臨床婦人科産科 55巻10号 (2001年10月)

今月の臨床 ライフスタイルの変化と女性の健康

ライフスタイルの変化と健康への影響

1.晩婚・少産・少子 武谷 雄二
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はじめに

 わが国の女性の平均寿命は今や世界一の長寿となっており未曾有の高齢化現象を呈している.これ自体はいわば医学が目指してきたものであり,医学の進歩がこのような形で体現されたといえるであろう.しかし見逃してならないのは高齢化に付随する重大な社会現象として少産・少子化が急速に進行していることである.社会経済的に少子化のもたらす影響はこれまで多くの機会を通じ喧伝されているが,医学的にも新たな問題を提出している.

2.就業女性の増加 安達 知子
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はじめに

 わが国の平均寿命は延長し,現在世界一の長寿国である.一方,1970年代半ばから出生数および出生率は低下し続けており(図1),21世紀初頭には人口は減少に転じ,老年人口は今世紀半ばには3割を越えることが推定される.したがって,労働力人口は減少し,好むと好まざるにかかわらず,働く女性は増加すると考える.厚生労働省がまとめた2000年度の女性労働白書によると,99年中に就職した女性の数はパートタイムが正社員を上回っている(145万3,200人vs.141万6,800人)とはいえ,女性の全雇用者は2,140万人で,前年より1.1%(24万人)増加し,雇用者総数に占める女性の割合が40%となっている.ここでは,働く女性が増加することによる女性のライフスタイルの変化を示し,そのために女性の健康への影響が生じる可能性のあることについて,概論を述べる.

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はじめに

 近頃の女性においては,男性と並ぶ社会への積極的な職業参加がみられ,ライフスタイルの急激な変化が進んでいる.これまで女性の多くは家庭生活の担い手として,社会で働く男性やまた子どもの養育や健康を全面的に支えてきた.しかし男女共働きとなると,家族はもとより自身の健康を保持するための時間すら減少してしまい食生活も簡便化,利便性へと向かわざるをえない.実際に外食や加工食品の増加,欠食,偏食,ある種の栄養素の欠乏や過剰,運動不足,精神的ストレスや生活リズムの乱れなどの現象が多数観察されている.一方,健康や食に関する情報は氾濫し,適切で正確な情報を選ぶことはますます困難となってきている.加えて女性のルックス(外観)がますます重視されるようになり,美しくなりたいという要望や痩身願望が強く,無謀なダイエットや偏った食事,拒食症などによる栄養素のアンバランスが問題となる.一方,日本人女性の平均寿命は年々伸展しており,長い寿命のQOLを支えるための,長期的展望に立った健康維持を考慮した早期からの対応が必要である.たとえば更年期以後急激に増える循環器系疾患や骨粗鬆症,痴呆などを若年期から予防するための方策を考え,利便性ばかりが先行した現代の食生活を検証しなければならないであろう.

ライフスタイルの変化とホルモン依存性疾患

1.月経異常 大場 隆 , 田中 信幸 , 岡村 均
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月経異常に対する認識の変化

 ライフスタイルの変化に伴う月経異常について論ずる前に,月経異常に対する認識の変化について触れる必要があるだろう.

 月経について語ることは長らくタブー視されており,医学的な関心が向けられるようになったのは19世紀になってからであった1,2).月経周期には個人差があり,さらに同一個人でも周期にばらつきがあることをAreyが“発見”したのは,1939年のことである3).以来,多くの報告が月経周期にはかなりの幅があることを支持している.同一婦人であっても,毎月の月経周期には1,2日の変動がみられるのが普通で,標準偏差の平均は2.5日であった4).月経を有する女性の約30%は,過去に2週間以上の月経周期のばらつきを経験したことがあり,さらに,月経周期がもっとも安定した時期である性成熟期の女性においても,その70%以上は毎年少なくとも1回以上の異常な月経周期を経験している5,6)

