炎症性疾患を疑った場合の生検について,臨床の立場から疾患ごとに注意点を述べた.基本的には潰瘍性大腸炎か否かを明らかにするために,病変部ばかりでなく一見正常に見える直腸や病変問からも生検を施行し,組織レベルでの病変の連続性,びまん性を判定できるようにする.主病変を欠くCrohn病疑診例では,粘膜下層を含む多数個の生検採取と連続切片作製により,肉芽腫を検索する必要がある.通常は潰瘍辺縁から生検するが,腸結核やアメーバ赤痢を疑い,菌や原虫を証明するためには潰瘍底から生検する.内視鏡を含めた精度の高い臨床診断と,それに応じた的確な生検部位,その部分の内視鏡所見を正確に病理医に伝えることが重要である.

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要旨 潰瘍性大腸炎(UC)とCrohn病(CD)の肉眼・組織像,両疾患の生検診断に有用な組織像,両疾患の生検鑑別診断,“indeterminate”colitisなどについて,病理形態学的立場から概説した.その後で,上記事項を十分把握しているつもりの筆者らの施設における両疾患の日常生検診断の実態を分析した.その結果,UC(277人,生検回数699回)の生検診断の正診率は71.5%,CD(209人)の正診率は54%(大腸生検のみでは38.3%で,これに上部消化管生検での率を加えたもの)と予想外に低い値であった.これらの事実から,IBDの生検診断は考えられている以上に容易とは言い難く,その診断は,臨床像と経過,X線像,内視鏡像が主であって,生検診断はむしろ従であるとの認識が大切であることを強調した.

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要旨 潰瘍性大腸炎(UC)とCrohn病(CD)は,最近の診断基準の進歩により,積極的かつ客観的に生検診断できるようになった.診断は,第一段階で特発性炎症性腸疾患(IBD)とIBD以外の大腸炎(non-IBD)を,第二段階でUCとCDを鑑別する方法に従うのが最も実際的である.IBDとnon-IBDの診断基準の精度は一般に高く,97%を超えるものがある一方で,UCとCDについては感度と特異度を両立させることが困難であった.しかし,組織所見の大腸内分布を反映させた新たな診断基準では,実用的レベルの感度(89~94%)と特異度(97%以上)を達成している.病理診断に寄与できる質の高い生検を採取するために,内視鏡医も診断基準の内容を十分把握しておく必要があろう.

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要旨 潰瘍性大腸炎の癌・dysplasiaのサーベイランスにおける隆起型のdysplasia(DALM)の生検の役割・問題点を述べた.小さなDALMを含めれば,われわれのグループでのDukes AおよびBの浸潤癌には全例DALMを伴っていた.小さなDALMは,腺腫との鑑別が必要であるが,隆起の周囲粘膜からの生検で異型上皮を認めない場合,腺腫として内視鏡的切除し経過観察する適応があると考えられた.一方,比較的大きな隆起性病変で上皮表層には異型を認めず,深部に異型腺管や浸潤癌を認める症例もあり,生検診断の盲点と考えられた.平坦型dysplasiaの存在は十二分に心すべきだが,平坦粘膜からのランダムな生検の真の有用性はコストベネフィットなどの点では現時点でも評価不能であり,多様な形態を示す潰瘍性大腸炎合併腫瘍を念頭に置き,より小さなDALMにも注意して生検採取部位を選ぶ必要があると思われる.

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要旨 病理医の立場から,UC(ulcerative colitis)の癌・dysplasiaのサーベイランスにおける役割を一言で言えば,癌,dysplasia,腺腫,再生異型を正確に診断することである.即ち,ポリペクトミーで治療可能な腺腫と大腸全摘出術を考慮すべきdysplasiaを的確に診断しなくてはいけない.次いでUC合併大腸癌には印環細胞癌や粘液癌が多いので,生検標本で少数の印環細胞や粘液を見逃さないことである.また,表層が鋸歯状腺腫のような組織像でも,進行癌のことがあるので肉眼像も大切である.更にUC合併PSC(primary sclerosing cholangitis:原発性硬化性胆管炎)には胆囊癌の合併もみられる.生検標本で再生異型かdysplasiaか鑑別困難な場合,p53染色が望ましく,また経験豊富な病理医にコンサルトするか,寛解期の再検が望ましい.UC合併大腸癌の約半数は直腸に発生するので,直腸で内視鏡を反転させ,注意深い観察と,多数の生検が必要である.

