Pharma Medica 37巻3号 (2019年3月)

特集 喘息診療Update 2019

特集にあたって 長瀬 洋之
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喘息診療は,吸入ステロイド薬の普及,ガイドラインの整備に伴い,この20年で長足の進歩を遂げました。ここ10年は,吸入ステロイド用量が増加し,吸入配合薬が複数上市され,患者ニーズに適応した治療選択肢が増えてきました。そして,この5年の進歩は分子標的薬の登場と気管支熱形成術の臨床導入であり,重症喘息患者に対して,吸入薬を中心とした標準治療の先にも治療選択肢が増えました。喘息における気道炎症病態の理解も進み,メカニズムに基づいた創薬が加速しています。1年ごとの進歩はわずかに感じても,10年前を振り返ると大きな進歩がもたらされています。

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わが国の喘息予防・管理ガイドライン(Japan asthma prevention and management GuideLine;JGL)では,患者の症状を目安に治療ステップを変更し,コントロール良好を目指すことを推奨している1)。JGLは3年ごとに改訂されてきたこともあり,疾患啓発,病態理解および喘息治療における吸入副腎皮質ステロイド(inhaled corticosteroids;ICS)とICS/LABA(long-acting β₂ agonist)配合薬の普及により喘息患者のコントロールはおおむね良好となってきている。しかし,長期管理薬による治療を受けていても生活の質(quality of life;QOL)が低い“コントロール不良”重症喘息患者が一定数存在している。欧米では過去10年間における重症喘息の急性増悪(発作)頻度や喘息死数にほとんど改善が認められていない2)。わが国で減少してきた喘息死数は2017年には増加している3)。適切な長期管理薬による治療でも“コントロール不良”重症喘息と喘息死は,喘息診療の重要なアンメッドニーズである。本稿では,わが国の喘息コントロールと喘息死の現状について概説する。「KEY WORDS」喘息死,重症喘息,コントロール不良,アンメッドニーズ

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「喘息予防・管理ガイドライン」(Japan asthma prevention and management GuideLine;JGL)は,1998年に初めて日本アレルギー学会より発表され,おおむね3年ごとに改訂を重ねることにより今日の喘息診療の進歩を支えてきた。今回のJGL20181)における改訂では,テキストをより簡潔にまとめ,図表をふんだんに用いることにより,非専門医も含めた多くの読者にとって使いやすい構成となっている。実際に全体の分量も頁数が317頁から250頁へと減っている。すなわち,“総説”として精読することも可能であり,しかも机上に置いて“日常診療の一助”として気軽に読むことができるガイドラインとして生まれ変わったといえる。本稿では,JGL2018の主要な改訂ポイントを中心に概説する。「KEY WORDS」喘息,ガイドライン,予防,管理

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近年,気道上皮細胞が物理的・化学的バリアとして生体防御に機能するだけでなく,外界からのさまざまな刺激に反応して種々のサイトカイン・ケモカインを産生し,自然免疫および獲得免疫の始動・活性化に重要な役割を果たしていることが示された。2型免疫応答の誘導においても,アレルゲンやプロテアーゼなどの刺激を受けた気道上皮細胞から産生・放出されるIL-25,IL-33,thymic stromal lymphopoietin(TSLP)などの上皮由来サイトカインが重要な役割を果たしていることがマウスモデルの解析より明らかとなっている。上皮由来サイトカインによる2型免疫応答の誘導機構の解明も進み,TSLPは主に樹状細胞の活性化を介してTh2細胞の分化を誘導すること,IL-25とIL-33は,Th2細胞,NKT細胞などの獲得免疫系の細胞に加え,2型自然リンパ球(group 2 innate lymphoid cell;ILC2)に作用し,IL-5,IL-13などの産生を誘導することが明らかとなった。ILC2とTh2細胞は相互刺激により2型応答を増幅することも明らかとなっている。さらに最近,上皮由来サイトカイン-ILC2経路の抑制機構の研究も進んでいる。本稿では,喘息病態研究のトピックスとして,近年明らかになりつつあるIL-33-ILC2経路の抑制機構に関して,われわれのデータも含め概説したい。「KEY WORDS」気管支喘息,IL-33,自然リンパ球,抑制機構

