胃と腸 23巻5号 (1988年5月)

今月の主題 胃・十二指腸潰瘍と超音波内視鏡

序説

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 超音波内視鏡の研究の展開には,筆者も当然ながら重大な関心を持ち続けている.その1人として,いまこの「胃と腸」において,“胃・十二指腸潰瘍と超音波内視鏡”というユニークな主題でもって,優れた特集号が出来上がったことに,深い感慨をおぼえている.

 ごく最近,新刊の平凡社選書の五来重著「踊りいたび念仏」と千々和到著「板碑とその時代」の2冊を入手した.求めたその日に,一気呵成に読み終わった.読後の感想はじつにさわやかであった.2冊の本とも,1つの主題をしつこく追求し,じつに長い年月をかけて,研究を掘り下げていって,ついに単なる思いつきでは得られない“新しい事実”を発見(実証)したものであり,われわれ読者にテーマをもってこの人生を生き抜くことの喜びを教えてくれる.と同時に,引用されている文献などからみても,このような一見地味な課題に取り組んで,それこそ生涯をかけている

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要旨 ホルマリン固定切除胃を用い,超音波内視鏡検査(以下EUSと略)による胃潰瘍の深さの判定を試みた.まず,EUSでの胃潰瘍の深さに対する診断基準を作るため,切除標本にUl-Ⅱ,Ⅲ,Ⅳに相当する組織欠損を作製し,これを水浸下で走査しEUS像を得た.潰瘍瘢痕は作製が困難であったため,それらの典型的な組織像からEUS像を類推し,EUSによる潰瘍の深さのシェーマを作成した.この診断基準に沿って切除標本31症例41病変に対しEUSを行ったところ,開放性潰瘍では90%の正診率が得られたが潰瘍瘢痕のそれは71.4%であった.誤診例の検討では層構造の描出が困難な場合と,線維症および筋線維の錯綜のための層構造の不明瞭化による場合があり,線維症によるエコーレベルの変化を更に検討することが今後の課題と考えられた.

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要旨 胃潰瘍の深さの臨床的判定は,潰瘍病変と胃壁の粘膜層,粘膜下層,固有筋層との関係から病理学的に判定する村上の分類を基準にして行われている.超音波内視鏡は,村上の分類による深さの判定の指標となる胃壁層構造と,潰瘍の断層像を明瞭に描写可能なことから,村上の分類に準じた潰瘍の深さの臨床的判定方法として有力である.すなわち,第3層(粘膜下層)に変化が及ぶものの,断裂を認めないときはUl-Ⅱ,第3層の断裂が確認されながら,第4層(固有筋層)あるいは第5層(漿膜)の連続性が認められればUl-Ⅲ,第4,5層の断裂が確認されればUl-Ⅳと判定される.この超音波内視鏡による潰瘍の深さの判定は潰瘍治癒の難易性の予測,更には治療の選択に重要な情報を提供するものである.

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要旨 胃潰瘍症例46例(50病変,延べ83回施行)を対象として超音波内視鏡(EUS)により胃潰瘍治癒過程につき検討した.胃潰瘍のEUS像を,陥凹部周囲に拡がる低エコー域をulcer echo,陥凹底の径をW,sm層の中断径をD-sm,pm層のulcer echoの径をD-pmとして内視鏡時相別に分析を行った.胃壁内のulcer echoは胃壁深層ほど大きく,その拡がりはUl-Ⅲ,Ⅳ易治性,Ⅳ難治性の順に大きくなる傾向があり,治癒の進行と共に縮小した.D-sm,D-pmの縮小速度は難治性潰瘍で遅い傾向がみられ,4週以後その差は顕著であった.内視鏡時相H期のW/D-pmの比により易治性潰瘍と難治性潰瘍の鑑別がある程度可能であり予後の判定に有用と思われた.

