看護学雑誌 55巻6号 (1991年6月)

  • 文献概要を表示

本誌 今回は,「ナースのストレス」について,話し合っていただきます.

 始めに自己紹介を兼ねて,各立場で,日常感じておられるナースにとってのストレスとその原因についてのお考えをお話しいただきます.

  • 文献概要を表示

 若く理想に燃えたソーシャルワーカーの間にみられる無気力状態が,“バーンアウト”として指摘されて以来,米国でも日本でも,ナースを対象として同様の病態が研究され,報告されてきた.そして,この用語は馴染みやすい響きを持っているためか,論文の中や学会場からナースステーションへと急速に広まり,今や,“ストレス状態”イコール“バーンアウト”といった図式が定着しているようである.

 このストレス状態が,例えば単なる過労を意味しているならば,それを単純にエネルギーの欠乏状態として翻訳してバーンアウトと言うことは,厳密に言えば正しくないことになる.しかし,現実にはナースのストレス状態は単なる過労としてはとらえきれず,心理的な充足感の欠如をも包含していることが多いために,正しい意味でのバーンアウトを意味しているとも言える.いずれにしても,ナースはその仕事の性質上,他の職種と比べて容易にストレス状態に陥りやすいことは確かであり,結果としてのバーンアウト状態が,高率に見られることも事実である.

  • 文献概要を表示

 看護婦が離職する場合,いくつかの離脱段階を踏んでいく.その段階の中には,ひどく激しいものもある.にもかかわらず,本研究によれば,88%の看護婦が,離職を考えた初期の段階で,適切な管理的介入があれば,離職には至らなかったであろうと述べている.

 本稿で著者らは,看護婦が離職の決意に至った諸段階ならびに,その過程で経験したことと取った行動について詳しく明らかにしている。

  • 文献概要を表示

 昨年(1990年)の10月,アメリカでの2年半の学生生活(博士課程)を終え帰国した.帰国して私がびっくりしたことは,マスコミが様々な形で看護婦不足を取り上げていることだった.

 看護婦として患者や患者の家族に接している時,「人は人によって人になる」というカントの言葉をかみしめることが何回もある.多くの看護婦が患者との出会いに感謝しつつも何年かたつと,臨床の場を離れていく.ある人は体が続かないと言い,ある人は結婚するからと言いつつ.

  • 文献概要を表示

はじめに

 病院食は,おいしくない食事の代表とされてきたが,質の向上はもちろんのこと,保冷,保温車の導入や配膳時間の改善など,積極的に多くの配慮をなされるようになった.特に脳卒中リハビリテーションを主体とする老人病院においても,食事は治療の一環であると共に,闘病生活やリハビリの中で大きな楽しみにもなる.さらに現在ではメニューの選択制など嗜好を重視し,その多様化に応じた病院食の充実が図られつつある.これまで,病院でのアルコール類の飲用は治療に逆行する,害のみ多いなどの考えから禁止されているため,お正月に飲むおとそなどの特例に限られ,定期的に飲用している施設はない.しかし,食前酒としてのアルコール飲料は一部禁忌疾患を除けば,食欲,睡眠,精神的リラックスなどの望ましい効果も大きいと考えた.

 今回,医学的立場からアルコール飲用(以下,飲酒と称す)について患者,家族,職員の意識調査と飲酒の試みを行ない,飲酒のあり方を検討した.

連載 症状の起こるメカニズム[観察のポイント]・30

甲状腺腫 橋本 信也
  • 文献概要を表示

 甲状腺疾患の診断に際して,甲状腺腫が有るか無いかは大変重要なことです.例えばバセドウ病では,甲状腺腫を触れないことはまずありません.甲状腺疾患の中で,甲状腺機能低下症以外は,原則として甲状腺腫が存在するものです.したがって甲状腺疾患であるかどうかの鑑別には甲状腺腫の有無を確認することがまず先決です.

  • 文献概要を表示

●Tちゃんのプロフィール

●4歳で個室に入院した●Tちゃん

患者 Tちゃん,4歳4か月.男.姉と妹がいる.ネフローゼ症候群.

経過 ネフローゼ発症のため当院小児科へ入院した.治療上の制限もあり,母親の付き添いはなく,単独入院,個室収容となる.入院翌日よりアルブミン,プレドニン投与,制限食開始.

連載 看護研究のすすめ[看護情報学からのアプローチ]・3

文献の読み方 辻 和男
  • 文献概要を表示

文献ってなんでしょう

 よくナースステーションで,「文献は」と言って何かを探し回っている場面に出会います.それで「何の文献かな」と思って様子を見ていると,薬剤の箱に入っている性能や副作用について書いてある効能書のことだったりします。

 「ああなるほど」とは思いましたが,この連載で“文献”という場合は,やはり学術雑誌に掲載されている論文を文献と称することにします.

連載 自己創造講座[本当の自分を求めて]・3

  • 文献概要を表示

自分のために人事を尽くす

 看護においては「人事を尽くす」ということが,格別に要請されると思います.

 ここで言う「人事を尽くす」とは,言うまでもなく,患者に対して自分のできる精一杯の看護を尽くし,後は運を天に任せる.つまり天命を待つということに外なりません.

