特集 ナースの心の健康
ナースのストレス—その評価と対策
保坂 隆
1
1東海大学医学部精神科
pp.506-511
発行日 1991年6月1日
Published Date 1991/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661900401
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若く理想に燃えたソーシャルワーカーの間にみられる無気力状態が,“バーンアウト”として指摘されて以来,米国でも日本でも,ナースを対象として同様の病態が研究され,報告されてきた.そして,この用語は馴染みやすい響きを持っているためか,論文の中や学会場からナースステーションへと急速に広まり,今や,“ストレス状態”イコール“バーンアウト”といった図式が定着しているようである.
このストレス状態が,例えば単なる過労を意味しているならば,それを単純にエネルギーの欠乏状態として翻訳してバーンアウトと言うことは,厳密に言えば正しくないことになる.しかし,現実にはナースのストレス状態は単なる過労としてはとらえきれず,心理的な充足感の欠如をも包含していることが多いために,正しい意味でのバーンアウトを意味しているとも言える.いずれにしても,ナースはその仕事の性質上,他の職種と比べて容易にストレス状態に陥りやすいことは確かであり,結果としてのバーンアウト状態が,高率に見られることも事実である.
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