臨床皮膚科 56巻2号 (2002年2月)

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 患者:51歳,男性.

 初診:1995年10月5日.

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 プレグナンジオール(ジオール®)は,痤瘡に適応を有するホルモン剤であるが,その奏効機序については不明な点が多い.筆者らは本剤投与による血中アンドロゲンの変動を検討するため,女性痤瘡患者9例にジオール®を1日6錠,8週間投与し,その投与前後における血中free testosterone(FT),dihydrotestosterone(DHT),dehydroepiandrosterone sulfate(DHEA-S)値を測定した.血中DHT,DHEA-S値に有意な変動は認めなかったが,血中FT値は投与8週後にて有意に低下した.以上の結果より,ジオール®がprecursorである血中FT値を低下させる作用を有し,それが痤瘡の改善と関連する可能性が示唆された.

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 25歳,女性.初診の約1か月前および約10日前の計2回,うがいぐすり-S®(山之内製薬)を使用したところ,約10分後にほぼ全身に膨疹が出現した.含有成分の皮内テストを施行したところ,グルコン酸クロルヘキシジンで陽性であった.また,塩酸クロルヘキシジンの皮膚試験も陽性であった.クロルヘキシジンは消毒薬や抗真菌外用薬などに含まれているので,今後注意を要する.

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 43歳,女性.鼻に紅色の丘疹が生じ,急速に拡大した.当科初診時,紅色で表面平滑なドーム状に隆起する径2cmの結節を形成していた.組織学的には多数の角質嚢腫の形成がみられ,kerato—acanthome pluri-kystique pseudo-sébacé(Degos)と診断した.ブレオマイシンの局注を施行したが,皮疹はさらに拡大した.皮疹出現から約4か月後に粥状物の排出が起こり,皮疹はその表面に角化性顆粒状の硬化局面を残しながら平坦化し始めた.この硬化局面を短パルスCO2レーザーを用いて剥削することで,さらに角質物の排出を促して治癒を進め,かつ整容的にもよい結果が得られた.

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 38歳,男性.4か月前,顔面に浮腫性紅斑が,Vネック・背に浮腫性紅斑とびらんが出現した.指関節背面と爪囲に紅斑があり,四肢近位筋のだるさと膝関節痛を伴った.左頬紅斑の病理組織所見で液状変性と真皮上層の顕著な浮腫があった.徒手筋力検査で筋力低下なく,筋原性酵素の上昇なし.抗核抗体,抗Jo−1抗体陰性.成年男性発症のamyopathic dermatomyositisと診断した.急速進行性間質性肺炎の合併が危惧されたので,メチルプレドニゾロンのミニパルス療法を3クール施行した.プレドニゾロン減量時に,間質性肺炎の血清マーカーとしてKL−6をモニターした.6か月後,KL−6は正常域のままで,間質性肺炎の合併はない.

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 25歳,男性.39℃を超える熱発・熱発時に四肢・体幹に出現する紅斑と,両膝,両肩に関節痛を認めた.血液検査では白血球増多,分画では好中球の90%以上の増加,CRP,フェリチンの上昇を認めた.肝障害および凝固系の異常を伴ったが,ステロイド内服に加えステロイドパルス療法,メソトレキセート間欠療法を併用することにより軽快した.

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 83歳,男性.初診の7か月間より間欠性跛行,疼痛,足趾に皮疹が出現,足趾での皮膚生検にて特徴的なコレステロール結晶塞栓像を認めた.カテーテル操作の既往はない.病変は足のみに限局し壊疽を生じたが,重篤な全身症状は伴うことなく,潰瘍は軽快した.本邦皮膚科領域ではまだ報告は少ないが,疼痛を伴う下肢末端の網状皮斑,足趾潰瘍に対しては本症も念頭に置く必要がある.

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 70歳,男性.右足内顆に自覚症状を伴わない丘疹が集簇し,赤褐色調を呈する局面を認めた.病理組織学的に真皮浅層にリンパ球主体の帯状の細胞浸潤,赤血球の血管外漏出像,およびヘモジデリンの沈着がみられ,臨床所見と併せてlichen aureus(lichen purpuricus)と診断した.プロピオン酸クロベタゾール軟膏の外用にて皮疹は消退傾向を示した.本症の疾患概念について若干の考察を加えて報告する.