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要旨 炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease;IBD)の病変部粘膜では,T細胞,B細胞,マクロファージなどの免疫系細胞の活性化とサイトカイン,ケモカイン産生の異常,さらにはT細胞および好中球のアポトーシスの異常がみられ,病変の進展および難治化に密接に関係しているものと考えられる.生検標本を用いたIBDの局所免疫に関する研究では同一症例において経時的な変化を検討することが可能であり,長期の経過をとるIBDの病態を解明する上で重要な手段になりうると考えられる.

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要旨 肉眼的,組織学的に活動性炎症を認めない胃十二指腸粘膜生検標本を対象とし,免疫染色されたmacrophageを検索し,非乾酪性類上皮細胞肉芽腫以外のCrohn病に特徴的な組織学的所見を求めた.Crohn病患者の粘膜固有層macrophage数は潰瘍性大腸炎患者,正常対照患者より増加していた. Crohn病患者の最も特徴的組織学的所見は,H・E染色で同定できない免疫染色されたmacrophageの微小集簇巣であった.更に大腸Crohn病と潰瘍性大腸炎の1患者当たりの微小集簇巣と肉芽腫の陽性率を求めた結果,大腸Crohn病患者のみにこれらの所見を認め,微小集籏巣の陽性率は肉芽腫の陽性率よりも高かった.Crohn病患者のHelicobacter pyori感染の有無別に微小集籏巣の陽性率を検索したが,非炎症部を検討対象とすれば,感染の有無により陽性率に差を認めなかった.以上の検討により,Crohn病患者の非炎症部胃十二指腸粘膜に増加したmacrophageは,全消化管を罹患部位とする疾患に特有な慢性に持続する潜在性の異常を反映していると思われた.更にmacrophageの微小集簇巣は,大腸のみに病変を有する炎症性腸疾患の鑑別診断に有用な所見となる可能性が示唆された.

Coffee Break

内視鏡奮戦記(8) 武藤 徹一郎
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後日譚

 St.Mark病院は1996年,有名なHarrow校のあるHarrow on the Hillの近く,ロンドン北部のNorthwick Parkへ移転した.旧病院では,臨床・研究に必要な最新の設備を整えることが困難であるため,St.Bartholomew病院と組んで必要な分を補いながら,長年にわたって移転を模索していた.移転の条件はSt.Mark病院の名を残して病棟を移すこと,病棟は大腸疾患を専門に独立して運用すること,臨床・研究に必要な設備が利用できること,人事・経営面の独立性を保てること,などであり,受ける病院からみれば丸呑みするのは困難な条件ばかりである.寄生木が親木より立派に繁ることを最初から求めているようなものであり,StBartholomew病院との協議は不調に終わった.歴史的に有名なこの病院の一部に,St.Mark病院の名が冠せられた病棟ができることに反対があったことは,十分に理解できる.Northwick Park病院がこの条件を呑んだのは,十分なスペースがあったが経営状況が思わしくなかったなど,いろいろな理由があろうが,とにかくSt.Mark病院はNorthwick Park病院の翼を占拠して,立派に再生できたのである.移転直後から患者数は前以上に増加し,・篤志家の寄付のお蔭で眺めの良い病院の最上階に,立派な個室がずらりと並んでいる.

 この移転にあたってはMr.James Thomsonの貢献が大変大きかった.彼は筆者がSt.Mark病院にいたころにシニア・レジデント(resident surgical officer:RSOという)の資格で病院で働いていた男であり,今年のSt.Mark's Association Day(AnnualMeeting)をもって退官した.これで昔からの知り合いは,Dr.Christopher Williamsを除いてすべて病院を去ったことになる.このAnnual Meetingには,associationmemberが集まって朝から病院スタッフによる研究報告会があり,その最後にSir Alan Parksの功績を記念して,Visiting ProfessorによるSir Alan ParksLectureがある.光栄なことに筆者が1999年のVisiting Professorに選ばれ,“Colorectal Carcinogenesis.Past,PresentandFuture”と題した講演を行った.“StudentとしてSt,Mark病院を訪れ,30年後にVisitingProfessorとして再訪できたのは無一Lの喜びであり,Mydreamhascometrue.”と結んだが,内容もユーモアもあって良かったと好評であった.夜にはSt.Mark's Association DinnerがRoyal College ofSurgeonsの大広間で開かれ,Mr.James Thomsonの退官に重なったこともあって350名もの出席者があった.食事の内容は例によって大したことはないのだが,現および前Archbishop(英国国教会大主教)が臨席されており,筆者の紹介の後に筆者夫婦に対する乾杯があり,それを受けて短いスピーチを求められた.Mr.President,Your Grace,My Lord,Membersofthe Association,Ladiesand Gentlemen...で始まるshortspeechはちょっとした経験であったが,1~2回は笑ってくれたので,まあまあの出来であったようだ.すべて終わったなという充足感で,その後のワインがうまかった.

