耳鼻咽喉科 36巻6号 (1964年6月)

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 Ⅰ.緒言

 小児の言語発達障害の検査に当つては少なくとも言語発達の遅滞程度と,正常な言語発達過程にはみられない異常状態の2面をみる必要があると考えるが,これらのうち言語発達の遅滞程度を判定するためには通常正常児の言語発達のパターンを尺度にする方法が用いられる。もつとも言語は医学的側面,心理学的側面,言語学的側面,音声学的側面,社会学的側面等いろいろな方面からも追求できるが,わが国の小児の言語発達に関する研究は心理学の領域に多く,医学の領域における研究は比較的少ない。特に言語発達に関する検査法は古くは心理学領域で加藤1),石川2)3),牛島4)等のそれをみるものの,臨床的に利用できる方法は皆無に等しい。この様な事情から著者は臨床的応用を目的とした言語発達検査法を試み,その概要については第7回日本音声言語医学会で述べたが5),今回はこの研究の一端として発音の発達について検討を行い,若干の知見を得たのでここに報告し御批判をあおぎたい。

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 Ⅰ.緒言

 聴覚刺激が脳波波形に種々の変化を与えることが知られてから,これを他覚的聴力測定の手段として利用する工夫が多くの研究者によつてなされている1)〜5)。今日いわゆる脳波聴力測定法(EER-audiometry)として知られているものは,睡眠時の聴覚刺激に対する自発脳波波形の種々の変動を指標とし,これ等を総合的に見て判断するもので,特定の単一反応を指標としているものではない。

 これに対し,1939年P. A. Davis6)が覚醒時人間頭皮上より記録した聴覚刺激による誘発電位(いわゆるvertex-potential;V-potential)を聴力測定の指標としようとする試みもいくつかなされている7)8)。後述するようにこの反応は一定の潜伏時間と一定の波形をもつた電位変動であるが,自発脳波にかくされて検出困難の場合が少くない。この点を解決するために,近年重ね合わせ法が考案され,単一脳波における変化では見出し得ない小反応も可視的反応として得ることが出来るようになつたが7)〜12),更に最近電子計算機のこの面への導入により微小誘発電位の検出が極めて鋭敏かつ容易に行われるようになつてきた13)〜23)

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 Ⅰ.緒言

 初期にメニエル氏病を思わせる定型的な症状と経過をたどり,各種の検査の結果,椎骨脳底動脈の血栓性疾患であることが明らかになつた症例を経験したので報告する。

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Ⅰ.緒言

 耳科臨床上レ線所見は,治療方針を決定する場合に極めて重要な診断的価値を有することは周知の事実である。殊に真珠腫性中耳炎においては,今日なお手術的療法に依存せねばならぬ現状であるから術前に真珠腫の存在部位,範囲,骨破壊の程度,あるいは含気蜂窠の状態を充分識別しておくことが大切でレ線撮影は耳科診療上必要欠くべからざる役割を果している。

 著者らは,さきに本研究の前編において真珠腫性中耳炎の臨床所見と手術所見との関係について比較的詳細にわたり報告を行なつた。本編においては,真珠腫性中耳炎例に関して,真珠腫形成の状態をレ線学的に追求検討し,特にレ線所見と臨床所見および手術時所見との比較検討を行ない真珠腫形成におけるレ線所見の示す診断的意義について述べた。

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 Ⅰ.緒言

 近年,小児疾患の原因がしばしば遺伝及び胎生期の異常に基因している場合のある事実より,妊娠及び分娩周辺期の異常に強い関心が持たれる様になりつつある。

 耳鼻咽喉科領域に於ては,従来,ろう及び感音性難聴の遺伝学的研究は数多く見られるが,胎生期や分娩期の異常について検討を加えた研究は数少い。

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 緒言

 形質細胞腫が耳鼻咽喉科領域に見出される事は極めて稀れで,1905年Schriddeが鼻内に発生した1例を初めて報告して以来,内外の文献の記載も数少く,我国に於ては,1914年の吉井の1例以後,その数は僅か20例足らずに過ぎない。

 最近私共の外来を訪れ,右上顎腫瘍の疑いで入院した15歳の少年が,組織検査の結果,形質細胞腫と判明したが,この疾患の多くは40歳以上の年長者に発生し,我々の症例の如き若年者に見出される事は極めて稀れと考えられるので報告する。

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 Ⅰ.緒言

 外国には少く,日本の特に若い婦人に見られる本病は,1908年(明治41年)最初高安1)によつて「奇異なる網膜中心血管の変化の1例」として報告せられたもので,上半身に脈搏の触れ得ない事は,大西2)によつて当日席上で追加せられ,高安氏病と言われた。