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喫煙と肥満は,気管支喘息の病態に影響を及ぼす重要な要因の1つとして,多くの報告がなされている。喫煙と肥満が気管支喘息に及ぼす影響は,症状,呼吸機能,炎症など,気管支喘息の複数の側面を考慮し検討する必要がある。また,わが国は喫煙率が高く,気管支喘息患者のなかで喫煙者は無視できない。また,わが国は,欧米と比較し,肥満者の割合は低く,欧米の疫学調査結果が,わが国にそのまま適応されるか否かの検証は常に重要である。本稿では,わが国の疫学調査結果を中心に,喫煙,肥満が喘息に与える多様な影響,またその機序について概説する。「KEY WORDS」気管支喘息,喫煙,肥満,多様性

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呼気一酸化窒素(nitric oxide;NO)濃度測定は,簡便かつ非侵襲的に結果が得られる好酸球性気道炎症の評価法である。主に喘息の補助診断やコントロールの指標としての役割を担うものとして用いられている。2013年6月にわが国において保険収載され数年が経過し,昨今では日常臨床の現場にも普及しつつあり,多くの使用経験やエビデンスが蓄積してきた。2018年3月に日本呼吸器学会より『呼気一酸化窒素(NO)測定ハンドブック』が上梓された。呼気NO測定の原理,測定方法,結果の解釈などに関して詳細に解説されており,その概要について紹介する。「KEY WORDS」喘息,呼気一酸化窒素(NO)測定ハンドブック,呼気NO(fractional exhaledNO;FeNO),Asthma-COPD Overlap(ACO)

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モストグラフはわが国で使用可能な広域周波強制オシレーション法の測定機器である1)。約20秒間の安静換気下に呼吸抵抗(respiratory resistance;Rrs)と呼吸リアクタンス(respiratory reactance;Xrs)を連続して測定することが可能で,結果がカラー3D画像で表示されるため視覚的に把握することができる。本稿では喘息診療でどう使いこなすかについて解説する。「KEY WORDS」強制オシレーション法,呼吸抵抗,呼吸リアクタンス,カラー3D画像解析

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「吸入薬は正しく吸入されて初めて効果を発揮する」,『喘息予防・管理ガイドライン2018』(以下,JGL)1)に新設された項:「吸入指導」の冒頭の一文である。喘息治療薬の中心である吸入薬は,より少量でより早い効果の発現や,より少ない有害事象などが大きな利点として期待される。本稿では喘息治療のなかでも特に吸入薬に関するアドヒアランスと吸入手技に着目し,その現状と課題を検証しながら,未来につながるより良い指導・支援とは何かを考えてみたい。「KEY WORDS」JGL,GINA,クリティカルエラー,連携

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わが国では気管支喘息による死亡者や入院患者数の減少という点で,世界に誇るべき成果を上げてきた。それにはGlobal Initiative for Asthma(GINA)1)やわが国の喘息予防・管理ガイドライン(Japan asthma prevention and management GuideLine;JGL)2)をはじめとしたガイドラインの普及と,吸入ステロイド(inhaled corticosteroid;ICS)や中等症以上の患者で第一選択薬とされるICS/長時間作用性β₂刺激薬(long-acting β₂ agonist;LABA)配合剤の広範な使用が大きな役割を果たしてきた。しかし多くの疫学的調査の結果からはコントロール不良患者がいまだ約半数,重症難治性も約5~10%は存在するとされており,成人喘息治療にはいまだ多くの課題が残されている。すなわち薬物療法は進歩したにもかかわらずそれが十分に活かされておらず,長期管理治療の量と質の改善が求められている。量の問題としてはアドヒアランスの向上と,患者のコントロール状態に応じた適切な吸入方法・量の設定が,質としては正しい手技による効率的な治療を可能にする吸入支援と,患者の嗜好や有害事象にも配慮した適切な吸入製剤の選択があげられる。特に難治性喘息の定義が「高用量ICS/LABA製剤の使用によってもコントロール不良な患者」であることから,生物学的製剤など使用可能な薬剤が増えつつあるとはいえいまだ治療薬は限られていることから,ICS/LABA製剤を中枢から末梢までの気道に確実にデリバーすることは臨床的に最も重要と考える。「KEY WORDS」ICS/LABA配合剤,DPI,pMDI,末梢気道,チオトロピウム