連載 忍冬のように[私が生きているということ]・15

言葉の重み 水上 學
  • 文献概要を表示

 どんな人でも,たいてい1つや2つのウィークポイントを持っています.「この点が弱い」といったアキレス腱に相当する部分を持ち合わせているはずです.

 自分自身の弱い部分を極端に自覚すると,それが劣等感として強く心の中に根ざし続ける場合が多いのです.

連載 スウェーデンからこんにちは・3

夏至祭のころ 本間 マサ子
  • 文献概要を表示

夏至祭MIDSOMMAR

 みなさんこんにちは,ごきげんいかがですか.

 スウェーデンの代表的な春の花,日本のスミレに似たブローシッポー(Blåsippor)や北岳草に似たビートシッポー(Vitsippor)が姿を消すと,日毎に日照時間が長くなります.そして,「暑いわね,まったく」と思うころには,「夏至祭」がもう目の前.ご存知「白夜」の到来です.夏至祭は6月22日を中心に,前後3日間続くスウェーデンの伝統的なお祭りです.

連載 あした天気にしてあげたい[わたしの救急奮闘記]・3

壊れた心の波紋 中村 恵子
  • 文献概要を表示

 私たちの救命救急センターが置かれている三多摩地区は,東京都23区の西に位置し,近隣には50か所以上もの精神病院がある.23区内にはほんの数えるほどしかないことを考えると,これは大変な集中度である.

 三多摩地区が住宅地域であることや精神病院が多いことによるのか,センターに搬入されてくる全患者のうち,精神科疾患患者は10-15%,年間100余名にものぼった.実際,救急医療の中にこれほど多くの精神科疾患患者,自殺企図者がいるとは,私は考えもしなかった.

連載 のんちゃんのでこぼこMYロード・3

連載 プッツン看護婦物語・10

  • 文献概要を表示

たまらない話

尿失禁してる患者の24時間尿定量って、一体どうやってとれっていうのか、いつも不思議に思うわ。紙オムツをしほれってことかしら。

まあ、慣例としてこのオーダーは無視されてるんだけど、それでも週に1度くらいはこのオーダーが出されるから、伝票ばかりが溜まっちゃうの。

  • 文献概要を表示

 鐘紡株式会社の創立100周年記念事業の一環として,鐘紡病院の増改築が1987年に決定し,その建設が進められてきた.そして,その名を‘鐘紡記念病院’(院長:戸山靖一)と改称し,昨年(1990年)11月に新たに生まれ変わったのである。

 病院は1907(明治40)年に鐘淵紡績兵庫工場付属診療所として開設され,その後,1947年に一般地域住民に開放するなど,地域医療に貢献しつつ,規模を大きくしていった.ちなみに新病院の規模は鉄筋地下1階,地上7階,総病床数は242床を数える.

  • 文献概要を表示

 日勤のナースが勤務を終えてやって来た.扉を開けたところ,見慣れない記者(私)の姿に一瞬戸惑ったようだった.あわてて部屋の場所を確認していると,室内にいた同僚から声をかけられ,ほっとした表情になった.

 ここは北里大学病院救命救急センターのナース室.この病棟では,ナースの休憩室を,スペースが手狭なことと,ナースのメンタルヘルスケアの観点から,昨年12月に約2倍の広さがある医師の休憩室と交換した.様々な制約の中で,ナース専用に確保された30m2程のこの部屋は,夜勤時には隣の婦長室とともに2名の夜勤者のための仮眠室となり,その他,カンファレンスルームや休憩室としてなど,多目的に使われている.何より,終業後の一時,スタッフの談話室として活用されて,スタッフ間のコミュニケーションの促進と,精神衛生の改善に大きな役割を果たしている.

  • 文献概要を表示

 本誌の3月号までの1年間「心をつなぐ虹の橋」と題しての連載を執筆していただいた芹沢さんは,1971年にスタートした「赤ちゃん110番」から20年間,電話相談員として関わってきたベテランだ.同じ女性として,しかも働き続けることの大切さを強調する芹沢さんからの看護婦の皆さんへのメッセージ.

 「電話相談は,確かな情報を知りたい,あるいは選択したいということで相談してこられます.情報選択のアドバイスが私たちの仕事です」

 相談者が求めているのは,最新,最高のしかも最適な情報.それらを相手に共感しながら話すことが相談員の役割だという.医師や看護婦に求められているものと共通してはいないだろうか.インフォームド・コンセントが言われていても,患者は医師になかなか質問ができずにいる.

  • 文献概要を表示

奈美子さん「普通のOLだけにはなりたくなかった.人間相手の仕事がしたかったので,進路はかなり早くから迷いもなく決めていました.妹は就職するつもりでいたらしいんですけどね……」

真知子さん「そうじゃないんですよ.私も看護に興味はあったんです.だけど,幼稚園から小,中,高校と,何をするにも,いつも姉と一緒で……,その上,仕事まで一緒っていうのに,なんかちょっと抵抗があって,それで迷っていたんですよ」奈美子さん「私が集めてきた入学願書を1枚あげて,それで受験したら合格しちゃった.でも良かった,2人で看護の話ができるから,落ち込んでいても,すぐに立ち直れるんです」

基本情報

03869830.55.6.jpg
看護学雑誌
55巻6号 (1991年6月)
電子版ISSN:1345-2746 印刷版ISSN:0386-9830 医学書院

文献閲覧数ランキング(
9月14日~9月20日
)