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要旨 難治性潰瘍の臨床診断を目的に超音波内視鏡(EUS)で観察される消化性潰瘍像を解析,検討した.EUS施行胃潰瘍例80例(延べ128回)のうち急性潰瘍ならびに急性胃粘膜病変を除いた72例(延べ102回)を対象とした.潰瘍EUS像は,欠損部の深さ,周囲胃壁構造の変化を明瞭に描出し,その形態学的解析が可能であった.Ul-Ⅲ以上の病変についてEUS像と内視鏡的時相との関係,治癒過程を検討すると,内視鏡像に相関するEUS像が理解できたが,瘢痕期については粘膜下層の集中の完全程度を基準にEUS像からみた治癒判定が可能であった.治癒過程および治癒像から難治性潰瘍のEUS像を解析すると,潰瘍周囲から底部に低エコー線維化層が壁状に観察され,潰瘍難治化に大きな影響を与えるものと考えられた.

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要旨 水浸下EUSを施行した十二指腸潰瘍切除標本1例,EUSを施行した臨床例13例を対象として,十二指腸潰瘍の診断におけるEUSの有用性を検討した.切除標本ではEUSによる深さの判定と組織所見との一致をみた.臨床的検討においては,対象症例13例のうち,定期的な通常内視鏡観察が可能であった10例中9例が,年齢・性別,潰瘍の既往歴,使用薬剤,EUSで判定した潰瘍の深さに関係なく,8週間以内に瘢痕化した.H2-blockerを使用した1例(Ul-Ⅳ)のみが10週を経過しても瘢痕化せず,外科手術となった.この症例の治癒期のEUS像では,潰瘍底深部に低エコーがみられるという特徴が存在した.潰瘍の深さがUl-Ⅳの他のH2-blocker使用例3例には,この所見がなく,いずれも4週もしくは8週以内に瘢痕化した.十二指腸潰瘍のEUSにおいて,治癒期にみられる潰瘍底深部の低エコー所見は,H2-blockerに難治性あるいは抵抗性を示す潰瘍を診断するうえで重要な所見になると考えられた.

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 福地(司会) 本日はお忙しいところをお集まりいただきましてありがとうございました.

 超音波内視鏡(以下EUSと略す)が最初開発された段階では,膵癌の診断とか,消化管に隣接する臓器の診断というようなことに1つの大きな目的があったかと思いますが,1980年から1983年ぐらいにかけてEUSによって胃壁の5層構造がかなりわかってきました.そして,その組織学的な裏付けもできてきた.そういうことから胃粘膜下腫瘍の診断はもとより,胃癌の深達度診断とか,胃・十二指腸潰瘍の深達度を診断することが可能になってきました.従来のX線とか内視鏡では,特に内視鏡は粘膜表面から見る,X線は胃壁の硬化ということをかなり加味できるわけですが,それにしても正確な潰瘍の深達度を診断するということはなかなか困難であったわけです.内視鏡的に言えば,びらんとUl-Ⅱ以下の潰瘍をある程度区別できるとか,あるいは穿通性潰瘍のようなものはある程度区別できるというようなことは可能であっても,正確な深達度を診断することは困難でした.特に潰瘍が治癒過程に入って浅くなると,その潰瘍の深達度がどの程度かということはなかなかわからない.実際に潰瘍の治癒過程をみてみると,なかなか治らない難治性の潰瘍があります.その難治性潰瘍については,X線内視鏡的な所見の特徴がいろいろ論じられてはいるわけですが,実際には治療する前には,その潰瘍が難治であるかどうか,予後について確言できないのが,従来の診断学の現状だと思います.治療してみて初めてこれが難治であると,一般には3か月以上治療して治らないのが難治であるという,そういう解釈が現実には行われています.

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 〔症例の概要〕患者は60歳,男性.主訴は食物摂取時のつかえる感じ,既往歴には特記すべきことなし.

 現病歴はなし.3か月ほど前から,食物の摂取時につかえる感じを自覚するようになった.近医を受診し,上部消化管X線検査,および内視鏡検査を受けた.内視鏡検査で下部食道に不整形の発赤斑を認め,生検の結果,扁平上皮癌であった.手術を目的に当院に紹介された.

早期胃癌研究会

1988年3月の例会から 岡崎 幸紀
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 3月の早期胃癌研究会は17日(水)に開催され,小越和栄(新潟がんセンター内科)の司会のもとに,胃3例,腸2例が検討された.