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吸入ステロイド薬(inhaled corticosteroid;ICS)を中心とした標準治療でコントロール困難な重症喘息患者は5~10%程度存在し,分子標的薬は重要な選択肢である。重症喘息病態には多様性があり,個別の病態に応じた治療戦略が確立しつつある。本稿では,分子標的薬を中心に概説する。「KEY WORDS」気管支喘息,分子標的治療薬,生物製剤,IL-5,好酸球

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気管支喘息とは,ダニやハウスダストなどのアレルゲンの吸入が原因で発症しIgEや好酸球が上昇するアレルギー性疾患と従来は考えられていた。しかし,現在の『喘息予防・管理ガイドライン(Japan asthma prevention and management GuideLine;JGL) 2018』の定義では,「気道の慢性炎症を本態とし,変動性を持った気道狭窄(喘鳴,呼吸困難)や咳などの臨床症状で特徴付けられる疾患である」とされていて,必ずしもT2タイプのアレルギー性炎症があるとは限らない1)。気道炎症には,好酸球,好中球,リンパ球,マスト細胞などの炎症細胞,加えて,気道上皮細胞,線維芽細胞,気道平滑筋細胞などの気道構成細胞,および種々の液性因子が関与する1)。通常の喘息治療薬である吸入ステロイド(inhaled corticosteroids;ICS)+長時間作用性β₂刺激薬(long-acting β₂ agonist;LABA)でもコントロール不良の際には,どのような喘息のフェノタイプであるかをよく吟味して治療法を選択する必要がある。重症喘息に対する治療としては,IgEやIL-5をターゲットとした生物学的製剤が使用可能であるが,IgEや好酸球高値などのT2 highタイプのフェノタイプを有する患者でないと効果が期待できない。気管支サーモプラスティは,気道平滑筋をターゲットにした気管支鏡治療でありT2 lowタイプのフェノタイプでも効果が期待できる2)。わが国では2015年より保険収載となったが,2018年11月の時点では,全国119施設で632名の患者に施行されている。「KEY WORDS」重症喘息,気管支サーモプラスティ,リモデリング,増悪

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気管支喘息は気道の慢性炎症を本態とし、変動性をもった気道狭窄(喘鳴、呼吸困難)や咳などの臨床症状で特徴づけられる疾患で、症状は発作性の呼吸困難、喘鳴、胸苦しさ、咳が反復することを特徴とします。小児では女児より男児に多く、思春期になると性差はなくなり、成人有病率は女性が高くなります。小児では乳児期に、成人では中高年発症が多くなります。40歳を過ぎてから初めて発症するようなケースも決して珍しくありません。過去に小児喘息歴がある人では、成人になって再発するケースもあります。成人の気管支喘息は、過去30年間で約3倍にも増加したといわれています。気管支喘息の一般的な分類はアトピー型と非アトピー型に分けられます。小児期発症の喘息はダニや花粉などのアレルゲン(アレルギーを引き起こすもの)がきっかけとなって気道に炎症が起こるアトピー型が多く、成人発症喘息では、アレルゲンを特定できない非アトピー型が多いです。また、65歳以上の高齢者喘息では他の年齢層と異なり、慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease;COPD)との合併症例(Asthma and COPD Overlap;ACO)が多く、特に男性では約20%と高頻度です。ACOでは喘息あるいはCOPD患者に比べて咳や痰、呼吸困難などの症状を認める頻度や重症度が高く、予後不良です。

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Pharma Medica
37巻3号 (2019年3月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:0289-5803 メディカルレビュー社

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