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書評「腫瘍マーカー臨床マニュアル」
垣添 忠生
1
1国立がんセンター中央病院
pp.188
発行日 2000年2月25日
Published Date 2000/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403104660
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腫瘍マーカーという言葉を聞くと,医学に携わる多くの人たちの頭には,“がんの早期診断”,“治療のモニタリング”“測定の組み合わせと間隔”“保険診療上の制約”“遺伝子産物などの新しいマーカー”といった事柄が浮かんでくるはずである.あるいは,Prostate Specific Antigen(PSA)の導入以来,前立腺がんの早期診断,治療モニタリングに果たす絶大な意義から世界中で汎用されている事実に想いをいたす方もあるだろう.1つの有効な腫瘍マーカーの導入が,疾患の診断,治療体系を・変させたよい例である.苓,早期診断に最も難渋している膵がんも,新しい有効な腫瘍マーカーが開発されれば事情は一変するだろう.既にその画像診断の手法はかなり進歩しているのだから.“そのステップは小さくとも,人類にとってはgreatleap”と月面上でアームストロング氏が吐いた言葉は,そのまま腫瘍マーカーにも当てはまる.
本書は「マニュアル」と題されているように,見開き2頁から3頁の簡潔な記述によって,臨床上重要な腫瘍マーカーの選択,その利用法,疾患別の項目の選択と組み合わせ,適正な検査間隔,偽陽性,偽陰性などを含めたデータの読み方,治療経過中の測定値変動の意義,保険診療Lの注意などが網羅されている.
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