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 症例1は34歳,男性.父親と叔父に同症あり.中学生頃より夏季に肛囲に紅斑,1996年頃より腋窩にも同様の皮疹が出現.1999年8月,肛囲に,9月20日,腋窩に紅斑が再燃.9月24日,温泉に行き,翌日より発熱.肛囲,腋窩は湿潤し,疼痛あり.温熱や温泉成分の刺激も皮疹増悪の誘因と思われた.症例2は62歳,男性.母親に同症あり.1989年頃より頸部,腋窩,鼠径部,腹部に紅斑,びらんが出現.ステロイド外用にて軽快,再燃を繰り返した.

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 59歳,男性.1992年頃より右前額部に紅色皮疹が出現し,しだいに拡大してきた.検査上,ZTT・γ—グロブリン・CH50が高値で,赤沈が亢進していた.組織所見で真皮内に境界明瞭な非乾酪性類上皮細胞結節を認め,サルコイドーシスと診断した.皮疹はプレドニゾロン内服・ステロイド軟膏外用により軽快した.その経過中に胸部単純X線写真で異常陰影を指摘され,喀痰細胞診の結果,扁平上皮癌と診断された.化学療法後,外科的に切除され,現在まで再発・転移は認めていない.サルコイドーシスの経過観察中に肺癌が合併することは稀であり,若干の文献的考察を加えて報告する.

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 31歳,男性.北海道在住.体幹,上腕に碗豆大から栂指頭大までの皮下結節を多数認めた.病理組織学的には,真皮に非乾酪性肉芽腫を認めた.皮膚以外にも,腎をはじめとして肺,リンパ節,眼,唾液腺の多臓器に認め,稀な皮下型サルコイドーシスの症例と思われた.

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 1歳2か月の男児.生後2か月頃より背部を中心に汗疹様皮疹が出現し,軽快,増悪を繰り返していた.1歳2か月時に発熱とともに背部に出血性小丘疹が,頭部には脂漏性皮膚炎様の皮疹が出現した.また,頭部の骨破壊像,後縦隔の腫瘍,脾腫も認められた.臨床像,皮疹部の病理所見,電顕所見からLangerhans cell histiocytosis(LCH)と診断した.LCHの発症原因にウイルス感染が関係しているとの報告がなされているため,自験例ではサイトメガロウイルス,アデノウイルス,パルボウイルスB19,Epstein-Barr(EB)ウイルス,human herpesvirus(HHV)6,HHV−7,human T-cell lympho—trophic virus(HTLV)—Iにつき血清IgM,IgGの抗体価を測定したが,すべて陰性であった.Vin—cristine,cytarabine(AraC),predonineによる化学療法施行後,頭部,後縦隔の腫瘍は縮小,皮疹も消退し,増悪は認めていない.

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 36歳,男性.約3週間前より左上肢に自覚症状を欠く皮疹が出現し,徐々に体幹にも増数した.初診の約2週間前より近医内科にて高血糖,高脂血症を指摘され食事療法中.体幹,上肢に淡い紅暈を伴う淡褐色の表面平滑なドーム状に隆起する米粒大の丘疹を散在性に認めた.初診時BS455mg/dl, HbA1c 11.3%,尿糖(定性)4+と糖尿病はコントロール不良で,さらに総コレステロール696mg/dl,トリグリセリド4,040mg/dl,リン脂質852mg/dlと血清脂質は高値を示し,リボ蛋白分画ではプレβ—リポ蛋白83.6%,カイロミクロン5.1%とV型の高脂血症を示した.組織所見では真皮上〜中層の膠原線維間に泡沫細胞の増生がみられた。食事療法に加え,スルホニルウレア剤,α—グルコシダーゼ阻害薬,HMG-CoA還元酵素阻害薬の内服治療を開始し,皮疹は内服開始約6週後には平坦化した.

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 57歳,女性.初診の約10年前より,左上腕,右下腿に毛包炎様膿疱が出現し,しだいに遠心性に拡大した.左上腕は瘢痕治癒したが,右下腿部では,中央部は瘢痕治癒し,辺縁が暗赤色調で隆起性の増殖性局面を呈し,堤防状となり,圧すると膿汁が排出された.組織学的所見では,表皮突起の延長を伴う表皮増殖,小円形細胞を含む表皮内膿瘍および真皮に埋没した扁平上皮細胞巣がみられた.真皮上層では好中球,リンパ球の浸潤,出血が認められた.細菌培養ではE.coliなどが検出された.臨床像,組織像よりblastomycosis-like pyodermaと診断し,硫酸ゲンタマイシン配合吉草酸ベタメタゾンの外用,次に抗生物質の全身投与を施行するも効果なく,フルオシノニドの外用に変更したところ,治癒傾向を示した.同症の報告は比較的稀と思われた.

