病院 34巻4号 (1975年4月)

特集 看護婦<不信>

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看護婦,この貴重なるもの

 医師がいなくては病院ではない.しかし看護婦なしでも病院は成り立たない.

 現在,わが国のベッド数を実際上制約しているものは,患者数でもなければ医師数でもない.看護婦数である.看護婦が集まらないための空床や,閉鎖病棟を抱えこんでいる病院も少なくない.ケースワーカーあるいは臨床検査技師が足りなくて病院が開けない,という話は聞いたことがないし,医師もある程度はアルバイトで間に合わせることができるし,実際そのようなやりくりが行われているらしい.

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 厚生省の国民健康調査によると,国民100人あたりの有病率は昭和30年に3.8人であったものが48年には12.8人に増大した.また全患者数も,昭和30年に295万人であったものが48年には1,388万6,000人に膨脹した,18年間に有病率は3.4倍になり,患者数は4.7倍に達した.このような医療需要の増大に比して,医療供給体制の立遅れが目立ち,さまざまな不公正や混乱を引起こしている.医療の荒廃が叫ばれ,国民はいま健康の危険にさらされている,と憂慮する識者も多い。

 国の医療政策について取組む姿勢や医療制度上の問題も多々あるが,医療従事者のひとりとして現状を究明し,改善の方途を考えてみたい.

看護婦不信の源流 高橋 政祺
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はじめに

 病院医療の中心をなしているのは,医師の診療と看護婦による看護であることは多言を要しない.したがって,病院の中で一番緊密な関係にあるのは医師と看護婦であるはずである.ところが,この両者の関係が必ずしもしっくりいっていないように思われる.見方によれば,近年になってだんだん悪化していくようにさえ見られる.これはなぜだろうか.

 かなりの数の医師が看護婦に対して不信の念を覚え,協力者である看護婦を批判の目でながめだしてきた.これは病院医療を行ううえで,その大きな阻害因子として,徹底的に考えてみなければいけない問題だと思う.

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「良い看護婦とは?」——あまりにとらえどころのない質問ではあるが,これを全国の看護婦・医師それぞれ50人の方々にぶつけてみた結果が以下である.合計49名の方から寄稿があり,しかもそれぞれが傾聴すべき内容のものであった.

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病院の看護婦はあまりに多忙であり,神経をすりへらして働いている.このことは医師においても同断であるが,そんな中で自己の仕事の原則性をつねに自覚し,貫いてゆくのは困難なことであろう.都会の第一線病院で仕事する4人の若い看護婦さんは,自らの状況を語りながら,いつしか「看護の根拠」をめぐって思考を始めているのであった.

病院と統計 病院労働統計・4

賃金制度と賃金構造
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基本給の要素別採用状況

 基本給は年功序列給,職務給および職能給などの要素をもっているが,これを分類すると次のようになる.

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 看護の仕事は,本来ベッドサイドで行われる.社会に出て公衆衛生活動をするのには,保健婦という専門の職種がある.ベッドサイドで患者の世話をするときに,ただ目の前にいる病人の情報だけでは不十分のことがある.病人が生活していた家庭の事情を知りたいことがある.このためにはケースワーカーがいて,家庭訪問をして情報を集めてくる.これが従来とられてきた方法である.

 ところが,看護婦は病院内だけで看護活動をするのではなく,家庭に出かけて看護をすべきであるという考えが生まれてきた.これが「訪問看護婦」である.アメリカのように,入院費が高かったり入院期間が短かったりする状況では,訪問看護婦の必要性は強いであろう.しかしわが国では,病院の事情も社会の事情もアメリカとは違っている.

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 生粋のハマツ子.昭和8年に東大卒業後,学究生活をつづけ,17年学位授与.

 18年横浜に帰り,横浜市立十全医院(現横浜市立医大病院)に薬剤長として就任.爾来32年,薬局長の職を全うするとともに,医専,医大の講義の他,公的社会活動がつづく.

焦点

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低迷の中で気をはく病院

 ここ10数年,停滞することなく続いてきたわが国の経済高度成長は,アラブ石油の一撃でいっぺんに吹きとび,マイナス成長ときわめて激烈なインフレが残されている.

 インフレの阻止には,金融引締めだけでは足りず賃金抑制も必要とばかり,昨年秋には早々と日経連が,今年の賃金引上げは15%が限度とアドバルーンを上げた.今年の春闘は15%のガイドラインを突破するか否かが勝敗の分かれ目となった.

病院私論・4

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患者が医療機関を選ぶとき

 患者が本当に自分の病気に見合った医療機関を選んでいるか.必ずしもそうでない.特に近代的設備を必要としない病気の患者が大病院を選んだり,逆にそういう設備を必要とする病気の患者が設備のないところへ行く.なぜそういうことになるかを考えるには,患者がどのように医療機関を選んでいるかを分析してみる必要がある.ところが患者は特に理由もなく,無知と偶然によって間違った所を選んでいることも多い.

病院職員のための医学知識・28

制癌剤 宇塚 善郎
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制癌剤には大きく分けて,どんな種類のものがありますか

 現在使用されている制癌剤は,1)アルキル化剤,2)代謝拮抗物質,3)抗腫瘍性抗生物質,4)ホルモン剤,5)その他の制癌剤に大別されます.

医療事故と法律・16

証拠保全手続の実際 饗庭 忠男
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 医療事故の訴訟を起こすための準備として,裁判所から「証拠保全手続」がとられることがある.突然病院に裁判官や相手方弁護士などが来て,とまどう病院人も多いと聞く.今月は,その手続の意味や具体的方法などを述べ,病院関係者がどう対応すべきか考えてみよう.