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はじめに

 子宮内膜症と子宮腺筋症は,子宮内膜類似の組織がエストロゲン依存性に子宮腔以外で増殖する疾患である.いずれも,月経痛をはじめとする疼痛を主症状とする.子宮内膜症は不妊症を,子宮腺筋症は月経過多や不正出血などを合併することが多い.これらの症状は現代女性のquality of lifeを著しく損なうものである.一方で,子宮内膜症は近年の初経年齢の低年齢化と晩婚化,少子化による月経回数の増加がその発生頻度を増加させているようであり,現代病としての一面も有する.本稿では,このような女性のライフスタイルの変化と子宮内膜症・子宮腺筋症の関連について解説する.

3.子宮筋腫 刈谷 方俊 , 藤井 信吾
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はじめに

 近年,日本女性にみられるライフスタイルの変化としては,食生活の変化などの生活の欧米化,高学歴化や社会進出,結婚年齢および妊娠年齢の上昇,そしてそれに伴い女性の生涯での出産数が減少していることなどが挙げられる.まずこのような変化が子宮筋腫の臨床にどのようにかかわるかについて述べる.

4.乳腺の良性疾患 弥生 恵司 , 岸渕 正典
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はじめに

 近年,日本人女性の乳癌の罹患率は年々増加を続け,その要因として生活環境や生活様式の変化,食生活の西欧化がいわれている.一方,乳癌の危険因子の1つとされる良性乳腺疾患は,乳癌と発生母地を同じくし,同じ内分泌環境下にあるため,その発生や増殖に同じ影響を受けるであろうことは当然考えられる.しかし,良性乳腺疾患に関する疫学的研究は乳癌に比しそれほど多くない.また良性乳腺疾患といっても,その中には病態,病理組織像の異なる種々の疾患を含んでおり,最近,良性疾患そのものの考え方も大きく変化した.すなわち,乳腺の良性疾患の代表とされる乳腺症(fibrocystic disease)は,欧米ではすでに過去のものとなり,良性疾患すべてがANDI(aberra—tions of normal development and involution)の概念1)の中に含まれ(表1),また組織学的にも将来乳癌になる危険度から,表2のように分類されている2).本邦では乳腺症(マストパティ)という用語はまだ一般的であるため,ここでは従来通りに用いる.

ライフスタイルの変化と悪性腫瘍

1.子宮体癌 佐藤 奈加子 , 吉川 裕之
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はじめに

 子宮体癌は近年増加傾向にあると言われている.筑波大学でも1985年に13.6%であった子宮体癌比率(子宮体癌症例数/子宮癌(体癌+頸癌)症例数)が1999年には36.4%に達している(図1).子宮体癌はエストロゲンの持続刺激により子宮内膜増殖症を経て発生・進展するtype Iとエストロゲンに依存しないtype IIに分類できる.最近の女性のライフスタイルの大きな変化として,社会進出などに伴う結婚の高齢化と少子化がある.結婚の高齢化は妊娠・分娩時期を遅らせ,また無排卵に気づく機会も遅れることになりやすい,少子化は,結婚の高齢化とも関係があるが,それ以外の要素も関係している.Type Iの子宮体癌,特に40歳未満の若年性子宮体癌では,無排卵,未妊・不妊・未産などのunopposed estrogen状態(progesteroneによる拮抗がない状態)が関与していることが多い.その他,食生活の欧米化によって肥満が増加していることも,エストロゲン支配を強くしている一因であろう.

 本稿では女性のライフスタイルの変化と関係の深い因子と子宮体癌発生について考察する.

2.卵巣癌 小西 郁生 , 岡 賢二
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はじめに

 わが国における卵巣癌の発生頻度は欧米と比べていまだ低いものの,近年明らかな増加傾向にあると考えられる.卵巣癌による死亡について厚生省人口動態統計をみると,1980年から1998年までの18年間で死亡者数が2,098から4,173と約2倍,人口10万対死亡率で3.5から6.5と明らかな上昇が認められている.また,卵巣癌の発生頻度に関する日本全体の正確なデータはないものの,International Agency for Research on Can—cerの報告によれば,日本のいくつかの地域における卵巣癌発生率の増加は各国と比べても際だっており1),わが国では近年卵巣癌の発生頻度が急増し,これに伴って死亡率も増加してきていると考えられる.このような卵巣癌の増加の要因として,環境要因に加えて,女性のライフスタイルの変化が大きく関与していると想像される.