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要旨 上部食道に孤立性に存在する異所性胃粘膜は,胎生期の円柱上皮から扁平上皮への置換不全が成因とされる.その頻度は欧米では約4%,本邦では内視鏡的に0.45%が診断されるにすぎず,大部分はいずれも径5mm以下と小さい.今回報告した2症例中,第1例(44歳男性)は心窩部不快感などの症状を有し,内視鏡で上部食道に孤立性赤色調粘膜域を認め,コンゴーレッド法による酸分泌能および生検組織で壁細胞を含む胃粘膜を証明した.第2例(43歳男性)は,内視鏡検査の際,偶然上部食道に赤色調粘膜(径約1cm)を発見し,生検により壁細胞を含まない胃粘膜を証明した.本病変より発生した腺癌の報告もあり,今後2症例の厳重な経過観察が必要である.

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要旨 linitis plastica型胃癌は,胃底腺粘膜領域の陥凹性病変が粘膜下組織以深へ広範囲に,びまん性に浸潤し,線維性組織の収縮によって胃全体がleather bottleあるいは管状狭窄状態となる.その原発巣は,通常,腫瘤形成を伴わない.今回,われわれは原発巣が腫瘤を形成しているlinitis plastica型胃癌を経験したので報告する.患者(45歳,女性)は無症状であったが,胃集検で異常を指摘され,X線検査・内視鏡検査の結果Borrmann 1+4型の診断で胃全摘出術が施行された.病理組織学的検索の結果,原発巣は大きさ1.7×2.2cmの隆起性病変で,粘膜下組織以深へ広範囲に浸潤しているlinitis plastica型胃癌と診断された.

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要旨 患者は40歳,女性.空腹時心窩部痛を主訴に来院し,初診時のX線,内視鏡検査で胃前庭部大彎に平皿状の腫瘍を認め,生検診断とも併せて悪性リンパ腫と診断された.初診より40日後の内視鏡検査で腫瘍は著明に縮小し,65日後の胃切除標本では,病変は肉眼的には治癒期の消化性潰瘍のごとくであった.組織学的にはUl-Ⅱの潰瘍底の肉芽組織の中に径2mmの悪性リンパ腫の微小病巣を認めた.本例は潰瘍化を契機に自然縮小し,腫瘍がほとんど消失に近い状態まで至ったまれな症例と考えられた.

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要旨 胃潰瘍のためBillroth Ⅱ法の胃切除を受け,24年経過後残胃吻合部に,ほぼ半周性にⅠ+Ⅱb+Ⅱc型早期癌(高分化~低分化腺癌,sm)の発生をみた54歳,男性の症例を報告した.癌周囲を含む吻合部に吻合部肥厚性胃炎(stomal polypoid hypertrophic gastritis)の所見がみられ,癌は隆起部分(30×20mm)で塊状に粘膜下層に浸潤し,ⅡbやⅡc部分では主に粘膜上半分に存在していた.吻合部の胃炎性変化,すなわちgastritis cystica polyposaや,stomal polypoid hypertrophic gastritisを母地として発生したと考えられたこれまでの本邦報告例を一括し,本報告例と共にその臨床病理学的特徴を調べ,吻合部癌の組織発生について検討した.その結果,吻合部の胃炎性変化の表層上皮の未分化腺窩上皮からの癌化であることが示唆された.

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要旨 潰瘍性大腸炎の結腸全摘,回腸直腸吻合術後,残存直腸にdysplasiaの発生した1例を経験した.患者は62歳の女性,全結腸炎型で,発症後14年で上記手術を行い,緩解を維持していたが,発症後29年して残存直腸に広範な,丈の低い隆起性病変を認めた.この病変は周囲との境界が不明瞭,表面は凹凸不整で,一部にポリープ様突出があり,ポリベクトミーおよび多数の生検によってRiddellらの述べるlow grade dysplasiaと判定した.周囲の直腸粘膜は緩解期の像を示した.潰瘍性大腸炎術後の残存直腸に発生した癌,dysplasiaの報告は本例も含めて本邦では3例であるが,経過年数と共に増加する可能性があり,定期的内視鏡検査によるdysplasiaの早期発見が重要である.