早期胃癌研究会

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 1999年10月27口(水),第39回「胃と腸」大会が広島厚生年金会館で行われ,岡崎幸紀(周東総合病院内科),田中信治(広島大学光学医療診療部)が司会した.

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 1999年11月の早期胃癌研究会は11月17日(水)に東商ホールで開催された.

 司会は牛尾恭輔(国立病院九州がんセンター)と宇野良治(弘前大学第1内科)が担当した.ミニレクチャーは,「Barrett.上皮とBarrett腺癌」として,星原芳雄(虎の門病院消化器科)が行い,きれいなスライドで定義,分類,最近の知見について詳しく説明し,聴衆者に感銘を与えた.

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要旨 患者は49歳,男性.9年前に神経Behget病を発症し当医院神経内科に人院.このとき行った大腸X線検査では明らかな異常所見を認めなかった.9か月前より腹部膨満感排便困難が出現し経口摂取が困難となり,近医で治療を受けたが改善しないため当科入院となった.大腸X線検査にてS状結腸から下行結腸に栂指圧痕様の腸管の伸展不良を認め口側の腸管は拡張していた.大腸内視鏡検査で同部位の腸管はspasticで伸展不良を認めたが粘膜面に異常はなかった.他の消化管には明らかな異常は認めず,病変は大腸に限局していると考えられたため大腸亜全摘術を施行した.切除標本の検索にて,S状結腸から下行結腸においてAuerbach神経叢とMeissner神経叢の神経節細胞が著明に減少していた.本例は,後天性に生じた分節状のhypoganglionosisにより慢性偽性腸閉塞症を来したものと考えられた.

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要旨 患者は58歳,男性.1996年12月,人間ドックの胃X線検査で粘膜模様の異常が疑われ,精査目的にて来院した.上部消化管内視鏡検査を施行した際,十二指腸主乳頭の開口部隆起内に限局して,発赤を伴う顆粒状変化を認めた.生検の結果は高分化型腺癌であった.逆行性膵胆管造影は異常所見を認めなかった.術前に管腔内超音波検査を施行して,病変はOddi筋を越えず,乳頭部胆管および乳頭部膵管への進展所見を認めないことから,十二指腸乳頭部早期癌と診断した.患者の同意の下,1997年2月26日,内視鏡的乳頭切除術により治療を行った.現在まで遺残再発の徴候はみられていない.

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要旨 患者は67歳,男性.上部腹部不快感を主訴に近医を受診した.上部消化管内視鏡検査で胸部下部食道左後壁に病変を指摘されたが,繰り返す生検の結果では明らかな悪性所見が得られず,精査加療目的で当院に紹介入院となった.内視鏡検査では,病変の表面全体がほぼ正常食道上皮に被覆され粘膜下腫瘍様の形態を呈した.中心に軽度の陥凹と少量の白苔付着を伴う隆起性病変を認め,ヨード染色で濃染した.当院での生検組織の一部で扁平上皮癌を認め0-lsep型表在癌,深達度SMと診断した.本人の希望により,内視鏡的粘膜切除術を先行した.病理組織学的検索の結果,上皮下発育を示した低分化型扁平上皮癌で,間質に著明なリンパ球浸潤と濾胞形成を伴っており,深達度pT1b(sm2),infγ,ly0,V0と診断された.リンパ節転移の可能性を否定できず,右開胸開腹胸部食道切除術D3を追加施行した.その結果,リンパ節3,7番に癌の転移を認,pN2,pStageⅡの診断となった.