 1948年(昭和23年)清水・佐野3)により,本疾患の7例の症例報告と共に,その全貌が詳しく紹介され,仮に脈無し病と名付けられ,本症例の報告は日本だけで外国には見当らず,病理学的には,Thromboarteritis obliterans subclaviocarotica又はPanarteritis brachiocephalica cardinalisと呼ばれるべき所見があつて,血管壁に見られる変化は結核性のものであると述べられた。この報告以来本病は多くの人々の注意を引き,殊に,内科・外科・眼科・臨床病理方面で多くの症例が報告されている。

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 Ⅰ.緒言

 1924年Ewingが骨髄腫瘍を内皮より発生したendothelial myelomaとして発表して後,細網内皮系統より発生する腫瘍に対する関心が高まり,1928年始めてOberlingにより細網肉腫の名前が用いられ,更にRoulet(1930)が本症症例について報告して以来,数多くの又多方面にわたる研究がなされてきたが,今日病理組織学的にも,臨床的にも尚多くの問題があり,予後の最も悪い疾患の1つにあげられている。これは本腫瘍が1ヵ所に限局して増殖する事は稀で,多くの場合種種の治療に抗して全身的に蔓延する特性を有しているためといわれている。

 一方耳鼻咽喉科領域における細網肉腫については,従来比較的稀有のものと考えられていたが,近年本症に対する一般的関心が高まつて来つつあり,又1940年悪性腫瘍に対する化学療法剤の1つとしてnitrogen mustardが発見されてより化学療法は長足の進歩をなし,本症治療にもこれが加味され,幾多の新知見がもたらされてはいるがなお多くの問題が残されている。

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 Ⅰ.緒言

 いわゆる神経難聴はわれわれ耳鼻咽喉科医が日常治療に困難を感ずることの多い疾患の一つであるが,現在のところ各種のビタミン剤などの組織の代謝機能賦活剤による薬物療法が主として行なわれている。われわれのところでも現在有効とされている薬剤をいろいろ試用してみているが,そのうちビタミンB1,コンドロイチン硫酸,ニコチン酸,パントテン酸,ATP,TATDなどの治療成績については既に報告した。

 1962年11月第5回チオクト酸研究会において,TATD製剤であるノイビタの試用成績を報告したがその後さらに血管拡張作用のあるベリーナを藤沢薬品K. K. より提供されたので,この両者を併用すればその薬理作用の点から一層治療効果が期待できるのではないかと考え,ノイビタとベリーナの併用療法を試みたところかなり有効であることを認めたのでその成績を報告し,なおノイビタ単独使用の治療成績とも比較検討してみたいと思う。

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 Ⅰ.緒言

 耳鼻咽喉科領域に於いて,上顎癌,喉頭癌は屡屡遭遇する疾患で,その治療として,外科的療法,化学的療法,放射線療法等が行われている。化学的療法,放射線療法は早晩,その副作用がみられ,大抵の場合造血臓器への侵襲があらわれ貧血白血球の減少が出現する。今回全摘出術拒否の為,放射線療法及び化学療法を行つて小康を得た後,再発した標記患者に対して,上顎癌例にはレントゲン照射を喉頭癌例には唯1回の照射を行い同時に造血因子であるVB12(シアノコバラミン)1000γ含有注射液,Redisolを併用した所,臨床的に著効を示し,短時日の間に腫瘍の驚異的な縮小患者の自覚症状の消失又は軽快した症例に遭遇したので,ここに報告する。

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 化学療法や抗生物質療法の発達によつて治療医学が著しく進歩したことは今更多言を要しない。抗生物質の使用に当つては症例に応じて起炎菌の最も感受性の高いものをえらぶべきであるが,その使用法は全身的投与と局所的投与の2方法に大別できる。

 我々は今回外来診療においてテトラサイクリン系に属するホスタサイクリン(ピロジノメチルテトラサイクリン)の静脈注射用のものを急性又は慢性副鼻腔炎ないしはその術後感染を起したもの,及び慢性中耳炎等に局所的に使用してみて応用価値のあることを認めたのでここに簡単に報告する次第である。

CURRENT MEDICAL LITERATURE
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Ibid. 42 Jg. H 11. 1963

KEROS, P.:Anatomische Grundlagen einer erfolgreichen Leitungsanästhesie des Darmbeinkammes bei plastischen Operationen im Bereiche des Gesichtes. 786

WERNER, R.:Zur epithetischen Behandlung von Totaldefekten der Nase. 790

基本情報

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耳鼻咽喉科
36巻6号 (1964年6月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:0386-9679 医学書院

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