今月の臨床 ライフスタイルの変化と女性の健康
ライフスタイルの変化とホルモン依存性疾患
4.乳腺の良性疾患
弥生 恵司
1
,
岸渕 正典
1
1市立貝塚病院外科
pp.1112-1115
発行日 2001年10月10日
Published Date 2001/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904446
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はじめに
近年,日本人女性の乳癌の罹患率は年々増加を続け,その要因として生活環境や生活様式の変化,食生活の西欧化がいわれている.一方,乳癌の危険因子の1つとされる良性乳腺疾患は,乳癌と発生母地を同じくし,同じ内分泌環境下にあるため,その発生や増殖に同じ影響を受けるであろうことは当然考えられる.しかし,良性乳腺疾患に関する疫学的研究は乳癌に比しそれほど多くない.また良性乳腺疾患といっても,その中には病態,病理組織像の異なる種々の疾患を含んでおり,最近,良性疾患そのものの考え方も大きく変化した.すなわち,乳腺の良性疾患の代表とされる乳腺症(fibrocystic disease)は,欧米ではすでに過去のものとなり,良性疾患すべてがANDI(aberra—tions of normal development and involution)の概念1)の中に含まれ(表1),また組織学的にも将来乳癌になる危険度から,表2のように分類されている2).本邦では乳腺症(マストパティ)という用語はまだ一般的であるため,ここでは従来通りに用いる.
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