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要旨 患者は63歳,男性.心窩部不快感,下血のため施行した上部消化管X線および内視鏡検査にて,十二指腸下行脚に全周性狭窄を伴う隆起性病変を指摘された.低緊張性十二指腸造影では,最狭窄部に潰瘍を疑わせるニッシェを認めるものの,その口側と肛門側の粘膜面はほぼ保たれ,いわゆる全周性の収束像を呈していた.生検にて,B細胞性悪性リンパ腫と診断された.膵頭十二指腸切除術を施行後,化学療法と放射線療法が追加された.手術組織結果は,びまん性悪性リンパ腫,大細胞型,B細胞性(IgM・κ)であった.術後の化学療法は8クール施行され,術後4年2か月経過した現在も再発の兆候は全くなく,健在である.

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要旨 患者は61歳,男性.近医での上部消化管内視鏡検査にて十二指腸乳頭部癌を発見され,当院上部消化管X線検査中,十二指腸水平部に陥凹性病変を指摘された.内視鏡検査で同部前壁に径約4mmのⅡc病変が確認され,生検結果は腺腫成分を伴う高分化型腺癌であった.乳頭部癌もあり,膵頭十二指腸切除が施行された.組織診断は術前生検と同様の粘膜内癌で,リンパ節転移は認められなかった.本例はわが国にて報告された陥凹型早期十二指腸癌15例目にあたり,腫瘍径が最小であった.本例の組織発生は腺腫の癌化と考えられ,過去14例の癌に腺腫成分を有するという記載がないことから,本例はごく初期の十二指腸癌の病理像を示す貴重な症例と考えられた.

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要旨 われわれは,まれな胃原発性小細胞癌の1例を経験したので報告する.患者は71歳の男性,術前肉眼診断は2型で,形態的には悪性リンパ腫が疑われたが,生検ではtub2であった.手術は幽門側胃切除を施行した.組織学的には,腫瘍細胞は粘膜下主体の増殖を示し,多形性に富み,N/C比大の異型細胞が一部腺管状あるいは索状の増殖を示しながら充実性に増殖しており,核分裂像が目立ち,ロゼット様構造も認められ,Grimelius染色陽性,Chromogranin染色陽性であり,電子顕微鏡で神経内分泌顆粒を認めたことにより小細胞癌と診断した.また,一部周堤の粘膜内に高分化型管状腺癌を認めた.小細胞癌の予後は非常に不良であり,術後注意深い経過観察が必要と思われた.

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欧文目次

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 腫瘍マーカーという言葉を聞くと,医学に携わる多くの人たちの頭には,“がんの早期診断”,“治療のモニタリング”“測定の組み合わせと間隔”“保険診療上の制約”“遺伝子産物などの新しいマーカー”といった事柄が浮かんでくるはずである.あるいは,Prostate Specific Antigen(PSA)の導入以来,前立腺がんの早期診断,治療モニタリングに果たす絶大な意義から世界中で汎用されている事実に想いをいたす方もあるだろう.1つの有効な腫瘍マーカーの導入が,疾患の診断,治療体系を・変させたよい例である.苓,早期診断に最も難渋している膵がんも,新しい有効な腫瘍マーカーが開発されれば事情は一変するだろう.既にその画像診断の手法はかなり進歩しているのだから.“そのステップは小さくとも,人類にとってはgreatleap”と月面上でアームストロング氏が吐いた言葉は,そのまま腫瘍マーカーにも当てはまる.

 本書は「マニュアル」と題されているように,見開き2頁から3頁の簡潔な記述によって,臨床上重要な腫瘍マーカーの選択,その利用法,疾患別の項目の選択と組み合わせ,適正な検査間隔,偽陽性,偽陰性などを含めたデータの読み方,治療経過中の測定値変動の意義,保険診療Lの注意などが網羅されている.

編集後記 中野 浩
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 炎症性腸疾患における生検診断の意義が少ないことは予想され,本号の主題論文を見ても総論的な内容になっていることはしかたのないことである.そして,生検ポイントの正確な把握と病理医への情報の提供の大切さが強調されている.鑑別診断における生検診断の意味合いについては,既に承知されていることが多いが,炎症性疾患の時期,経過,治療効果の判定についての生検診断の役割についてはまだ触れられてはいない.今後,このような点より生検組織を見る必要もあろう.潰瘍性大腸炎におけるdysplasiaについては,わが国独自の微細な内視鏡観察に基づいた診断基準が考えられるであろう.本号では,今後,生検材料を用いた炎症性腸疾患の免疫学的方面より病因,病態解明のための研究の進歩にも触れることができる.

基本情報

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胃と腸
35巻2号 (2000年2月)
電子版ISSN:1882-1219 印刷版ISSN:0536-2180 医学書院

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