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書評「図解 食道静脈瘤硬化療法」
市田 文弘
1
1新潟大学
pp.486
発行日 1988年5月25日
Published Date 1988/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403108119
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この度,食道静脈瘤に対する食道離断術の伝統をもつ東京大学第2外科の出月康夫教授と,食道静脈瘤の硬化療法ではわが国の草分け的存在である筑波大学外科の高瀬靖広講師との編集による「図解 食道静脈瘤硬化療法」が医学書院から上梓された.その時期もよく,本年1月21,22日の2日間にわたって,東京で編集者の1人である出月教授を会長として,Tokyo Symposium on the Treatment of Esophageal Varicesが開催された.それにはアメリカのEmory University Hospitalの外科のWarren教授やMichigan University Hospitalの外科のEchhauser教授をはじめ欧米の第1線の外科医と共に,わが国のこの方面を専門にしている外科医,内科医が集まってこのsymposiumが行われ,食道静脈瘤の病態や治療に大きな関心を呼んだ.
そもそも食道静脈瘤に対する手術的治療法としては,食道静脈瘤直達手術(食道離断術,胃上部切除術,Hassab手術など)であるが,一部では選択的シャント手術(遠位脾腎静脈吻合術)が行われている.一方,保存的治療法としては内視鏡的硬化療法が急速に普及し,内視鏡医にとって出血時緊急治療の対象になっている.また一部では静脈瘤塞栓術(経皮経肝的,経上腸間膜静脈的)も補助的に行われている.緊急止血法としてはバルーンタンポナーデ法と薬物療法(バゾプレッシン,イソプロテレノールなど)が普及している.
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