 従来より,卵巣癌発生のリスク因子として,遺伝的要因,生殖因子,人種差,生活習慣,環境因子などが重要と考えられてきた2)(表1).本稿では,近年の生活習慣の欧米化,就業女性の増加,晩婚,少産といった女性のライフスタイルの変化が,これらの因子にどのように直接的,間接的に影響して卵巣癌発生の増加に関与しているかを考えてみたい.

3.乳癌 清水 幸子
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はじめに

 米国では生まれてくる女児の100人のうち9人が乳癌に罹患する確率と言われ,女性の死因の第1位を占め,わが国においても21世紀に乳癌は女性の癌による死亡率のトップクラスになると予想されている.乳癌における種々のリスクファクターが検討され,乳癌発生における女性ホルモンの関与が明らかになり,ホルモン依存性腫瘍としての乳癌に及ぼす晩婚・少産・高学歴・栄養や生活の西洋化などの近年の女性のライフスタイルの変化による影響が憂慮されている.

ライフスタイルの変化と妊娠・出産

1.高齢妊娠・出産 辰村 正人
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はじめに

 高齢(高年)妊娠・出産はハイリスク妊娠の一つで産科管理が必要になることが多い.高齢になるほど次回の妊娠・出産の機会が減少するので厳重な産科管理が必要である.

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はじめに

 不妊症は正常の性生活を行うも2年以上妊娠に至らない状態と定義されているが,治療に当たっては,患者の年齢などを考慮して,早期に不妊の診断・検査,治療を始めることが多い.また,不育症とは,妊娠するが胎児が発育せず,いつも流産あるいは子宮内胎児死亡に終わって生児を得ることができない病態をいう.これらの病態は婦人のライフスタイルとのかかわりも深い.本稿ではこの病態について解説する.

3.若年妊娠 海野 信也
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出生数と出生率の年次推移

 1.出生数の推移

 過去半世紀の間にわが国の出生数はほぼ半減している.過去10年間は横ばいないし漸減という状態にある.母体の年齢ごとに分析すると,この減少は主として20歳代の分娩が減少しているためであり,30歳代の分娩はそれほど減っていないことがわかる(図1,2).

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現状

 低用量経口避妊薬(OC)の国内認可から約2年が経つが,OCはごく一部の限られた女性にしか影響していないというのが現時点での状況である.認可後も服用者数はさほど増加しておらず,欧米と異なり避妊が必要な女性の1〜2%程度が使用しているに過ぎないと推測される.

ライフスタイルの変化と生活習慣病

1.心血管系疾患 佐久間 一郎 , 北畠 顕
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はじめに

 女性はエストロゲン(E)の作用により動脈硬化性疾患の発症が男性より15〜20年遅れるものの,閉経を機にその増加が起こる.動脈硬化性疾患の発症の危険因子としては,年齢,家族歴の他,喫煙,肥満,高血圧,糖尿病や高脂血症などが挙げられるが,前二者を除いた後者は生活習慣が深く関与する因子である,したがって女性においては,閉経という個体の変化と,ライフスタイルという環境の変化により,心血管系疾患の発症は大きく左右される.本稿では,最近のわが国におけるライフスタイルの変化と,それに伴う生活習慣病としての心血管系疾患との関係について言及したい.