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 67歳,男性.1995年6月より左鼻閉感が出現1996年2月,当院耳鼻科にて左副鼻腔原発の形質細胞腫と診断された.2回の切除術後,放射線40Gy照射にて経過観察されていたが,1997年8月,右臀部および大腿部に腫脹が出現精査の結果,形質細胞腫の再発と考えた.VAD療法(ビンクリスチン,ドキソルビシン,デキサメサゾン)2クール,放射線療法にて加療中,同年12月に右膝部から下腿伸側に米粒大の紅色丘疹が多数出現した.組織所見では真皮全層および皮下組織に稠密な腫瘍細胞の浸潤を認めた.免疫組織学的所見および遺伝子再構成所見よりIgA—κ型の形質細胞腫と診断.形質細胞腫の皮膚浸潤は稀であり,若干の考察を加えて報告する.

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 75歳,女性,頭頂部を打撲した約1か月後から,打撲部位に暗赤色の結節が出現し増大した.その約3か月後,誘因なく上腕にも同様の結節が出現した.病理組織検査では頭部・上腕ともに,高度の出血を伴って腫瘍細胞が索状に配列し,不規則な管腔を形成していた.臨床像と合わせて悪性血管内皮細胞腫と診断した.入院のうえ,全身精査を行ったが,頭部・上腕の結節以外の病変を認めなかった.上腕の結節は頭部より3か月遅れて発生していることから,同時多発も考えられるが,頭部からの転移と考えるのが妥当と思えた.悪性血管内皮細胞腫の皮膚転移例は稀と考えられた.

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 22歳,女性.生下時より左下腿屈側に浸澗を触れる有毛性淡褐色局面を認め,近医より当科を紹介された.初診時,左下腿に12×6cm大の境界不明瞭な浸潤を触れる有毛性淡褐色局面を認めた.高校生頃より皮疹はやや拡大し,硬毛が増加してきたため当科を受診した.皮膚生検像では,真皮中層から深層にかけてエオジン好性の線維束の増生を認め,特殊染色で線維束はマッソン・トリクローム染色にて赤染,エラスチカ・ワンギーソン染色では黄染され,平滑筋と考えられた.免疫染色ではデスミン陽性,ビメンチン陰性であった.発症年齢が生下時である点,組織所見で平滑筋を認めることより本症をsmooth muscle hamartomaとし,高校生頃より硬毛が増加し,淡褐色局面の拡大を認めた点よりBecker母斑の合併と診断した.

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 症例1は49歳,男性(農業).初診の7〜8年前より左胸部,上腕に多数の小腫瘤が出現し,徐々に増加してきた.症例2は48歳,女性(介護福祉士).20数年前より左腰部の数個の小結節に気づいていたが,1999年1月頃より尋常性天疱瘡を合併し入院.両例とも大きな腫瘤のみ切除したが,組織所見は神経線維腫の典型像を示した.カフェ・オ・レ斑やその他の皮疹はみられなかったため,限局性多発性神経線維腫と診断した.自験例を含めた58例の本邦報告例について統計的考察を加えた.

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 51歳,男性.左肩甲骨部にドーム状に隆起し,色素沈着と毛細血管拡張を伴う46×52mm大の腫瘤を認めた.腫瘤は表面平滑で弾性軟,境界は比較的明瞭であり,被覆皮膚および下床との可動性は良好であった.組織所見では成熟した脂肪細胞と脂肪芽細胞,線維芽細胞を認め,atypical lipomaと診断した.Atypical lipomaは臨床的,組織学的にも脂肪腫と間違えられることがあり,注意が必要であると考える.

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 61歳と58歳の姉妹.ともに顔の皺とりの目的で某所で顔面に注射を行った部位に,膿瘍を伴う紅色結節が出現した.膿および皮膚組織培養の結果,Mycobacterium abscessusが検出された.セファクロル,塩酸ミノサイクリン,イソニアジド内服は無効,クラリスロマイシン,レボフロキサシン内服が有効であった.約1年で瘢痕治癒したが,醜形を残した.

