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ハーバード大学医学部皮膚科学講座におけるレジデントの研修(その6)
PUVA療法
PUVA療法は20世紀の皮膚科学における治療法に最も画期的な進歩をもたらしたものの1つとして挙げられている.この治療法開発の最初のきっかけは,高エネルギーUVAランプの開発であった.前回述べたように,J Parrishはフィラデルフィアでの実験終了後,直ちにボストンのMGHで乾癬の患者を用い臨床治験を開始した.当初は縦型の箱に約6フィートのUVAランプを埋め込んだ単純なものであった.初期の予備的治験で本療法が乾癬に対して有効だとわかったとき,Fitzpatrick教授は3か月間のサバティカルをとって,ウィーン大学のK Wolff教授と大がかりな臨床治験をヨーロッパで行った.1974年の夏にボストンへ帰国した際の私への第一声は,「この治療法は乾癬に非常に有効であり,この新しい治療法の開発で自分はノーベル賞を受賞するかもしれない」ということであった.Fitzpatrick教授は,J Parrishの臨床治験の結果と自分の結果とを併せ“New England Journal of Medicine”に報告することにした.その際,筆頭著者はJ Parrishで落ち着いたが,共同著者に誰を入れるかでかなり混乱があったようである.さらに論文投稿に際しての混乱に拍車をかけたのは,この論文が“New England Journal of Medicine”に載る直前に,新聞“Boston Glove”に報告されたことである(論文出版の前目).本来,学術的であるはずのものが,売名的に使われたのではないかという批判であった.しかし,このニュースは“Boston Glove”の第一面を飾り,大反響を呼んだ.
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