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わが国では気管支喘息による死亡者や入院患者数の減少という点で,世界に誇るべき成果を上げてきた。それにはGlobal Initiative for Asthma(GINA)1)やわが国の喘息予防・管理ガイドライン(Japan asthma prevention and management GuideLine;JGL)2)をはじめとしたガイドラインの普及と,吸入ステロイド(inhaled corticosteroid;ICS)や中等症以上の患者で第一選択薬とされるICS/長時間作用性β₂刺激薬(long-acting β₂ agonist;LABA)配合剤の広範な使用が大きな役割を果たしてきた。しかし多くの疫学的調査の結果からはコントロール不良患者がいまだ約半数,重症難治性も約5~10%は存在するとされており,成人喘息治療にはいまだ多くの課題が残されている。すなわち薬物療法は進歩したにもかかわらずそれが十分に活かされておらず,長期管理治療の量と質の改善が求められている。量の問題としてはアドヒアランスの向上と,患者のコントロール状態に応じた適切な吸入方法・量の設定が,質としては正しい手技による効率的な治療を可能にする吸入支援と,患者の嗜好や有害事象にも配慮した適切な吸入製剤の選択があげられる。特に難治性喘息の定義が「高用量ICS/LABA製剤の使用によってもコントロール不良な患者」であることから,生物学的製剤など使用可能な薬剤が増えつつあるとはいえいまだ治療薬は限られていることから,ICS/LABA製剤を中枢から末梢までの気道に確実にデリバーすることは臨床的に最も重要と考える。「KEY WORDS」ICS/LABA配合剤,DPI,pMDI,末梢気道,チオトロピウム
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