変貌する外国の医療・4

シカゴのShared Service 一条 勝夫
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 今回はChicago Hospital Councilが実施しているShared Serviceを紹介しよう.これはChicago Hospital Council Shared Ser-viceといって,アメリカ病院協会とは関係のない,独立した非営利的な法人である.ここでは薬品から食糧などの購売契約,コンピュータの共同利用,Laundry service,それからManagement Consultationの4つの仕事を柱にしている.この4つのサービスについて各病院に呼びかけ,病院は,その中から選択して加入できる.

 シカゴには全部で150の病院があるが,購売契約には91病院が加入し,1年間に1,200ドルの会費を支払っている.購売品目の範囲はX線フィルム,使用量の多い価格の高い薬品200種以上,外科用消耗品,医療用ガス,食料品,ミルク,400種以上の事務用品にまで及んでおり,各品目ごとに1品目1業者に限って契約する.値段は業者と交渉の上,入札で決まり,値段表が加入病院に送られる.加入病院はその値段表を使って,購入できるという仕組みである.

病院の新しい職種

サイトスクリーナー 平田 守男
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 細胞診とは,各種の臓器または検体(喀痰とか尿など)の塗抹標本を顕微鏡下にて検索し,異型細胞や悪性細胞が認められるかどうかを診断することである.良性,異型,悪性細胞の選別をする仕事をスクリーニングと呼んでおり,その仕事にたずさわる技師をサイトスクリーナーと呼んでいる.

病院建築・74

国立療養所山形病院 宗守 義雄
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設立の要因

 国立療養所山形病院設立計画は,市内あずま町の晴山荘(入院150床)と約25km離れた西村山郡大江町の左沢光風園(入院290床)の両施設(ともに結核,慢性一般老人病)を合併統一し,慢性小児病,老人リハビリ患者および重症心身障害児等380床を収容しようとするものである.そのために,県および市当局が協力して市内行才126-2に敷地52,891m2を提供され,また,隣接地11,464m2に県立養護学校の併設を予定した.その他1学級50名の看護婦養成所を持ち,また,山形大学医学部の研修教育病院とする.

 敷地は市内中心より西方4km (バス約15分)の平坦な畑地.国道左沢線より200m入った交通便利なところであり,蔵王,月山,朝日連山を眺められる静かで大変良い環境である.

今月のニュース

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 昭和50年度日本看護協会通常総会は,5月10,11,12日の3日間,東京・両国の日大講堂など3会場で開催された.初日の10日は交通ストの影響を受け,会場は空席が目だったが,総会は予定どおりすすめられ,延7,000人が参加した.

 総会初日は,執行部から過去1年間の活動報告と新年度の事業計画を含む議題が提案された.2日目はそれを受けて保健婦・助産婦・看護婦の3部会に分かれ,それぞれの部会総会と執行部提案の討議が行われた.最終日の12日は,3部会合同の総会が持たれ,事業計画を執行部提案どおり採択した.

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 2食制の採用で話題をまいたことがある.最近では検診車2台をもって,周辺の企業体を中心に検診をすすめ,企業系列にまで診療圏を拡げている.院長(写真左)は現在,中間管理者層の教育に苦心されているというが,職員の人びとの表情の意外な明るさは,院長の人間味豊かな人柄の反映とも受けとれた.

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近年,精神病院においても,患者の老齢化とともに,さまざまな身体的合併症が増えているが,これらの患者は適切な処置を受けているであろうか.転院させたくても引受け手がない,合併症病棟も専門医もいないということで立ち往生しているのが,精神病院の現状ではあるまいか.そこでいち早く一般病院との協力の下で合併症対策を進めている松沢,烏山病院の実情をうかがった.

研究と報告【投稿】

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はじめに

 本稿は病院をとりまく環境構造の背景(医療需要)と,当該病院の医療供給体制の考察である.

 病院は中国地方の小都市(人口11万)に所在し,600床(一般床450,結核床65,精神床55,伝染床30)で運営されている国立病院である.この病院は同時に,医療法施行規則第2案の3に定める,いわゆる4号病院の資格をもち,5号病院相当の規模を保有している.

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はじめに

 戦後アメリカ医学の導入に伴い,臨床面における検査技術の開発は,医療の情報化とともに将来の治療医学の主流をなす傾向になった.これに伴い臨床検査の直接担当者が必要となり,昭和33年4月23日に衛生技師法が制定された.これは昭和45年5月に一部改正されたが,この間における臨床検査の質的,量的増加は真に瞠目すべきものがあり,疾病の診断,治療は生体機能の情報を総合的に把握した結果行われるというひとつのシステム化ができあがった.したがって,かかる検査を業務とする臨床検査技師は,パラメディカルスタッフとして院内に不可欠の人的要素となり,これが官制上にも現われている現状である.

 しかし,戦前は病院,診療所を問わず医師が中核となって医療を行い,診療業務補助,医療介助としての看護婦がパラメディカルの中心,いなパラメディカルそのものであるかのごとき観を呈した.最も普遍的なレントゲン技師でさえ,きわめて曖昧な検定の下にその撮影を行い,いわば医師に教え込まれ医師の代理者としてこれを行っていたので,確立した業務として認められなかった.さらには,一般検査についても主として看護婦が代行した程度で事足りる診療形態であり,医師と看護婦で医療が成り立つ観があった.すなわち看護業務の一部として臨床検査があり,はなはだしきは調剤なども看護業務であるかのごとき錯覚を誰しも疑わなかった.

基本情報

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病院
34巻4号 (1975年4月)
電子版ISSN:1882-1383 印刷版ISSN:0385-2377 医学書院

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