2.糖尿病 杉山 隆 , 豊田 長康
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はじめに

 糖尿病患者数はわが国のみならず世界的に増加の一途をたどっているが,その中でも患者数の多い2型糖尿病は遺伝的素因が基本にあり,後天的な要因である運動不足,高脂肪食による肥満やストレス,加齢などが加わることにより,インスリン作用障害が生じ,糖尿病を発症するものと考えられている.近年,わが国では食生活を中心にライフスタイルの欧米化が生じており,今後ますます糖代謝異常患者数は増加するものと思われる.さらにライフスタイルの変化は高血圧や心臓病の原因ともなり,もはや糖尿病だけの問題ではなく重大な公衆衛生上の問題である.

 また近年妊娠女性の高齢化現象もみられており,ライフスタイルの変化に伴うこのような社会環境の中,今後われわれ産科医は必然的に妊娠時に糖代謝異常女性に遭遇する機会は増えていくものと考えられる.本稿では,ライフスタイルの変化と糖代謝異常に関する問題点について概説したい.

3.心身症 玉田 太朗
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はじめに

 ライフサイクルには,生物学の用語として「生活環=生物の発生から死までの生存過程全体」という意味と,社会学の用語として「生活周期=人間としての生活ステージの連なり」の2つの意味がある.臨床医学では,この両者を含めた用語として用いられている.

 心身症の発症に関するライフサイクルの意義は,他の生物医学的疾患における以上に重大である.というのは,心身症の発症には,生物学的な生存過程に加えて心理・社会・文化的な人間としての生活ステージの影響が大きいからである.

連載 カラーグラフ

知っていると役立つ婦人科病理・28

What is your diagnosis? 伊藤 智雄 , 清水 道生
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症例:28歳,女性

 子宮腺筋症疑いで子宮摘出術が行われた.Fig 1は摘出された子宮の筋層の弱拡大像,Fig 2,3はその強拡大像である.

 考えられる病理組織診断は何か.その予後はどうか.

連載 婦人科腫瘍切除標本の取り扱い方・8

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はじめに

 手術で摘出された卵巣腫瘍および合併切除された臓器組織は術後に病理学的検索が行われる.卵巣においては表層上皮,間質,性索間質,胚細胞から良性,境界悪性,悪性と異なる生物学的特性を有する多種多様な腫瘍が発生するため,その良悪性の判定や組織型,分化度等の病理診断は治療および予後の判定にきわめて重要である.本稿では卵巣腫瘍の正しい組織診断に至るために必要な腫瘍組織の取り扱い方や留意点について概説したい.

連載 病院めぐり

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 公立学校共済組合近畿中央病院は公立学校共済組合が全国に運営する病院のなかの1つで,近畿地方を拠点とし,産婦人科以外に13の診療科を有する厚生労働省指定臨床研修病院です.ドック専用病棟を含む8病棟に400を超す病床を有する総合病院であり,日本産科婦人科学会認定医制度卒後研修指導施設をはじめ各種学会の施設認定を受けています.病院は兵庫県伊丹市の最南部に位置し,近畿一円の組合員を診療する病院というよりは,むしろ近接する伊丹市や尼崎市北部などを中心とした阪神北部地域医療圏の地域医療を担う病院としての位置付けがなされています.病院には優れた臨床研究を積極的に支援する予算が組まれています.

 産婦人科は,常勤医師3名で産婦人科全般の診療と健康管理センター(ドック)業務を担当しています.正常妊娠分娩の管理には助産婦が積極的に参加するシステムを構築しています.妊婦外来では助産婦が妊婦の相談・指導に当たっていますが,今後は助産婦外来にまで発展させる予定です.現在,病院にはNICUがないため周産期領域の診療には限界がありますが,ハイリスク妊娠や異常妊娠分娩に際して新生児のNICU管理の必要性が予想される場合には,関連の兵庫医科大学などへ母体搬送をすることで対応しています.

大阪府立病院 池上 博雅
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 大阪府立病院は,昭和30年1月に病床数330床の総合病院として開院しました.その後,大阪府民の医療需要と医学の進歩に対応するために,逐次,施設や設備の拡充・整備をはかり,平成8年に2期にわたる近代化の工事が終了し病床数778床となり,25の診療科を持つ基幹総合病院となりました.患者情報は一元的にコンピュータ管理され,正確で効率的な診断,治療を行うシステムを構築しています.