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要旨 患者は66歳の男性で下痢,裏急後重を主訴に来院した.便潜血は強陽性で直腸指診では肛門輪より4cmの部位を下端とする全周性の比較的軟らかい腫瘤を触知した.注腸造影所見では直腸に長径約10cmの全周性で凹凸不整の結節状の病変を認めた.特に特徴的なのは,縦軸方向への拡がりに比して,狭窄は著明でなく伸展性が保たれていることである.内視鏡所見では大小不同の結節が集簇しており,全体に黄白色調であるが,発赤や暗青色の部分が混在していた.生検では悪性リンパ腫などの非上皮性腫瘍が示唆された.術前の検索により直腸原発悪性リンパ腫と診断し,直腸切断術を行い治癒切除しえた1例を経験したので報告した.

学会印象記

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 第74回日本消化器病学会総会は,1988年3月24~26の3日間,東北大学第1外科,佐藤寿雄教授を会長に,宮城県仙台市で開催された.学会場は県民会館を中心に10会場に分かれ,シンポジウム3題,パネルディスカッション3題,ワークショップ2題,一般演題724題,更に特別講演5題,招待講演3題と多彩なプログラムであった.この膨大な数の演題に対して体は1つで,この印象記が筆者の興味を持った演題に限られてしまったことをお断りしておく.

 1日目:第1会場の最初のプログラムは,鎌田教授,出月教授司会のシンポジウム1“先端技術と消化器病診療”であった.8題の演者が各々異なった先端技術を使い消化器病診療に活用されている発表で,どの演題でも近い将来に,消化器病の診断,治療,病態解明に応用される可能性の高い先端技術が報告されていた.各演者にもう少し時間を与えて十分な討論を聞かせてもらいたかった.司会者の総括でこのような先端の研究には若い研究者の発想と努力が必要であるが,多くの経験を積んだ者との対話が必要であると述べられたことが印象深かった.

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要旨 微小胃癌の診断限界を知るため切除胃を実体顕微鏡で観察後,病理組織学的検索をした633例について,大きさを(A)3mm未満,(B)3≦~≦5mm,(C)5<~≦10mm,に分け発見方法を臨床検査,実体顕微鏡観察および病理組織学的検索とに分類し検討した.臨床,実体までを診断可能とすると,(B)は29病変中17病変,発見率59%,(A)は19病変中2病変11%と低い.表面の形態を実体顕微鏡でみると5,4mmでははっきりした癌の特徴をとるが,3mmではわずかになり,2mmでははっきりしない.以上より3mmの大きさが診断限界と考えた.領域別では幽門腺領域で40病変中18病変(45%),胃底腺領域で8病変中1病変(13%)と発見率は低い.胃底腺領域の微小胃癌の発見はかなり困難である.

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要旨 低分化腺癌から成るⅠ型早期胃癌7例の臨床病理学的特徴を探求するために,高分化管状腺癌から成るⅠ型早期胃癌21例と比較観察した.前者では後者に比し,患者の平均年齢が低く,女性の割合が多く胃の高位に存在することが多かった.低分化腺癌では全例が粘膜下層まで浸潤を来しており,組織学的には髄様型癌で,腫瘍細胞は充実胞巣状に増殖していた.また,間質には血管が豊富で,滲出性間質反応が高度であった.リンパ節転移や肝転移のみられた例はなく,癌以外の原因で死亡した2例を除く全例が健在である.なお,これらの中には高度の貧血および低蛋白血症を示す例が1例,神経内分泌顆粒陽性細胞が多数みられる例が1例あった.

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 H2ブロッカーの継続服用は潰瘍の再発防止に効果があるが,制酸剤や抗コリン剤などを主とした従来の潰瘍治療剤にはその効果がないという意見が支配的であるようにみえる.また一方,H2ブロッカーの服用を中止すると,速やかに再発が起こり,結局は維持療法をしない場合と同様であって,H2ブロッカーを以ってしても潰瘍の自然史を変えることはできないという見解もまた広く支持されているようである.

 つまりは,当然の帰結として,われわれが現在行っている維持療法は無用なものとならざるを得ないはずだが,それでもなお,維持療法などやめにしよう,という声を聞かないのは,これはまたどうしたことか.その理由の1つは,上記の維持療法についての評価がいまひとつ信頼されていないせいだと思えるのだが,どうであろうか.