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 84歳,女性.初診の1か月前より右前腕に紅色丘疹が出現し潰瘍化した.組織学的に抗酸菌を証明し,生検組織の培養で4週後にコロニーを形成し,DNA-DNAハイブリダイゼーション法を用いてMycobacterium marinumと同定した.クラリスロマイシン,スパルフロキサシン,イソニアジドによる化学療法に抵抗性であったため,外科的切除を行い,塩酸ミノサイクリンを追加するとともに,電磁波による温熱療法を併用した.術後1年11か月を経過するが,再発を認めない.

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 68歳,女性1995年8月.急性骨髄性白血病(AML)の発症以後,寛解・再発を繰り返していた.1998年10月から再度化学療法を受けて寛解中であったが,1999年1月に両下肢のみに多発皮下膿瘍,皮下硬結,潰瘍が出現.膿汁直接鏡検にてY字型に分岐する菌糸を多数,また組織学的に皮下組織に膿瘍と膿瘍内に隔壁を有する太い菌糸を認め,さらに培養よりAspergillus flauusを分離した.胸部CTにて膿瘍または腫瘤と胸水貯留があり,これが原発巣で,それより菌が血行性に播種したと考えられた.皮疹発生約4か月後,AML再発と細菌性肺炎のため死亡した.AML化学療法中に併発した極めて稀な続発性皮膚アスペルギルス症を経験したので,文献的考察を加えて報告する.

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 21歳,女性.マレーシアに旅行後,躯幹・上肢に瘙痒性線状紅斑,丘疹が多発した.病理組織学的には表皮内に裂隙と好酸球の浸潤を認めた.血清学的検査で複数の線虫類に対して交差反応を示し,末梢血の好酸球増加を認めた.特徴的な臨床像,渡航先と併せてブラジル鉤虫の幼虫による皮膚幼虫移行症と診断した.皮疹は抗ヒスタミン剤内服のみで2か月で消退した.

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 62歳,男性.全身に散発する皮疹と関節痛を主訴に来院.血液検査上,CRPの上昇と血小板増多を認めた.乾癬皮疹,左手指のソーセージ様腫脹,DIP関節の変形,リウマトイド因子が陰性であることより関節症性乾癬と診断した.エトレチナート内服による加療を開始したが,炎症反応が改善しないため,メソトレキセートの少量間歇投与を併用したところ,関節症状の改善,CRP値と血小板数の下降を認めた.関節症性乾癬における血小板増多は反応性のものであり,サイトカインの関与が考えられている.

連載

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全身性強皮症について正しい組み合わせを選べ.

①抗セントロメア抗体陽性例では,高率に肺線維症を伴う.

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ハーバード大学医学部皮膚科学講座におけるレジデントの研修(その6)

PUVA療法

 PUVA療法は20世紀の皮膚科学における治療法に最も画期的な進歩をもたらしたものの1つとして挙げられている.この治療法開発の最初のきっかけは,高エネルギーUVAランプの開発であった.前回述べたように,J Parrishはフィラデルフィアでの実験終了後,直ちにボストンのMGHで乾癬の患者を用い臨床治験を開始した.当初は縦型の箱に約6フィートのUVAランプを埋め込んだ単純なものであった.初期の予備的治験で本療法が乾癬に対して有効だとわかったとき,Fitzpatrick教授は3か月間のサバティカルをとって,ウィーン大学のK Wolff教授と大がかりな臨床治験をヨーロッパで行った.1974年の夏にボストンへ帰国した際の私への第一声は,「この治療法は乾癬に非常に有効であり,この新しい治療法の開発で自分はノーベル賞を受賞するかもしれない」ということであった.Fitzpatrick教授は,J Parrishの臨床治験の結果と自分の結果とを併せ“New England Journal of Medicine”に報告することにした.その際,筆頭著者はJ Parrishで落ち着いたが,共同著者に誰を入れるかでかなり混乱があったようである.さらに論文投稿に際しての混乱に拍車をかけたのは,この論文が“New England Journal of Medicine”に載る直前に,新聞“Boston Glove”に報告されたことである(論文出版の前目).本来,学術的であるはずのものが,売名的に使われたのではないかという批判であった.しかし,このニュースは“Boston Glove”の第一面を飾り,大反響を呼んだ.

基本情報

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臨床皮膚科
56巻2号 (2002年2月)
電子版ISSN:1882-1324 印刷版ISSN:0021-4973 医学書院

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