 大阪府立病院は,大阪市南部の閑静な住宅街にあり,近辺には市の総合競技場のある長居公園や,お正月には多くの初詣の人でにぎわう住吉大社,住吉公園などがあり,緑豊かな環境にあります.交通手段としては,JR環状線あるいは地下鉄御堂筋線の天王寺駅より市バスで約10分,JR阪和線長居駅より徒歩12分で,比較的便利な場所に位置しています.

Luncheon Seminar

OCs and HRT vs.Cancer—疫学的研究の概観
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 第53回日本産科婦人科学会(会長 藤本征一郎;北海道大学医学部産科婦人科学教室教授)は平成13年5月に札幌で開催された.この中で,ドイツハイデルベルグ大学教授のDr.Frank Melchertを迎え,大阪市立大学教授 荻田幸雄先生の司会で,ランチョンセミナー「OCs and HRT vs.Cancer—疫学的研究の概観—」(日本シエーリング株式会社共催)が,会場満席の聴衆のもとに行われた.英語講演を収録し,要旨を和訳した.

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 一度妊娠時に妊娠糖尿病(GDM)のスクリーニングを受けた人でも,次回妊娠時に全例スクリーニングする必要性があるのかどうかを評価する目的で,経産婦215例の,2回の妊娠における50g-GCTによるGDMスクリーニング結果について比較検討した.1回目のGDMスクリーニングの結果,215例中34例がGCT陽性で,そのうち2例がGDMと診断された.次回妊娠時のスクリーニングでは,21例がGCT陽性で,そのうち2例がGDMと診断された.1回目GCT陽性の34例中24例は次回はGCT陰性であり,1回目GCT陰性の181例中170例は次回もGCT陰性であった.1回目の妊娠時GDMと診断された2例のうち,1例では次回妊娠時もGDMを再発していたが,もう1例は次回妊娠時GCT陰性であった.1回目GCT陰性で次回妊娠時はGCT陽性であった11例のうち1例がGDMと診断されたが,この症例はGDM発症の危険因子を有していた.

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 今回,妊婦健診時の経腹超音波にて高輝度羊水を示し,結果的に豊富な胎脂による超音波所見と考えられた2例と,濃緑色の羊水混濁を認めた1例を経験した.2例はともに,39週1日で胎盤実質と同等もしくはそれ以上にびまん性に高輝度を示し,臍帯は羊水腔に明瞭なコントラストを示して描出され,粒子状所見,層状所見は認めなかった.1例は,40週2日で粒子状所見を伴い,下層より上層へ向かい階層状に高輝度から低輝度へ移行する所見を認めた.これら3例の経験と文献的考察より,現時点では超音波上で高輝度羊水が認められた場合,必ずしも羊水混濁を示唆する所見とはいえないが,豊富な胎脂が存在する可能性は高いため,羊水混濁の可能性についての配慮とともに,豊富な胎脂によるneonatal aspiration syn—dromeや母体腹膜炎などの合併症の可能性を考慮しながら対応していくことが実地臨床上,必要であると思われた.

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 自動縫合器の登場は,ワンタッチ操作で縫合,結紮,止血,切断,修復といった複雑な作業内容を可能とした.このことにより,腹腔鏡下手術の適応は飛躍的に拡大したといっても過言でない.しかし,その使用に当たっては,本器の持つ特性の理解と正しい使用法および,その限界や合併症といった点などについても常に念頭におく必要がある.

 今回われわれは,自動縫合器による腹腔鏡補助下腟式子宮全摘術(LAVH)後に,そのとき使用したステイプル針によると思われるイレウス例を初めて経験したので報告する.

基本情報

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臨床婦人科産科
55巻10号 (2001年10月)
電子版ISSN:1882-1294 印刷版ISSN:0386-9865 医学書院

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