初心者講座 食道検査法・5

X線所見の読み方 山田 明義
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 1.はじめに

 食道疾患のX線診断は透視観察下に始まる.食道の場合はスクリーニングにおいて食道全長をカバーしうる良好な二重造影像が得難く,フィルム上で初めて異常に気づくということは比較的少ない.透視下にバリウムの流れに注目し,少しでも異常が疑われたならば,その部を中心に良好な二重造影像を撮るように努めることが小病変発見の早道である.Fig.1は上部消化管X線検査の際に,下部食道に停溜したバリウムが胃内に流入する瞬間の二重造影像で異常が疑われた.透視下にタイミングを計って撮影したところ米粒大の辺縁,表面ともに平滑な表在隆起型の病変を描写することができた.このような小病変であっても注意深く観察すれば見逃すことはない.

 次に,発見された病変において臨床的に意味のある所見が読み取れるX線写真を撮影しなければならない.

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欧文目次

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 この度,食道静脈瘤に対する食道離断術の伝統をもつ東京大学第2外科の出月康夫教授と,食道静脈瘤の硬化療法ではわが国の草分け的存在である筑波大学外科の高瀬靖広講師との編集による「図解 食道静脈瘤硬化療法」が医学書院から上梓された.その時期もよく,本年1月21,22日の2日間にわたって,東京で編集者の1人である出月教授を会長として,Tokyo Symposium on the Treatment of Esophageal Varicesが開催された.それにはアメリカのEmory University Hospitalの外科のWarren教授やMichigan University Hospitalの外科のEchhauser教授をはじめ欧米の第1線の外科医と共に,わが国のこの方面を専門にしている外科医,内科医が集まってこのsymposiumが行われ,食道静脈瘤の病態や治療に大きな関心を呼んだ.

 そもそも食道静脈瘤に対する手術的治療法としては,食道静脈瘤直達手術(食道離断術,胃上部切除術,Hassab手術など)であるが,一部では選択的シャント手術(遠位脾腎静脈吻合術)が行われている.一方,保存的治療法としては内視鏡的硬化療法が急速に普及し,内視鏡医にとって出血時緊急治療の対象になっている.また一部では静脈瘤塞栓術(経皮経肝的,経上腸間膜静脈的)も補助的に行われている.緊急止血法としてはバルーンタンポナーデ法と薬物療法(バゾプレッシン,イソプロテレノールなど)が普及している.

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 筆者は外科医で,今日まで大凡30,000件以上の各種手術を直接間接に経験してきた.毎日忙しいので1冊の本を徹底的に読むことは,原稿依頼でもないとまずないと思うが,今回,書評を依頼された関係で,永井純先生の「腹部単純X線診断」という本を初めて読む機会に恵まれ,丸1日かけてすべて読んだ.読み終えて感じたことは,この本は実地臨床家にとって必読の書であるということである.

 救命救急センターを併設している当院は第一線外科を兼ね,ほとんど毎日急性腹症患者が来院し今日まで極めて数多い症例を経験し,また手術も多数行ってきた.第一線外科では救命が至上命題である.つまり緊急で,しかも命を助けなければならない宿命を担っている.

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 Gastric adenocarcinoma after gastric lymphoma: Baron BW, Bitter MA, et al(Cancer 60: 1876-1882, 1987)

 同じ臓器に2つの異なった組織起源の腫瘍が発生することはまれである.この報告の4例は胃びまん性リンパ腫の後,胃に腺癌が発生したもので,同時期に経験した全胃癌の0.7%,全胃リンパ腫の13.8%に当たる.

編集後記 木村 健
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 遅まきながら今爛漫の桜花,そして,明治41年来,80年振りの記録的な四月の降雪,花見と雪見の宴の競演の珍事,併せて東京ドームでのプロ野球の華々しい開幕,今まさに春闌(たけなわ)である.

   たらの芽,筍の若芽も間近か

   土から姿を……

 土から姿を現した筍では既に遅く,蹠下にわずかな抵抗を捜して掘り起こす若芽が美味として珍重されている.生よし,湯がいての甘皮よしである.湯を既に用意して,それから鍬を担いで籔に入る.季節感を味わう栃木での田園風趣である.

基本情報

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胃と腸
23巻5号 (1988年5月)
電子版ISSN:1882-1219 印刷版ISSN:0536-2180 医学書院

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